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瓦屋根の補修 ラバーロック工法はお勧めできないですよ!
私が瓦屋根の点検、補修時に、屋根の上でよく見かけるものがあります。
それは瓦と瓦の重なりに施工されているシーリング剤のことです。
新築時に、瓦屋は瓦と瓦の重なりにシーリングすることはありません。
つまり、瓦屋根のメンテナンスで、シーリングされたものなのです。
一般的には、その瓦と瓦の重なりにシーリングするメンテナンスのことを「ラバーロック工法」と呼んでいます。
新築時に行わないシーリング施工がメンテナンスとしては、正しいことなのか、瓦屋として、よ~く考えみました。
この記事を読まれている方は、補修見積書などに「ラバーロック」と記載されているため、検索されているのだと思います。
ラバーロックの賛否はweb上で分かれていますが、専門の瓦屋の意見として、参考にしてください。
ラバーロック工法とは?
上写真は、ラバーロック工法施工後の状態です。
瓦の横や表面に白いシーリング剤が塗られています。
下の写真は、「瓦屋根では絶対やってはいけないこと」が行われています。
瓦の重なりの上下左右をすべてシーリングしてしまっています。
これではシーリングのわずかな隙間から瓦の中に入った雨水は瓦の表に排水されず、家の中へ伝わって、やがて雨漏りとなります。
また、上の写真は棟部(屋根の頂点)ですが、棟瓦とのし瓦をほとんど隙間なくシーリングしています。
ラバ―ロック工法とは、これら瓦と瓦の重なりにシーリングすることを言います。
繰り返しになりますが、新築時、瓦屋はこのようなシーリングを行いません。
ラバーロック工法のセールストーク
瓦をシーリング剤で連結させることは何の意味があるのでしょうか?
営業マンのセールストークは以下の内容だったと思います。
①瓦の隙間を塞ぐため、雨漏りを防ぎます。(雨漏り防止)
②台風などの大風で、瓦が飛散しないように瓦同士を接着します。(耐風対策)
③地震で棟が崩れるので、崩れないように接着します。(耐震対策)
④丁寧に施工します。瓦全部を接着させます。(瓦の隙間をふさぐ)
一見、とてもいい工法のように感じますね。
ホントなのでしょうか?
しかし、実はとても問題の多い工法なのです。
ラバーロック工法の問題点
ラバーロック工法の問題点は4つあります。
- 雨漏りを助長する
- 瓦下の通気・換気ができなくなる
- 巨大地震では、逆効果
- 悪徳業者が多い
以下、それぞれについて、簡単にご紹介します。
雨漏りを助長します!
ラバーロックをして中途半端に瓦の隙間をふさいでしまうと、強風雨時に瓦内に浸入した雨が逆に排水できなくなります。
瓦の形状は立体的なので、完全に瓦同士の隙間をシールする(防水という考え方)ことはできないのです。
瓦は元来、瓦同士の重なりで雨の浸入を防ぐ構造となっています。(雨仕舞/あまじまいという考え方)
瓦同士の隙間から瓦の中へ雨が浸入しても、下の瓦の隙間から、また外へ出る仕組みとなっています。
通気・換気ができなくなります!
ラバーロックして隙間をふさぐと、瓦下の湿気を排湿できなくなります。
瓦と瓦の隙間から換気ができるという瓦の良さをわざわざお金を掛けて、潰してしまいます。
換気ができなくなると瓦下にある桟木・野地板の腐朽リスクが高まります。
巨大地震では、逆効果!
瓦同士を連結させるため、巨大地震では大きな塊となって屋根から落下する可能性があり、逆に被害が発生するリスクが高まります。
実際にラバーロックの耐震性・耐風性を瓦屋根のガイドライン試験で確認してみました。
耐震試験⇒不合格 逆効果も確認できました。
耐風試験⇒不合格 瓦がくぎ留めしていないと効果はほとんどありませんでした。
ラバーロック工法のガイドライン試験結果について、詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
【実験したよ】価格の安さでラバーロックを勧めてくる業者には注意して!
大阪府北部地震で実棟検証⇒被害発生していた!
2018年6月18日に発生した大阪府北部地震の屋根調査で、ラバーロック工法されていた屋根を数棟確認することができました。
そのラバーロックされた屋根は、全て地震被害を受けていて、ブルーシートが掛かっていました!
耐震実験と同様で、実棟検証でもラバーロック工法の耐震性が乏しいことを確認しました!
悪徳業者が多い!
このラバーロック工法を積極的に勧める業者は、ほとんどが瓦屋ではありません。
効果的な耐風改修・耐震改修方法として、部分補修や葺き直し、葺き替えの提案を瓦屋だとするはずです。
お客様の予算がない場合、その予算に合わせる方法として接着補強となります。
そのため、仮にラバーロックする見積では、高額にはなっていないと思います。
ラバーロックをしたら、瓦を葺き直すのと差がない高額な請求されたという話を聞くことがありますが、そういう場合は悪徳業者がほとんどです。
ラバーロック工法するなら、くぎの増し打ちも。
今よりは益しだと思って、ラバーロック工法をする場合は、併せて、少しでも多く瓦をくぎやビスで留める増し打ちと併用することが大切だと思います。
瓦を留め付けた周辺を接着補強することは、それなりに効果があります。
予算との兼ね合いだと思いますので、瓦屋さんとご相談ください。
瓦屋根で雨漏りした場合、ラバーロック工法では直りません。
瓦屋根で何か雨漏りなどの不具合がある場合は、瓦屋さんが瓦をめくりながら屋根下地の不具合を探して、その部分を補修しなければ直りません。
瓦の表面をシーリングするラバーロック工法で、雨の浸入口をふさごうとしても解決できないと思っていてください。
瓦屋根の雨漏りの補修方法については、こちらの記事に詳しく記載していますのでご参考にしてください。
瓦屋根の雨漏り・・・その原因は?補修は自分でやっても大丈夫?
まとめ:ラバーロック工法は瓦屋として、お勧めできません!
リフォーム屋さん、訪問販売業者さんなどから、瓦屋根の補修に関して、「ラバーロック」という言葉がでましたら、その業者を完全には信用しないでください。
恐らく、瓦の補修が得意な業者さんではないと思います。
他の瓦が専門の工事屋にもご相談されるのも、1つの手だと思います。
何十年に1度の瓦屋根のリフォーム・修理ですので、慎重にお選びください。
何か疑問に感じたら、お気軽にお問い合わせください。
お電話でも大丈夫ですよ!
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