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「パミール屋根」のはがれ・凍害を見てください!
こんにちは~。
屋根・雨漏りの調査員、神谷昭範です。
化粧スレート屋根材の中で、最近、問題となっているパミール屋根をあらためて観察してみました。
恐らく、自分の家がパミール屋根なのか?ほとんどの方がわかっていないと思います!
この記事で気になったら、すぐ、自宅の屋根を観察してください!
早ければ、早いほど、手遅れにならないですよ!
パミール屋根の現場での劣化状況
築15年のパミール屋根を観察しました。(もちろん、ローンも残っています!)
パミール屋根の劣化は以下の特徴があります。
①北面屋根
パミール屋根材の横の継ぎ目部分(矢印部分)や軒先側の先端部分が白くなっています。
これは表面剥離(ひょうめんはくり)により、白い基材が暴露しているためです。
北面の屋根はこの表面剥離が広い面積で発生している。
②南面屋根
こちらは、屋根材の表面全体が細かく白っぽくなっています。(矢印部分)
南面の屋根は小さい面積での表面剥離が無数に発生している。
北面の屋根材に比べて、横の継ぎ目部分や軒先の先端部分での広い面積での表面剥離は少なくなっています。
これは、屋根面にあたる日射量の違いが影響を与えています。
北面はあまり日射があたらないため、結露水が乾かず、凍害による剥離が進行しています。
もともとのパミール屋根材
上の写真では、もともとパミール屋根材がどのようになっていたのか?想像もつかないですよね!
実は、同じ家に劣化がほとんどしていない屋根も少しだけあったのです!
この写真は同じ物件の玄関上の下屋根のパミール屋根です。
同じ15年が経過しているのですが、
玄関上の屋根は全く剥離が起きていません!!
なぜ、こんなにも違うのか?
玄関部分の下屋根はその上に2階壁・2階屋根があり、放射冷却の影響を遮っています。(放射冷却は下記記事をご覧ください!)
冬季は放射冷却により、2階のパミール屋根材は毎日0℃を下回っています。
さらに、パミール屋根材は吸水性が高く、結露によって基材に多くの水分を含んでいます。
そのため、2階屋根では毎日凍結融解を繰り返すこととなり、基材強度が耐えられず、パミール屋根材はボロボロに表面剥離が発生します。
一方、玄関部分の下屋根は放射冷却の影響が少なく、0℃を下回ることが少ないため、凍害による表面剥離が発生しないと言えます。
屋根材と言えるのか?
このような表面剥離が発生するパミール屋根材は屋根材と言えるのか?
このように横の繋ぎ目部分が酷く剥離しています。
よく見てみますと、
剥離しているだけではなく、剥離しすぎて基材がなくなっている部分もあります。
もともと約6㎜ある基材が剥離しすぎて、0㎜になっています。
これが進行すると雨漏りの怖れがあります。
通常の屋根材ならば、塗装を行うことで劣化の進行を遅くします。
他の化粧スレートや金属屋根材などは定期的に再塗装する屋根材です。
しかし、パミール屋根材は塗装することもNGなのです。
塗装するには、基材を高圧洗浄によってきれいにする必要があるのですが、パミール屋根材では高圧洗浄すると基材の割れ・剥がれが著しいため、洗浄できず、塗装もできません。
パミール屋根は高圧洗浄するとボロボロなんです!
通常、化粧スレート屋根材に期待する耐久年数(CASBEEでは30年となっています!)を待たずして朽ちるパミール屋根材は屋根材と言えるのでしょうか?
さらに深刻な現象が!
朽ちている部分をさらに観察しました。
矢印の部分の基材がなくなっています。
ななめから見るとこんな感じです。
薄くなっている基材がさらに層状に剥離しそうな亀裂が観察できます。
ホントにヤバイですよ!
さらによく見るともっと深刻な状況が確認できました。
繋ぎ目部分から少し軒先側の部分に剥離がありました。
3㎜程度、深く剥離・陥没しています。
この部分はパミール屋根の構造上、スレートが1枚重ね部分となっています。
つまり、後3㎜深く剥離すれば、孔が貫通してパミール屋根材の下に雨水が大量に浸入することになります。
この部分もかなり剥離・陥没しています。
このような陥没となりますと水が溜まるため、加速度的に凍害が助長されます。
20年を待たずに孔が開き、雨水浸入する屋根材はどんなものでしょうか?
車業界ならリコールという制度がありますが、住宅ではあまり聞かないですね。
問題があると認識されていてもこのままなのでしょうか?
噂では、5年目に点検をしていないので、正しく、メンテナンスしていないから補償外だと言われる方もいるそうです!(これがほんとなら、あってはいけないことです!)
まとめ:化粧スレート屋根の方は、パミール屋根か?確認してくださいね!
パミール屋根だと劣化がどんどん進行してしまいます!
早めの対策が必要ですよ!
パミール屋根材自体も販売当初はアスベストが入っていない画期的な化粧スレート屋根材だったのですが・・・おそろしいものですね!
屋根は住宅の中では、もっとも厳しい環境下となりますので、新素材は耐久性をよく見定めて選ぶことがとても重要なんです!
これまでも、セメント系、樹脂系など多くの商品が不具合を発生して、消えていっていますのでご注意くださいね~!
どんなメンテナンスがあるのか知りたい方は下記をご覧ください!
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