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小屋裏換気・屋根通気のグレーな部分を検討してみた!
みなさま。こんにちは。
屋根から人の笑顔を作りたい!!!
神清(かみせい)のDr.神谷です。
屋根・換気業界でルールが不明確・グレーな部分を問題点として議論しています。
かなり専門的な内容ですが、屋根換気・通気の心配事をイギリスの規格と比較しながら、検討してみます!
日本の屋根換気・通気の規格
屋根の換気・通気で、一般的な規格と考えられているものに、住宅金融支援機構の木造住宅工事仕様書に記載されているものがあります。
天井断熱における小屋裏換気孔の開口面積を定めています。
また、そのフラット35の解説において、いくつか解説もされています。
天井・屋根断熱における小屋裏換気の必要性を解説。
下屋における小屋裏換気の必要性の解説。
などがありますが、実際の建築現場まで、しっかりと反映されていないように感じます。
そこで、参考までに英国の規格を例に考えます。
英国の屋根換気・通気の規格
下図は、英国住宅建築協会による屋根の換気・通気の規格の説明図です。
日本の図と比べるとルールがわかりやすく図に反映されていると思います。
特に、屋根断熱部分、下屋部分、陸屋根部分のルールがイメージしやすくなっているのに驚きました!
それでは、細かくみていきましょう。
英国と日本の差異
①小屋裏換気孔の基準 日本は面積 英国は幅
日本
天井面積当たりの必要な開口面積を定めています。
そのため、軒先や棟に数カ所、部分的に開口部を設けることが一般的です。
英国
英国の前提は端から端まで開口部を設置するので、その開口部の幅を規定しています。
棟部においては、片側5㎜の排気孔を棟の端から端までとなっています。
軒先部においては、25㎜の吸気孔を軒先の端から端までとなっています。
⇒英国のように端から端まで通気孔を設置することで、小屋裏内における換気経路のムラがなくなり、隅角部など換気できない場所をなくすことに繋がります。
②下屋の基準 英国は軒先部、壁際部に通気孔を設置
日本
住宅の北側下屋はキッチン・風呂などの水廻りが多く、下屋の野地板などが結露する事例が多くあります。
住宅金融支援機構の仕様書でも、換気は2か所以上設置することになっています。
しかし、換気経路をどのようにすればいいか明確ではありません。
英国
軒先部から吸気孔、壁際部から排気孔と明確に図に記載されています。
⇒日本では2カ所をどのように設置するのか?わかりません。英国図は参考になると思います。
③屋根断熱の通気層 英国は入口、出口が明確
日本
30㎜以上の通気層が必要となっていますが、入口・出口は明確になっていません。
英国
50㎜以上の通気層が必要となっています。
また、入口は軒先部に25㎜、出口は棟部に5㎜の通気孔を端から端までとなっています。
⇒英国図、入口・出口の規定は参考になると思います。
このように端から端まで入口・出口が設置されれば、通気層の滞留がなくなり、屋根全体で確実に排湿できます。
④フラットルーフ(陸屋根) 日本は規定なし 英国は通気層が明確
日本
明確な基準はありません。
英国
英国は通気層50㎜以上、軒先部に25㎜の通気孔を全周設けることになっています。
⇒英国図は参考になると思います。
日本ではガルバリウム鋼板・金属屋根立平葺きの緩勾配(0.5寸)が流行っていますが、通気層の設置・入口出口の設置が確実に行われているか?心配です!
また、ルーフバルコニーの換気・通気も明確にルール化が必要なので、参考になると思います。
屋根換気・通気で明確にしたい部分
以下の基準が明確ではないことが問題点と言えます。
ⅰ)片流れ屋根の基準 (天井断熱・屋根断熱)
開口面積の基準は切妻屋根と同じでいいのか?
棟部分は屋根上開口でいいのか?/破風側での開口がいいのか?
ⅱ)陸屋根の基準 (屋根断熱)
フラットルーフの通気層厚みは30㎜でいいのか?
吸排気孔の開口面積、位置のルール化が必要では?
ⅲ)下屋の基準 (天井断熱・屋根断熱)
2カ所の開口部分の位置のルール化が必要では?
ⅳ)天井断熱・屋根断熱が併用している屋根の基準
断熱・気密ラインの明確化
各区割りでの入口・出口のルール化
ⅴ)軒の出がない屋根での基準
軒の出がない屋根での入口・出口のルール化
上記屋根では不具合も発生していますので、採用される際には屋根換気・通気に関して、設計・施工に十分ご配慮してください。
ⅰ)~ⅴ)における安全な設置基準を業界として、明確にわかりやすく提案していく必要があると思います。
まとめ:屋根換気・通気の規格は英国が参考になります!
屋根換気・通気のグレーな部分を英国規格を参考に検討してみました。
ルールが不明確なため、実際に不具合事例も発生しています。
わかりやすい安全な設置基準が明確化されるように、屋根業界も協力していくことが必要だと思います。
特に、不明確な部分の仕様の屋根(屋根断熱、フラットルーフ、ルーフバルコニー、軒ゼロ住宅)が流行っているため、設計・施工に十分、配慮が必要だと思います。
専門用語もあり、わかりにくい所もあったかと思います。
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