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外壁防水工事における耐用年数とは?
建物に関して使われる「耐用年数」とは、その建物がどれくらい使用できるのかという寿命を表すときに使われる言葉です。
しかし、その建物に関する「耐用年数」にも見方によって年数が異なります。
例えば、国税庁が発表している法律に基づいて定められた「法定耐用年数」と建物の経済的価値に基づいて決められる「経済的耐用年数」は年数が異なっています。
同じように外壁防水工事における「耐用年数」という言葉の意味合いは用途や工事の規模などによっても変わりますし、その年数も異なります。
外壁防水工事における耐用年数について以下で解説していきます。
外壁防水工事の耐用年数と耐久年数は違う
外壁防水工事の「耐用年数」と同じようにとらえられている言葉として、「耐久年数」があります。
これは同じ意味ではなく、「耐久年数」は各住宅メーカーなどが独自基準として設けている目安の期間のことで、問題なく住宅として使用できる年数の意味で使用されています。
いわゆる寿命という意味合いです。
一方で、「耐用年数」とは主に確定申告などの税務上の申告で使用されているものとなります。
外壁防水工事の耐用年数と耐久年数は違いますのでご注意ください。
外壁防水工事は修繕費なのか資本的支出なのか?
外壁防水工事を税務上の費用として計上するには、「修繕費」と見なされるケースと「資本的支出」と見なされるケースがあります。
費用を計上して処理する期間が変わってきますので、確認しておきましょう。
●修繕費
修繕費とは、建物などの維持管理や修理のために必要最低限の工事にかかった費用のことです。(イメージとしては、マイナスをゼロに戻す工事のことです。)
●資本的支出
資本的支出とは、建物などの維持管理や修理に必要な最低限の工事に加えて、耐久性の向上や美観向上などアップグレードするために行った工事にかかった費用のことです。(イメージとしては、マイナスをプラスにする工事のことです。)
修繕費と資本的支出は経費計上の期間が異なる
外壁防水工事の費用を修繕費にするか、資本的支出にするかで経費上の期間が異なってきます。
●修繕費の場合
修繕費の場合はその年に全額をまとめて計上できます。
●資本的支出の場合
資本的支出の場合は耐用年数に応じて減価償却しなければなりません。
減価償却とは、費用を何年かにわけて計上することになります。
例えば、外壁防水工事の耐用年数が10年である場合は、10年間毎年計上することになります。
外壁防水工事が修繕費と認められるための条件
国税庁から修繕費として認められるための形式条件は以下となります。
① 費用が20万円未満⇒修繕費
② ①以外でも工事周期が3年以内⇒修繕費
③ ②以外でも明らかに維持管理、原状回復のための支出⇒修繕費
④ ③以外でも費用が20万円以上60万円未満、又は取得価格が前回決算時の10%以下で明らかに資産の価値を高めたり、使用可能期間を増加させないもの⇒修繕費
修繕費として経費計上する場合は、かかった費用の全額を計上することができます。
「修繕費として計上することで節税効果がある」と言われており、外壁防水工事でかかった費用を一括計上することで利益が少なくなり、税金が減るからです。
外壁防水工事が資本的支出とみなされるケース
一方で、外壁防水工事が資本的支出とみなされる可能性が高いケースは以下となります。
- 大規模な工事(原状回復以上の工事)
- 美観をアップさせる防水美装工事
- 耐用年数の長い素材を使った工事
例えば、モルタル外壁において、リシン吹付から複層弾性に塗装仕様を変更した場合はそれまでよりもクラックの発生を減らし、美観をアップさせる工事となり、資産価値が上がったと見なされるでしょう。
塗装に使われる塗料の耐用年数
外壁塗装の塗料には法定耐用年数が設定されていません。
冒頭から説明してきた外壁防水工事の耐用年数には法定耐用年数がありません。
外壁防水工事で言われている耐用年数とは、塗料の「期待耐用年数」を指す場合が多いです。
つまり、この塗料を使って正しく塗装すれば、約〇年間は塗料の効果が持続しますという目安の期間のことです。
参考までに一般的な塗料の耐用年数(期待される耐用年数)を紹介しておきましょう。
外壁塗料の種類 | 期待耐用年数 |
---|---|
アクリル系塗料 | 5~8年 |
ウレタン系塗料 | 8~10年 |
シリコン系塗料 | 10~15年 |
ラジカル系塗料 | 12~18年 |
フッ素系塗料 | 15~20年 |
塗装に使われる塗料には法定耐用年数がない
塗装に使われる塗料には塗装と同様に法定耐用年数がありません。
期待耐用年数は塗料メーカーが製品ごとに公表していますが、法律で定められたものはなく減価償却期間を算出する上では関係ないのです。
外壁防水工事の費用を減価償却するときは、塗装を行った建物の法定耐用年数を使います。
木造の建物に塗装した場合はその法定耐用年数を使います。
ただし、建物の構造が同じでも使用用途が違えば法定耐用年数が異なります。
木造建物の法定耐用年数
事務所・・・24年
店舗、住宅・・・22年
工場、倉庫・・・15年
外壁防水の法定耐用年数は塗装した建物に準拠する
外壁防水工事の費用を減価償却するときは、塗装を行った建物の法定耐用年数を使うこととなります。
減価償却期間を把握したい場合は、国税庁の以下の表を参考にしてください。
鉄骨鉄筋コンクリート造建物の法定耐用年数
事務所・・・50年
住宅・・・47年
店舗、病院・・・39年
【まとめ】外壁防水工事における耐用年数の定義は難しい
建物に関して使われる「耐用年数」とは、その建物がどれくらい使用できるのかという寿命を表すときに使われる言葉です。
例えば、国税庁が発表している法律に基づいて定められた「法定耐用年数」と建物の経済的価値に基づいて決められる「経済的耐用年数」は年数が異なっています。
一方で、外壁防水工事の耐用年数には法定耐用年数がありません。
塗装に使われる塗料には塗装と同様に法定耐用年数がありません。
外壁防水工事で言われている耐用年数とは、塗料の「期待耐用年数」を指す場合が多いです。
つまり、この塗料を使って正しく塗装すれば、約〇年間は塗料の効果が持続しますという目安の期間のことです。
期待耐用年数は塗料メーカーが製品ごとに公表していますが、法律で定められたものはなく減価償却期間を算出する上では関係ないのです。
外壁防水工事の費用を減価償却するときは、塗装を行った建物の法定耐用年数を使いますのでご注意ください。
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