アスファルトシングル台風被害者からのご相談 シングルセメントなしでもいいの?

Dr.神谷
Dr.神谷
  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!
    神清(かみせい)のDr.神谷です。

    先日、大阪のお客様からアスファルトシングルの台風被害補修内容について、ご相談いただきました。
    半年以上経過しても、まだまだ、混乱しているようです。
    建築業界として、悲しいお話もありましたので、簡単にご紹介します!

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昨年の台風で、アスファルトシングル屋根が飛んだ!

昨年の台風によって、屋根に被害を受けた大阪のお客様からご相談をいただきました。

主な内容としては、以下の通りです。

・築7年程度

・アスファルトシングル屋根の片面がかなり飛散した

・同じ建築会社が建てたアスファルトシングル屋根は他でもたくさん飛散している

・半年経過しても補修できていない

・補修内容・金額が2社の業者さんによって大きく違っているので、どちらが正しいの?

そのご相談の中で、建築業界としては、悲しくなるお話がありました!

 

耐風等級2を満たしているので、問題ない?

お客様が「築7年で屋根材が飛散するのは、おかしいのでは?」と建設会社にクレームをつけたところ、以下の回答があったそうです。

「問題はない。」その理由としては、

・建築基準法を違反していない。

・耐風等級2を満たしている建物だから。

お客様は建築のルールがよくわからないので、納得できないがしぶしぶ引き下がったそうです。

上の理由は本当なのでしょうか?

建築基準法を違反していない?

屋根材で関係してくる内容を簡単に表現すると、

「屋根ふき材は風圧によって、脱落しないようにしなければならない。」

「風圧は無限ではなく、その建物・地域などの基準に従って、安全であればよい。」

大阪の基準風速は風速34m/sとなっています。

アスファルトシングルのカタログ値では、風速38m/sです。

このアスファルトシングルのカタログ値が正しければ、違反していないことになります。

耐風等級2ってなに?

住宅性能表示制度の中にある風の力が加わった時の建物の倒壊・損傷のしにくさを評価したものが耐風等級です。

上の図は、耐震・耐風等級を評価する項目を示しています。

建物の壁量・壁の配置・床倍率・接合部・基礎・横架材をそれぞれチェックして、評価していきます。

しかし、これは建物自体の強度の話です。

屋根材の強度は全く関係ない話です!

お客様の屋根材が飛んだというクレームに対して、全く関係ない「耐風等級」というもっともらしい言葉で、ごまかしているのです。

 

さらに、飛散したアスファルトシングルの残骸を確認すると「シングルセメント」が使用されていなかったそうです。

「シングルセメント」がないのは、施工マニュアル違反?

この事実についても、お客様が建築会社へ確認すると、

「シングル屋根メーカーと建築会社で独自の施工マニュアルを作成している。」

「メーカーが承諾した施工方法なので、問題ない。」

との回答だったそうです。

これは、いろいろと問題が出てきそうな話です!

そこで、カタログを確認してみました。

数年前のカタログ

少し前のカタログには、以下の表現が記載されていました。

「セルフシーラント」とは、シングル材にあらかじめ張り付けてある接着剤のようなものです。

メーカーの説明では、ひと夏超えると「セルフシーラント」が熱でやわらかくなり、接着性が高くなるというものでした。

そうなれば、くぎ打ち+接着剤の効果で、耐風性能が上がる仕組みとのことでした!

ひと夏超えるまでの仮止めとして、「シングルセメント」を使用するという説明です。

これを見ると、建築会社が言っている、「シングルセメント」を省略する施工もあり得るのか?と思いました。

最近のカタログ

しかし、最近のカタログでは、以下の表現に変更されています。

仮止めの表現がなくなっています。

 

いくつかの疑問点

①標準仕様実験(風速38m/s)とは、シングルセメントを使用した試験だったのか?

②建築会社オリジナルの「シングルセメントなし」工法では、大阪の風速34m/sがクリアできるのか?

③いつから仮止めの表現がなくなったのか?

④想定以上の大型台風が上陸したので、アスファルトシングルの標準仕様性能を超えてしまったのか?

 

お客様の話を聞いて、上記、疑問点が浮かんできました。

これらを確認することはできませんが、

築7年で大切な我が家の屋根が飛んでしまった、お客様が

納得できないのは、もっともだと思います!

 

アスファルトシングルへの心配ごと

「シングルセメント」を使用する工法は、施工のバラツキが出やすいと思います。

100㎡の屋根で、シングルセメントを2,800回使用するのです。

量のバラツキで耐風性能が変わってしまうのです。

施工後は、シングルの下に隠れてしまうので、誰も確認できません。

不安ですよね~!

さらに、アスファルトシングルの国産、外国産とメーカーごとに施工マニュアルが違うのです。

詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

アスファルトシングル葺きの施工マニュアルを国産・外国産で見比べてみました!

 

お客様は、

「この半年の屋根が飛んだ心労を建築会社へ何とか責任を取らしたい。

シングルで困っている人達で集団訴訟を起こしたい。

でも、大変だから、納得できないけど、火災保険で直すしか、ないですよね。」

と言われていました。

おっしゃるように、建築の裁判は大変で、むずかしいと思います。

 

これからますます、巨大台風がやってくることを考えると、

あらためて、屋根材の選択・施工の重要性を感じました!

 

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