ガルバリウム鋼板屋根の特徴とは?メリットやデメリット・費用を解説

Dr.神谷
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  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!神清(かみせい)のDr.神谷です。

    弊社は、高浜市・半田市にある創業150年老舗三州瓦の生産・販売・工事を行っている会社です。
    年間200棟以上の雨漏り調査・修理を行っています。
    建築業界誌「日経アーキテクチュア」の連載記事「新次元!雨漏り対策」を執筆!

本記事はこんな人にお勧めします。

  • ガルバリウム鋼板屋根の特徴が知りたい
  • ガルバリウム鋼板屋根のメリットやデメリットについて知りたい

この記事で伝えたいこと

この記事は、「ガルバリウム鋼板屋根の特徴が知りたい」「ガルバリウム鋼板屋根のメリットやデメリットについて知りたい」という方に向けて書かれています。

近年人気のガルバリウム鋼板屋根ですが、メンテナンスフリーだと業者に勧められて施工する方が多くおられます。屋根材は特徴やメリット・デメリットをしっかり理解した上で選ぶことが重要です。

本記事では、ガルバリウム鋼板屋根の特徴やメリット・デメリットについて解説していきます。

その他の屋根材とも比較した内容となっており、ガルバリウム鋼板屋根を検討している方にとって大変参考になる内容となっておりますので、ぜひ参考にしてくださいね。

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ガルバリウム鋼板屋根の特徴

ガルバリウム鋼板とは、めっき鋼板の中の1種類のことです。

今までよく聞いた「トタン」「ぶりき」などのめっき鋼板の仲間となります。

分類名称としては、溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板が正式名称です。

アルミニウムの特徴である耐食性、加工性、耐熱性と亜鉛の特徴である犠牲防食機能により、トタンよりも3倍程度、耐久性が優れているめっき鋼板です。

ガルバリウム鋼板屋根は金属屋根材なので軽く、トタン屋根よりもサビにくいなどの特徴から近年人気の屋根材と言えます。

 

ガルバリウム鋼板について詳しくはこちらの記事で解説しています。

ガルバリウム鋼板ってなに? 屋根の用語・Q&A 

 

ガルバリウム鋼板屋根のメリット

人気なガルバリウム鋼板屋根のメリットを紹介します。

  1. サビに強い
  2. 耐久性が高い
  3. 軽い
  4. デザイン性が高い

 

それぞれについて簡単に解説していきます。

①サビに強い

今まで金属屋根材として使用されていたトタン屋根(カラー鉄板とも呼ばれる)よりは、3倍以上サビに強くなっています。

トタン屋根は赤サビが発生しやすく、それを防ぐために約5年に1度のペースで塗装する必要があり、メンテナンスが大変でした。

ガルバリウム鋼板は赤サビが発生しにくいため、トタン屋根に比べて大きなメリットとなります。

 

②耐久性が高い

塗装メンテナンスまでの期間は、トタン屋根が5~10年程度とすると、ガルバリウム鋼板屋根の場合は10~15年と長寿命(耐久性が高い)になっています。

但し、ステンレスのような高耐久性はないので、メンテナンスフリーではありません。

 

③軽い

金属屋根材全般に言えますが、他の屋根材に比べてもっとも軽い屋根材です。(約5㎏/㎡)

スレート屋根・樹脂繊維セメント屋根材と比較しても1/4の軽さです。

 

④デザイン性が高い

立平葺きなどの縦葺きや折板葺きは、緩い屋根勾配(5/100以上)でも対応可能です。

直線的な印象の屋根からアール状の屋根まで、多様なデザインにも、対応しています!

 

 

ガルバリウム鋼板屋根のデメリット

人気なガルバリウム鋼板屋根のデメリットも知っておきましょう。

  1. 初期費用(イニシャルコスト)が高い
  2. メンテナンス費用が高い
  3. 音がうるさい
  4. 強風で飛散しやすい
  5. 保証のハードルが高い
  6. サビることがある

 

それぞれについて簡単に解説していきます。

 

①初期費用(イニシャルコスト)が高い

ガルバリウム鋼板屋根の材工価格は、スレート屋根に比べると高いです。

種類によっては、瓦屋根と同等かそれより高いものもあります。

 

②メンテナンス費用が高い

メンテナンス費用は瓦屋根に比べると高いです。

ガルバリウム鋼板屋根はメンテナンスフリーではありません。

ガルバリウム鋼板屋根は表面を定期的に塗装メンテナンスすることを推奨されています。

目安としては、表面の塗膜が白亜化(チョーキング)したら(10~年)塗り替えとなります。

 

③音がうるさい

ガルバリウム鋼板屋根はトタン屋根と同じ金属屋根なので、雨音がうるさいです。

特に、瓦やスレートから葺き替えした場合、「雨音がうるさくて眠れない」と相談を受けることがあります。

施工後の対策は難しいため、音や睡眠に対して神経質な方はガルバリウム鋼板屋根で葺き替えるときにはよく検討されることをオススメします。

 

④強風で飛散しやすい

ガルバリウム鋼板立平葺きなどは、長尺もので、1枚当たりの面積が大きく、他の屋根材よりも1枚当たりの耐風性能が求められます。

一方で、経年した金属屋根を調査すると、屋根周辺部(軒・けらば・棟)からの雨水浸入や結露(くぎまわり、軒先)などで野地板が劣化している場合が多いです。

新築時での耐風性能はあっても、野地板の経年劣化によって、ガルバリウム鋼板屋根を留め付けているくぎ・ビスの保持力が低下してしまうと巨大台風でガルバリウム鋼板屋根が飛散するリスクがあります。

ガルバリウム鋼板屋根が飛散するときには、屋根全体がめくれて飛散するので、周辺へ大きな被害をもたらしますので要注意です。

 

⑤保証のハードルが高い

ガルバリウム鋼板の屋根材は保証がしっかり表示されているものがあります。

サビや穴あきへの保証が10~20年ついているものが多いです。

しかし、保証の内容には、免責事項がしっかり小さい字で記載されていて、実際に保証してもらうには、かなりハードルが高くなっています。

瓦やスレート屋根にくらべて、保証期間が長いので安心なように見えますが、よく免責事項を確認して保証の有無を評価しましょう。

 

⑥サビることがある

トタン屋根に比べて、錆びにくくなっていますが、ガルバリウム鋼板の屋根はもちろん、錆びます!(以下、日本金属屋根協会の技術資料からの抜粋です。)

緩い勾配での錆び(水溜まり)!

ガルバリウム鋼板立平葺きは0.5寸勾配からと緩い傾斜の屋根でも、唯一、対応できる屋根材です。

しかし、経年の建物の動きや屋根面における立平葺きのひずみ・少しの凹凸などで、水溜まり部ができてしまうと、腐食が進んで赤錆が発生します。

土ほこりが堆積しての錆び!

大気中と土中におけるガルバリウム鋼板の腐食速度は、大きく異なると報告されています。

土中におけるガルバリウム鋼板の腐食速度は大気中の約12倍大きく、めっき寿命としては、4年程度と極端に短命になります。

どんな屋根では、経年で土ほこりが堆積する部分があります。

ガルバリウム鋼板屋根で、土ほこりが堆積した部分では、他の部分の約10倍以上は腐食速度が速くなり、耐久性が大幅に低下し、赤錆が発生します。

塩害での錆び・穴あき!

塩害とは、海岸地域で、波浪によるしぶきが発生し、風により飛散し、建築物等への付着して、腐食が早まることをいいます。

塩害は、海岸からの距離が大きく関係しています。

そのため、ガルバリウム鋼板の保証の免責事項には、海岸からの距離が記載されているので、ご確認ください。

木材での錆び!

上の写真は、ガルバリウム鋼板屋根と木材との接触により赤錆が発生した事例です。

木材が湿ると、木酢液(木材中に含まれる酢酸が主成分)が染み出て、水分が酸性となるので、ガルバリウムめっき層が腐食し、その内側の鋼板が錆びてしまいます。

電食での錆び!

鉄くぎからのもらい錆びでも腐食が進行します。

その他、ステンレス鋼板製雪止金具やステンレス鋼くぎ・ビスとガルバリウム鋼板との間では、水が介在すると電食により、ガルバリウム鋼板に錆びが発生します。

施工時に付着した切粉、加工屑や切断面からも錆びが発生します。

 

ガルバリウム鋼板の屋根材としての特徴について詳しくはこちらの記事で解説しています。

どんな屋根材?知っておきたいガルバリウム鋼板のメリットとデメリット

 

ガルバリウム鋼板屋根の貼り方

ガルバリウム鋼板屋根には、「横葺き」と「縦葺き」があります。

●横葺き

屋根の水平方向(地面と平行)に屋根材の重なりができるように葺く貼り方です。

横葺きの寸法や柄などは多数あり、段葺き、平葺きなどが一般的です。

段葺きは上下のつなぎ目に段差があり、屋根面が立体的で重厚感のある印象となります。

平葺きは上下のつなぎ目が薄く、屋根面がフラットでスッキリした印象となります。

一枚一枚が小単位であるため、屋根下地に曲面があっても対応できます。

 

●縦葺き

屋根の軒先(先端側)に向かって雨水が流れる方向に屋根材の重なりができるように葺く貼り方です。

縦葺きは、雨水がスムーズに流れる貼り方であり防水性が高いため、緩勾配屋根にも対応しており、瓦棒葺きや立平葺きが一般的です。

瓦棒葺きは瓦棒という角材を30~40㎝ピッチで屋根面に縦方向で設置して、両端を立ち上げた金属板の溝板をその間に入れ込み、瓦棒にキャップ(包み板)をかぶせて仕上げます。

立平葺きは溝板両端の立上り部を巻きはぜに組み上げて仕上げたものです。

瓦棒を必要とせず、最近は流行りの施工方法です。

 

ガルバリウム鋼板屋根の貼り方について詳しくはこちらの記事で解説しています。

ガルバリウム鋼板屋根にはどんな貼り方がある?種類ごとの違いを解説

 

ガルバリウム鋼板屋根のメンテナンス

ガルバリウム鋼板屋根のメンテナンスについて紹介します。

  1. 定期的に水をかける
  2. 塗り替え
  3. カバー工法
  4. 葺き替え

 

それぞれについて簡単に解説していきます。

①定期的に水をかける

ガルバリウム鋼板は、塩分やほこりなどの付着により錆びが発生してしまうため、年に数回程度、水をかけると長持ちします。

水道水で表面の汚れを流すように水をかけましょう。

また、小動物(鳥など)の糞尿がかかった状態で放置すると錆びが発生するので、洗い流しましょう。

 

②塗り替え

ガルバリウム鋼板屋根にコケやチョーキング(色あせ)・錆びなどが発生している場合は、塗り替えが有効です。

錆びなどの劣化症状が見られるときは、表面の塗膜だけではなく、めっき層も劣化しているので、早めに塗装しないと劣化は拡がってしまいます。

塗装の費用目安は40~80万円程度とお考えください。

 

③カバー工法

ガルバリウム鋼板屋根の錆びが進行していたり、雨漏りしたりしている場合は塗り替えではなく、カバー工法によるメンテナンスがあります。

既存の屋根材の形状によって、新しい屋根材をその上にカバーする場合と新しい野地合板をその上にカバーしてから新たにガルバリウム鋼板屋根を設置する場合があります。

カバー工法は既存の野地合板が劣化していない場合となります。

カバー工法の費用相場は、80~200万円程度とお考えください。

 

④葺き替え

葺き替えとは、既存の屋根材をめくり、新しい屋根材に交換する工事です。

ガルバリウム鋼板屋根の錆びが進行していたり、雨漏りしたりしている場合は塗り替えではなく、葺き替えによるメンテナンスを行います。

とくに、既存の野地合板が劣化している場合は葺き替えをオススメします。

葺き替え工事の費用相場は、100~240万円程度とお考えください。

 

ガルバリウム鋼板屋根の種類別の費用

ガルバリウム鋼板の種類別の価格相場を、下記の表にまとめて紹介します。

ガルバリウム鋼板の種類相場価格/㎡
横葺き(断熱材なし)5,000~
横葺き(断熱材あり)6,500~
縦葺き(心木あり)5,200~
縦葺き(心木なし)5,800~
瓦調葺き8,000~
折板葺き6,000~

一口にガルバリウム鋼板屋根と言っても種類によって大きく費用差があります。

また、ガルバリウム鋼板は板厚みにより材料費が異なります。

一般の住宅用では、板厚み0.35mm程度です。

ホームセンターにおいてあるガルバリウム鋼板は板厚み0.27mmが多く安価となっています。

工場などの大型物件では、板厚み0.6mm以上と厚みを持たせて、耐久性・強度を持たせています。

厚いほど高くなりますので、比較する際には確認ください。

 

ガルバリウム鋼板屋根の種類と特徴について詳しくはこちらの記事で解説しています。

人気の屋根材!ガルバリウム鋼板の種類と特徴を徹底解説!

 

ガルバリウム鋼板屋根とその他の屋根の比較

ガルバリウム鋼板屋根とその他の屋根材を比較するポイントは主に6つあります。

  1. 価格
  2. メンテナンス費用
  3. デザイン
  4. 耐用年数
  5. 生活への影響 →防音性や断熱性
  6. 災害耐性

 

最初に気になる値段については、初期費用だけでなく、メンテナンス費用も含めて検討されることをオススメします。

デザイン性については、緩勾配や曲面に対応できるガルバリウム鋼板屋根は優れています。

耐用年数では、10年前後で塗装が必要なことや30年前後で交換が必要と考えておきましょう。

新築では、建物の寿命を何年設定して建築するかで、必要なメンテナンス費用が変わってきます。

長期優良住宅では、75年程度を想定しているので、費用を抑えるためにはメンテナンス費用が安価なものを選ぶことがポイントとなります。

 

様々な屋根材の特徴や価格について詳しくはこちらの記事で解説しています。

屋根材の特徴や価格が丸わかり!あなたの最適を選ぶポイント6つ紹介

 

ガルバリウム鋼板屋根の色の選び方

ガルバリウム鋼板は、色の種類が多く、色によって家の印象が大きく変わります。

ガルバリウム鋼板の色選びについて、簡単にまとめると以下となります。

黒 → ガルバリウム鋼板の主流の色。高級感と重厚感がありカッコいい。

ダークグレー → 黒のようにカッコ良く、汚れが目立たない

シルバー → メタリックな印象が近未来や明るさを感じさせる。

青 → スタイリッシュでクール。存在感があり個性的。

オレンジ → 穏やかな印象を与える。

赤 → バラのような色合いが上品さを感じさせる。

色の印象以外にも、サッシの色に屋根材の色を合わせることで、家全体の統一感を出すこともできます。

また、「つやあり」と「つや消し」では同じ色でも印象が大きく異なりますので、併せて選ぶようにしましょう。

ガルバリウム鋼板屋根の色選びについて詳しくはこちらの記事で解説しています。

人気の屋根材!ガルバリウム鋼板の色選びのコツと注意点を徹底解説

 

ガルバリウム鋼板で屋根の葺き替えを行うのはどう?

ガルバリウム鋼板で屋根の葺き替えを行うことはメリット・デメリットを把握した上で判断されることをオススメします。

他の屋根材からガルバリウム鋼板屋根に葺き替えるメリットは屋根の軽量化があります。

ただし、築40年以上前の建物では、ガルバリウム鋼板屋根に葺き替えしても耐震改修として不足となりますので、建物自体の耐震改修を検討してください。

デメリットとしては、雨音がうるさくなります。

既存屋根がスレートや瓦の場合、ガルバリウム鋼板屋根に葺き替えした後に、「雨音が気になって眠れない」とご相談を受けることがありますので確認しておきましょう。

また、ガルバリウム鋼板屋根はメンテナンスフリーではないので、瓦から葺き替えるときはご注意ください。

屋根の葺き替えは費用が高額であり、雨漏りなどの不具合も念頭に入れながら30年以上の付き合いとなるため、信頼できる業者に依頼することをオススメします。

 

屋根葺き替え工事の相場について詳しくはこちらの記事で解説しています。

屋根葺き替え工事の相場を知っておこう!リアルな金額を屋根屋が紹介

 

【まとめ】何を重視するのかで屋根材を選ぼう!

ガルバリウム鋼板屋根は金属屋根材なので軽く、トタン屋根よりもサビにくいなどの特徴から近年人気の屋根材となっています。

ガルバリウム鋼板屋根のメリット・デメリットを紹介しました。

屋根材を選ぶ6つポイントを紹介しましたが、どのポイントを重視するかで適する屋根材が異なります。

ガルバリウム鋼板屋根のメリットは軽さ、デメリットは雨音のうるささです。

屋根葺き替えなどを検討している方は、屋根の葺き替えは費用が高額であり、雨漏りなどの不具合も念頭に入れながら30年以上の付き合いとなるため、信頼できる業者に依頼することをオススメします。

 

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