「茅葺き屋根」から「板葺き屋根」へ
天皇の即位後、一代一度斎行される大嘗祭の主要建物として、大嘗宮があります。
これまでは、茅葺き(かやぶき)屋根だったのですが、令和では、板葺き屋根へ歴史上はじめて、仕様変更されたそうです。
宮内庁の説明では、板葺き屋根へ変更した要因として、
・茅(かや)資材の慢性的不足
・価格の高騰
・職人の高齢化と人数不足
以上、3点だったそうです。
数十年に1回の伝統的・最重要な建物の屋根の仕様変更は、私にとっては、とても驚きです。
「伝統文化」、「技術伝承」と合理性、経済性は、矛盾することが多いと思います。
しかし、伝統文化・技術伝承は、大切にしていただきたいです。
屋根に関して、ご紹介します!
茅葺き屋根とは・・
茅葺き屋根で有名なのは、世界遺産にもなっている岐阜県・白川郷があります。
幾重にも重なった茅(かや)が雨・雪の浸入を防ぐ構造となっている屋根です。
昔の農村では、数多く見られた屋根です。
1960年代には、約500万棟あったのが、
現在では、10万棟にまで、減少しているそうです。
神棚の茅葺き屋根は、こんな感じです。
板葺き屋根とは・・
板葺き屋根は、文字通り、板を材料とした屋根です。
上の写真はこけら葺きで、木材の薄板を用いて施工する方法です。
こちらも伝統工法であり、多くの文化財の屋根で、見ることができます。
薄板の重なりで雨の浸入を防いでいます。
神棚の板葺き屋根は、こんな感じです。
「茅葺き屋根」or「板葺き屋根」?
参考までに、神棚の金額を比較してみますと、
茅葺き屋根は60,000円に対して、板葺き屋根は15,000円と1/4で、安価になっています。
同様の価格差があったか、わかりませんが、板葺き屋根の方が安価なのは、確かだと思います。
しかし、一説には、予定落札価格の6割で、清水建設さんが落札したそうです。
それならば、伝統文化の茅葺き屋根に戻しても、予算的には、十分、可能だったと思います。
職人の高齢化・人手不足は、施工する物件を確保することで、つながっていくと思います。
技術が途絶えてしまうと、白川郷などの観光資源である世界遺産の伝承もむずかしくなります。
瓦屋根も同様の悩みがあります!
瓦屋根も今回の話に、通じる悩みがあります。
・原料である粘土の枯渇化
・職人の高齢化と人手不足
これらは、屋根業界でもよく聞く話です。
京都・奈良をはじめてとして、日本全体にある観光資源として、社寺仏閣・城郭などがあります。
これらの建物は、ほとんど瓦屋根となっています。
何十年、もしくは、100年単位で、屋根の葺き替え・補修が必要となります。
現在は、日本に数多くある、お寺の屋根の補修・葺き替えが続いているので、
瓦の生産・屋根施工の技術伝承がつながっています。
今後も、お寺の文化を守っていくことが、観光資源の一部を担っている瓦文化の技術伝承につながると思います。
予算・経済性も重要ですが、日本の文化・観光資源を守ることには、予算を確保してほしいと願います。
屋根に関して、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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