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日本瓦は100年以上の歴史があります。
瓦は1400年の歴史があると言いますが、
これは、中国式で上瓦・下瓦を組合せて、屋根を並べる瓦です。
元興寺に健存する瓦です。
一方、日本瓦は、江戸時代に開発されたのですが、
一般に普及したのは、明治時代以降です。
日本瓦を年表にまとめたものがあります。
(愛知県陶器瓦工業組合のホームページより)
この年表を簡単に説明します。
関東大震災より前は土葺き工法です。
今から100年前は、べた置きと呼ばれる土葺き(どぶき)工法で、日本瓦を施工していました。
ご自宅が100年前なら、日本瓦の下には、葺き土(ふきつち)が入っていると思ってください。
関東大震災から伊勢湾台風までは引掛け桟葺きです。
関東大震災で、日本瓦屋根に被害が発生して、土葺き工法から引掛け桟葺き工法へ変わっていきました。
引掛け桟葺き工法とは、日本瓦の裏面に突起物を出して、屋根面の瓦桟木に瓦を引掛けて固定する方法です。
土葺きや引掛け桟葺きがわからない方はこちらをご覧ください!
屋根は軽くなり、施工も簡素化されたので、
70年前の伊勢湾台風までは、日本瓦は引掛け桟葺き工法が主流になっていきました。
伊勢湾台風で瓦が飛ぶ被害を受けて、48年前から日本瓦の留付けが規定されました!
今から48年前に、告示109号により、平部の留付けが規定されました。
屋根瓦は、軒及びけらばから2枚通りまでを1枚ごとに留め付けることになりました。
屋根の手前と端は銅線などで緊結することが主流です。
棟は1枚おきごとに、銅線、鉄線、くぎ等で下地に緊結し、又はこれと同等以上の効力を有する方法ではがれ落ちないようにふくことになりました。
これから、棟部は大回し工法が主流となっていきます。
大回し工法は現在では、耐震性の低い旧工法と呼ばれています。
詳しくは、こちらをご覧ください!
30年前から平部にも数段おきに釘打ちするようになりました。
平成2年、3年の台風19号で被害が発生して、平部にも釘を打つようになりました。
平成2年に、5段に1枚の釘打ち、平成3年に、4段に1枚の釘打ちと強化されました。
棟部の施工も金物などを入れる方式がとられました。
この頃は、関東地方は引掛け桟葺き工法、中部より西は土葺き工法が多く施工されていました。
24年前に阪神淡路大震災が発生しました。
瓦屋根だけでなく、多くの建物、ビルでも大きな被害が発生しました。
この地震をきっかけに土葺き工法は標準工法から外れていきました。
18年前にガイドライン工法が開発され、推奨されました。
阪神淡路大震災以降も鳥取西部地震、芸予地震なども発生しました。
それに対応するため、2000年の建築基準法改定されました。
その後、業界として、瓦屋根標準設計・施工ガイドラインを制定しました。
それ以降、耐風性能、耐震性能を担保する施工が業界で推奨されました。
平部の釘打ちは大幅に変更され、千鳥打ちまたは全数釘打ちが広まっていきました。
棟部も棟補強金物を入れた耐震工法(ガイドライン工法)が徐々に認知されました。
2001年頃には防災瓦も登場!
2001年にガイドラインが制定され、瓦の耐風性能の評価方法が確立されました。
それにより、80年以上大きな変化のなかった日本瓦が、瓦自体の改良で、耐風性能を向上させるという、瓦の進化も起きました。
これが、防災瓦となります。
基準風速32m/sだった瓦が、防災瓦となり基準風速46m/sに向上しました。
10年前にはほとんど全数釘打ち・防災瓦へ!
それ以降も、数年おきに発生する自然災害を受けて、より耐震・耐風性能を高める仕様となっています。
10年前には、ほぼ全数釘打ち、防災瓦が標準となりました。
今回の千葉県の台風でも、築10年程度の建物の瓦屋根は、被害が少なかったようです。
現在の仕様である全数釘打ち・防災瓦、耐震棟なら安心です!
現在の仕様である全数釘打ち・防災瓦・耐震棟なら安心です!
しかし、既存で残っている日本瓦の場合、築年数を経過したものがほとんどだと思います。
●築100年なら土葺き⇒今後も生活するなら、瓦で葺き替えましょう!
●築70年なら釘なし⇒巨大台風の被害に遭う前に、補修しましょう!
●築50年なら平部は釘なし⇒平部の留付け、棟の補修をしましょう!
●築15年なら平部は釘打ち⇒平部の補強と棟の補修をしましょう!
●築10年なら棟部だけ点検しましょう!
ご自宅の築年数に当てはめて、みてください。
平時に、日本瓦屋根を見直すことが、家を守ることにつながります!
ポイントまとめ
・日本瓦は100年間で大きく変化しました!
・現在の仕様なら安心です!
・古い日本瓦は一度補修を検討しましょう!
屋根に関して、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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