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ラバーロック・瓦屋根台風被害と古い瓦屋根の耐風対策を紹介します!
瓦屋根にお住まいの方から、よく「ラバーロック」について、お問合せいただきます。
訪問会社の瓦屋根補修の見積書に、「ラバーロック」と書いてあったそうです。
お客様ははじめて見る言葉なので、webで検索されているようです。
弊社の記事を見て、「ラバーロック」について、細かく内容をご質問受けます。
とくに、以下の2点はよく聞かれます。
ラバーロックと見積書に書いてあるけど、雨漏り・耐風・耐震対策として、効果ありますか?
ラバーロックの見積相場は、どのくらいですか?
そこで、一昨年、昨年の台風被害調査、地震被害調査から、
「ラバーロック」された屋根の被害について、まとめてみました。
この記事では、「ラバーロック」の屋根被害と瓦屋根の耐風対策をわかりやすくご紹介します!
訪問会社が行う古い瓦屋根のメンテナンス手法はこれです!
訪問会社が、瓦屋根でメンテナンスを提案する内容は、大きく3つあります。
瓦同士の隙間を接着するラバーロックのメリットデメリット
「ラバーロック」とは、瓦同士の隙間を接着することをいいます。
上の写真はラバーロックされた日本瓦の屋根です。
⇒の部分(瓦の山部)で、上下の瓦を接着しています。
また、左右の瓦を接着する場合もあります。
メリットとしては、瓦のズレ防止には、効果があります。
デメリットとしては、雨漏り、耐風・耐震対策には、大きな効果はありません。
ラバーロックした屋根の台風被害を後で、紹介します!
瓦屋根の棟部(屋根の頂部)で使われている、しっくいの増し塗りのメリットデメリット
「しっくいの増し塗り」とは、瓦屋根の棟部(屋根の頂部)の経年したしっくい(白い部分)を上から重ねて塗ることです。
しっくいとは、その内側にある葺き土が強風雨で流れ出ることを防ぐためのものです。
しっくいが少しはがれ落ちる程度では、雨漏りの心配はありません。
メリットは葺き土が丸見えの場合、葺き土の流出防止のためには、安価な手法です。
デメリットはしっくいを塗り過ぎるとかえって、雨漏りを発生させる原因にもなります。
また、葺き土の流出を防ぐだけ効果しかなく、コストパフォーマンスは悪いです。
もう少し金額を足して、耐震・耐風対策の補修工事となる冠1本伏せに棟を葺き直すことをおススメします。
古い瓦屋根を金属屋根に葺き替えのメリットデメリット
古い日本瓦屋根から金属屋根への葺き替えを提案します。
古い瓦屋根の雨漏りなどは、部分補修が可能です。
しかし、訪問会社は細かい修繕より、全体的な補修をすすめます。
メリットは、屋根の重量が軽くなります。
デメリットは、雨音が気になる、夏が暑いなどがあります。
さらに、費用的には、瓦の部分補修に比べ、高額となります。
上の3つのメンテナンス方法は、瓦屋からするとおススメできません。
理由としては、どれもコストパフォーマンスが低い補修方法だからです。
訪問会社ではなく、地元の瓦工事業者にメンテナンスを依頼することをおススメします!
台風被害調査で確認したラバーロック済み屋根の被害状況です。
屋根台風被害調査で、確認したラバーロックでの補修済み瓦屋根の被害を紹介します!
全面に被害①
・平部の瓦と瓦の横面および山部をラバーロックしてあります。
・棟部ののし瓦同士をラバーロックしてあります。
しかし、ブルーシートが大きくかかり、台風による被害が発生していました。
全面に被害②
・棟部と平部に被害が発生していました。
全面に被害③
・屋根から降ろしてある瓦はラバーロックの接着剤が残っていました。
棟部に被害①
右側にブルーシートで養生してありました。
・棟部に被害が発生し、ブルーシートがかかっていました。
棟部の被害②
・棟部に被害が発生し、テープ養生されていました。
棟部に被害③
・棟全体が傾き、テープで養生されていました。
平部に被害①
・平部が部分的に被害を受け、青い塗料で応急処置されていました。
上記写真のように、ラバーロックの屋根は、ほとんど被害が発生していました。
耐風性能を向上させるとは、言い難いです。
また、実際にラバーロックの屋根の耐風性能・耐震性能を確認するために、ガイドライン試験を行いました。
その結果、どれもガイドライン試験を行い、不合格でした。
詳しくは、こちらの動画をご覧ください。
以上より、耐風性能を上げるための補強は、ラバーロック以外をおススメします!
古い日本瓦屋根の耐風対策(平部)をご紹介します!
前提として、瓦屋根工事業者に相談してください。
古い瓦屋根の耐風対策は、瓦屋根工事業者に相談してください。
「餅屋は餅屋」と言いますが、まさに、「瓦屋根は瓦屋」がもっとも詳しく、正しい回答がかえってくると思います。
瓦屋なら、現状の屋根の状態を正しく評価して、予算に合った提案が可能です。
別の業種の工事店に相談すると、「瓦は重いので、屋根は軽い方がいい」と金属屋根への葺き替えを熱心にススメます。(屋根の葺き替えは売上が大きいため)
瓦屋ももちろん、お客様の要望があれば、金属屋根も工事します。
つまり、瓦屋根工事業者に相談した方が選択肢が拡がり、選びやすくなると思います。
それでは、具体的な瓦屋根の耐風対策をご紹介します。
既存の屋根は年代によって、留め付け具合が異なりますので、ケース別に示します。
瓦屋根がくぎ留めされていないケース(築50年以上)
瓦をくぎ留めしましょう!(軒先・けらばの瓦は、3か所留め)
50年以上前の屋根は、瓦は屋根に引っかかっているだけで、留め付けされていません。
耐風対策としては、瓦を全部留める(葺き直し)必要があります。
費用的には、かなり高額の工事となります。(葺き替えよりは、安価です。)
古い瓦を留付ける葺き直しと新しい屋根材にする葺き替えの両方を検討されることをおススメします!
ラバーロックしても、耐風対策にはなりません。
瓦屋根の周辺(軒・けらば)がくぎ留めされているケース(築50年以内)
平部の瓦をくぎ留めしましょう!
平部の瓦は、屋根に引っかかっているだけです。
耐風対策としては、瓦を全部留める(葺き直し)ことが必要です。
強風地域では、瓦を留付けた上で、接着剤で補強することもおススメします!
ラバーロックだけしても耐風対策にはなりません。
瓦屋根がくぎ留めされているケース(築30年以内)
平部のくぎで留め付けていない瓦をくぎ留めしましょう!
平部の瓦は、3段、もしくは4段に1枚くぎ留めしてあります。
残りの瓦を留付けることが必要です。
くぎ留めしている下段の瓦は、くぎ留めできません。
その部分は、接着剤でくぎ留めした上下の瓦と連結してください。
築30年以内であれば、他の屋根材への葺き替えよりもかなり安価に耐風対策ができます。
くぎ留めした上で、ラバーロックするのであれば、耐風性能が向上します。
瓦屋根が防災瓦となっているケース(築15年以内)
築15年以内の瓦屋根であれば、多くは全数留め付けとなっています。
さらに、瓦が防災瓦であれば、耐風性能が高いので、対策する必要はありません。
ラバーロックは全く必要ありません。
古い日本瓦屋根の耐風対策(棟部)をご紹介します!
古い日本瓦屋根の棟部が自然災害でもっとも被害が多く発生しています。
平時に内に、メンテナンスをご検討ください。
自然災害で被害を受けてからよりも、時間・費用とも大幅に削減できます。
瓦屋根の棟部が旧工法のケース(築20年以上)
古い日本瓦屋根の改修の中では、棟部の葺き直しは、もっともコストパフォーマンスが高いメンテナンスと言えます。
築20年以上前の日本瓦屋根の棟部は旧工法と呼ばれる大回し工法となっています。
葺き土の固着力だけで、維持されているので、巨大地震・巨大台風にもっとも弱い仕様です。
古い棟部を解体して、現在の耐震・耐風性能の高いガイドライン工法へ葺き直ししましょう!
平部よりも棟部を葺き直しした方が、被害の範囲はかなり小さくなります。
築20年以上であれば、まず、旧工法と思っていただいて間違いありませんので、是非、ご相談ください。
瓦屋根の棟部がガイドライン工法のケース(築20年以内)
築20年以内であれば、ガイドライン工法(耐震・耐風仕様)の可能性もあります。
ガイドライン工法であれば、メンテナンスする必要はありません。
見分け方としては、ご自宅の屋根の棟部を見て、棟部の側面に銅線が見えなければ、ガイドライン工法とお考えください。
逆に、銅線が見えるようであれば、旧工法の可能性もあります。
一度、近くの瓦屋さんに点検してもらってください。
写真を送っていただければ、写真から点検することも可能です。
お気軽にお問合せください。
古い日本瓦屋根の耐風対策は瓦工事業者にご相談ください。
瓦屋根のメンテナンス見積で、ラバーロックという言葉が書いてあったら、詳しく状況を聞きましょう。
その他のメンテナンス方法も検討してください。
瓦にくぎが留まっていないのに、ラバーロックをする効果は低いです。
まず、瓦をくぎ留めする見積をしてもらいましょう!
自然災害の被害を軽減するには、古い日本瓦屋根の棟部を葺き直しすることがコストパフォーマンスの高いメンテナンスです。
古い日本瓦屋根のメンテナンスは、瓦工事業者に相談してください。
愛知県でしたら、是非、弊社にご相談・お問合せください。
ご希望になるべく沿うプランをご提案いたします。
神清からのお願い
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