瓦工事をするなら知っておくべき5つの瓦の単価を屋根屋が解説

Dr.神谷
Dr.神谷
  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!神清(かみせい)のDr.神谷です。

    弊社は、高浜市・半田市にある創業150年老舗三州瓦の生産・販売・工事を行っている会社です。
    年間200棟以上の雨漏り調査・修理を行っています。
    建築業界誌「日経アーキテクチュア」の連載記事「新次元!雨漏り対策」を執筆しています。

本記事はこんな人にお勧めします。

  • 瓦工事をするなら知っておくべき瓦の単価を知りたい
  • 瓦はどのような種類に分類されてそれぞれがどれくらいの単価なのかを知りたい
  • 瓦の単価が屋根修理工事全体の価格にどの程度影響するのかを知りたい

この記事で伝えたいこと

この記事は、「瓦工事をするなら知っておくべき瓦の単価を知りたい」「瓦はどのような種類に分類されてそれぞれがどれくらいの単価なのかを知りたい」という方に向けて書かれています。

瓦の単価は、1枚だけだとそこまで負担には感じませんが、屋根全体に関わる工事だと、瓦の単価が工事のトータル金額に大きく影響します。

瓦工事を検討している方は、瓦の単価は気になるポイントですよね。

本記事では、瓦工事をするなら知っておくべき瓦の単価について解説していきます。
この記事を読めば、瓦の種類や特徴について詳しくなれます。ぜひ参考にしてくださいね。

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瓦工事をするなら知っておくべき5つの瓦の単価

瓦工事をするなら知っておくべき5つの瓦の単価について紹介します。

  1. 釉薬瓦(ゆうやくがわら)
  2. いぶし瓦
  3. 素焼き瓦
  4. セメント瓦
  5. モニエル瓦

それぞれの瓦の耐用年数と瓦の単価の目安をまとめてみました。

瓦の種類分類耐用年数瓦の単価の目安
釉薬瓦粘土瓦60~年7,000~9,000円/㎡
いぶし瓦粘土瓦60~年8,000~12,000円/㎡
素焼き瓦粘土瓦60~年7,000円/㎡
セメント瓦セメント屋根材20~30年7,000~円/㎡
モニエル瓦セメント屋根材25~30年7,000円/㎡(現在廃盤品)

次の章からそれぞれ詳しく解説していきます。

 

【瓦工事をするなら知っておくべき瓦の単価】①釉薬瓦

釉薬瓦(ゆうやくがわら)とは、瓦の表面に釉薬をかけて焼成した粘土瓦の一種類です。

釉薬の調合を変更することで、様々な色の瓦を造ることができます。

耐用年数は60~年以上で、単価は7,000~9,000円/㎡です。

釉薬とは、お茶碗やお皿などでも使用されている焼き物の表面を着色するガラス質の層のことです。

粘土瓦の80%以上が釉薬瓦となっています。

釉薬瓦は裏面は粘土素地の色となっており、オレンジ~黄土色です。

 

【瓦工事をするなら知っておくべき瓦の単価】②いぶし瓦

いぶし瓦とは、粘土瓦の中の1種類で、焼成過程の後半に燻化(くんか)と呼ばれるいぶす工程で瓦全体に炭素被膜を形成させた瓦のことです。

耐用年数は60~年以上で、単価は8,000~12,000円/㎡です。

いぶし瓦の特徴は表面だけではなく、割れた断面の中まで炭素の黒~銀色となっています。

粘土瓦の15%程度がいぶし瓦となっています。

 

 

【瓦工事をするなら知っておくべき瓦の単価】③素焼き瓦

素焼き瓦とは、粘土瓦の中の1種類で、表面に釉薬は施されておらず、粘土素地を酸化状態で焼成したままの瓦のことです。

耐用年数は60~年以上で、単価は7,000円/㎡です。

素焼き瓦の特徴は表も裏も同じ素地の色となります。

釉薬瓦・いぶし瓦・素焼き瓦とも粘土素地は同じで、着色の製法が異なるだけです。

また、粘土瓦はどれも塗装品ではないので、塗装メンテナンスはNGとなっており、耐用年数はどれも変わりません。

 

【瓦工事をするなら知っておくべき瓦の単価】④セメント瓦

セメント瓦とは、セメント屋根材の中の1種類です。

粘土瓦とは異なり焼成しておらず、セメント・砂・水を固めたもので、着色は塗装です。

耐用年数は20~30年で、単価は7,000~円/㎡です。

セメント瓦表面の塗料は10年程度で色落ちするため、定期的な塗装メンテナンスが必要です。

 

【瓦工事をするなら知っておくべき瓦の単価】⑤モニエル瓦

モニエル瓦とは、日本モニエルという会社が生産したコンクリート瓦の総称のことで、セメント・砂からできているセメント屋根材の1種類です。

世界的屋根材会社でしたが日本市場から撤退したため、モニエル瓦は全て廃盤品となっており、在庫品もありません。

製品はないのですが、昔施工したモニエル瓦の耐用年数は25~30年で、単価は7,000円/㎡程度だったとお考えください。

セメント屋根材なので塗装品であり、10年毎に塗装メンテナンス必要な屋根材です。

 

上記のように〇〇瓦と言っても、粘土瓦とセメント屋根材では、耐用年数と塗装メンテナンス有無が異なりますので、どちらなのか確認しておきましょう。

 

 

瓦は形状別にも分類できる

瓦は形状別に分類することも可能で、形状ごとに価格の違いがありますので紹介します。

  1. 日本瓦(J形瓦)
  2. 平板瓦(F形瓦)
  3. 洋瓦(S形瓦)
瓦の種類(形状別)瓦の単価の目安
日本瓦(J形瓦)7,000~12,000円/㎡
平板瓦(F形瓦)7,000~7,500円/㎡
洋瓦(S形瓦)8,000~9,000円/㎡

それぞれについて簡単に解説します。

日本瓦(J形瓦)

日本瓦とは波形状の瓦で、もっとも多く使用されている瓦です。

特徴としては、棟部(屋根の頂部)にのし瓦積みと呼ばれる高さのある棟部を施工することとその棟部の端部に鬼瓦を設置することです。

また、屋根の軒・けらば部には役物瓦(やくものかわら)と呼ばれるデザインが異なる瓦が用意されており、高級感を演出できるようになっています。

家紋を軒瓦1枚ずつに入れることも可能ですし、鬼瓦に金焼きの家紋を入れることもできます。

釉薬瓦・いぶし瓦・素焼き瓦のどれでも日本瓦はあります。

単価の目安としては、7,000~12,000円/㎡と棟部・軒部・けらば部の仕様によって大きく異なります。

現在はガイドライン工法と呼ばれる耐震・耐風工法が標準となっており、自然災害にも耐える仕様です。

昔の日本瓦は旧工法となっているので、耐震・耐風補強を行う必要があります。

 

平板瓦(F形瓦)

平板瓦とはほぼ平らな形状の瓦で、現在の新築では主流に使用されている瓦です。

日本瓦とは意匠性が大きく異なるので、粘土瓦と認識されていない方も多いようです。

ほとんどが釉薬瓦となっていて、単価の目安は7,000~7,500円/㎡ともっとも安価な粘土瓦です。

多くの住宅会社に採用されており、住宅展示場の粘土瓦は平板瓦をよく見かけます。

 

洋瓦(S形瓦)

洋瓦とは大きな山のある形状の瓦です。

以前は洋風住宅などでよく使用された瓦ですが、現在は大型物件などが多いようです。

釉薬瓦がほとんどで、単価の目安は8,000~9,000円/㎡です。

 

 

瓦工事にはどんな費用が必要なのか?

葺き替えなどの瓦工事における、瓦の単価以外に必要な費用を紹介します。

  • 足場費用
  • 既存屋根材の撤去・処分費用
  • 下地補強費用

足場は屋根の全周を囲う形で設置し、足場面積で800~1,200円/㎡が目安とお考えください。

葺き替えなどでは、既存屋根材の撤去・処分費用がかかり、5,000~円/㎡が目安とお考えください。

下地補強は野地板の補強や防水シートの施工費用がかかり、3,000~円/㎡が目安とお考えください。

 

瓦工事はトータルでどれくらい必要になるのか

瓦の種類によって瓦の単価が異なるため、それぞれについてご紹介してきました。

最終的に瓦屋根のリフォーム工事で必要となる費用の目安をご紹介します。

瓦工事の内容トータルの費用目安 ※約100㎡の建物
破損した瓦の差し替え2.5~万円 ※例5枚の場合は5万円程度です。
瓦棟部の葺き替え25~50万円
葺き替え工事160~260万円

瓦屋根は標準よりも大きな建物が多くあります。

また、庭のある敷地も多いので実際には現場調査によって、見積もりを取り、検討しましょう。

 

【まとめ】瓦の単価は屋根修理全体の価格に影響します

5つの瓦の種類と3つの形状の種類と単価の目安をご紹介しました。

瓦は種類によって単価の差が大きいですので、屋根修理全体の価格にも影響があります。

〇〇瓦と呼ばれていても、粘土瓦とセメント屋根材では、全く異なりますのでご注意ください。

粘土瓦は塗装品ではないので塗装メンテナンスはNGとなっております。

逆にセメント瓦・モニエル瓦は塗装品なので、10年ごとに塗装メンテナンスが必要です。

古い日本瓦屋根は旧工法となっており、巨大地震・巨大台風で被害が発生するので、通常メンテナンスとして、屋根の補強をご検討ください。

地域によっては、瓦屋根の耐風・耐震診断に補助金を使用できるところもありますのでご活用ください。

 

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