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雨漏り業者の安価な応急処置は、安くても無駄金になることも・・・
雨漏り業者の応急処理ではなかなか直らない?
先日、台風修理でうかがったお宅での話です。
「台風被害があった屋根面とは、別のところが以前から雨漏りして困っている。
一度、雨漏り業者に補修を頼んだら、『瓦に接着剤を塗ったので様子を見てほしい。
これで直らないと大規模な補修が必要となるので、連絡くださいね!』
と帰って行った。結局、雨漏りは直らず、そのままにしてある。
雨漏りの原因をついでに調べることはできますか?」
とご相談をいただきました。
もう少し聞いてみるとその業者さんは、
・散水調査などは行っていない。
・雨漏り補修費で25,000円。
・大規模な補修の内容については、説明がなかった。
奥様は大規模な補修(屋根を解体すると想像したらしく)をする費用がないので、雨漏りを直すのをあきらめてしまったそうです!
実際、天井の雨漏りしている部分は劣化して、天井板がはがれて穴が開いていました。
応急処置費25,000円は雨漏りが止まるなら、安価でいいと思います。
しかし、止まらないなら、お施主さまにとっては全く無駄金ですよね。(安くても意味がない。)
DIYでシーリングを塗りたくっても直らない?
また、雨漏りが直らないので、お施主様がしっくい、シーリングを塗りたくっている屋根も見かけます。
一般の人は瓦屋根の構造をしらないので、屋根材の隙間を埋めると雨漏りが止まると勘違いされています。
雨漏りがなかなか止まらないので、どんどん塗ってしまい、最後にはすべての隙間をシーリング等で埋めてしまう。(瓦の場合、かえって、悪化しますよ!)
それでも止まらないので、あきらめるというパターンがあるように感じています。
瓦屋根はその構造を理解して補修しないと雨漏りを止めることはできません。
そこで、屋根から人の笑顔を作りたい!!!をモットーとしている三州瓦老舗・創業150年、神清(かみせい)のDr.神谷が「瓦屋根の雨漏りを安価に直すコツ!と雨漏り原因」をご紹介いたします!
瓦屋根の雨漏りを安価に直すコツ!
①瓦屋に依頼する
瓦屋根の雨漏りの原因はいろいろあります。
残念ながら瓦屋根の構造を理解している建築士や工務店さん、リフォーム屋さんはあまり多くないです。
ほとんどの場合、どこに頼もうと瓦屋が屋根に上がって直しています。
そこで、瓦屋根の雨漏りの補修は瓦屋に依頼することが安価に直す1番目のポイントになります!
特に、リフォーム屋さんは屋根に上がって作業できるので、問題ないように感じてしまいます。
しかし、瓦屋とは仕事の質が違うのです。
瓦が割れた場合、瓦は1枚からでも交換可能なので、シーリングなどの表面処理に頼る補修は意味がありません。
昔から瓦が割れることも想定して、割れたときの予備を残してあります。
知っていました?庭先においてある瓦は交換用の瓦なんですよ~!
しかし、瓦屋根で、割れた瓦がシーリングでコテコテに塗りたくられているお宅をたまに見かけます。
リフォーム屋さんは瓦を差し替えることができないので、シーリング頼みの補修をされたのだとわかります。
瓦屋なら簡単に、庭先の瓦で差し替えして、安心できるきれいな瓦屋根へと戻します!
雨漏りも同様で、瓦屋根の雨の流れを理解した上で、雨漏り補修することが大事なんです!
瓦を差し替えできない人は雨漏りを止めることはできません!
単純に、瓦屋根は瓦屋に頼みましょう!
②部分補修で直す
雨漏りしているところを部分補修で直すことが安価で直す2番目のポイントです!
瓦屋に頼めば、雨漏りしている部分をだけを直すことができます。
補修規模で変わりますが、1カ所、20~30万円ぐらいが部分補修の目安となります。
リフォーム屋さんが「軽い金属屋根に全面を葺き替えましょう!」とすすめますが、費用は大幅(10倍以上)にアップします。
雨漏り補修だけを考えるなら、部分補修でもしっかり雨漏りを止めることができます。
③シーリングの応急処置は返って、コストアップに!
瓦屋が部分補修をする場合に、瓦がシーリングだらけになっているとどうしても余分な費用がかかってきます。
あまりにシーリングが酷く、それを取るのに手間がかかる場合は、新しい瓦で部分補修する場合もあります。
雨漏り業者さんの応急処置を依頼するなら、はじめから瓦屋で部分補修した方がトータル安価だと言えます!
続いて、瓦屋根の雨漏りの原因についてです。
雨漏り症状とその経路とは?
瓦屋根からの雨漏りは、軒天もしくは天井にその症状が出る場合が多くなっています。
軒天(のきてん)の雨染み
軒天(のきてん)とは、屋根の一番下部分(軒先)、外壁から外側に出ている屋根の裏部分のことです。
下写真にあるように、軒天に雨染み(汚れ)ができることがあります。
軒天の雨染みの経路
原因としては、軒先の仕様が古い工法となって、雨水がといの中へ入らず、軒天へまわりこみ雨染みが発生します。
・強風雨時、瓦の隙間から浸入した雨水はルーフィング上を流れる。
・その雨水がといへ排水されずに、破風板の内側から軒天内(建物内)へ流れる構造となっている。
15年前ぐらいの洋瓦・セメント瓦の物件に多い事例となっています。
(現在の瓦屋根では、軒先水切りという部材を設置するため、といへ確実に流れ込む安全な構造となっている)
天井の雨染み
室内では天井に雨染みが発生します。
天井に雨染みができる場合、屋根からの雨漏りの可能性が高いと言えます。
(雨漏りと言っても、壁からの雨染みの場合、屋根が原因ではないことも多いです。)
天井の雨染みの経路
瓦屋根から天井に雨漏りする場合、下図の経路が主だと言えます。
・瓦同士の隙間から浸入した雨は、ルーフィングの上を上から下へ流れる。
・ところどころ、瓦桟木を留めている釘があり、その釘を伝わって、ルーフィングから野地板、天井上へと雨が伝わる。
応急処置で、瓦同士の隙間にシーリングをしても、瓦とルーフィングの間を上から雨が流れる構造となっているため、全体的・局部的にシーリングしても雨漏りが止まることは少ないです。
土葺きの場合も同様に、瓦と土との間で水が流れるため、シーリングでは直りません。
瓦屋根の雨漏りの原因とは?
瓦屋根の雨漏りの原因として、多いものをあげてみます。
谷部・板金の孔開き
谷部は雨水がもっとも集まる場所であり、雨漏りしやすい部位です。
谷部には、雨水を排水しやすいように谷板金(銅製)が入っています。
25年程度経過すると経年劣化により、その板金に孔が開き雨漏りが発生します。
板金に孔が開くのは、瓦からポタポタ落ちる水滴の衝撃により、板金が摩耗するためだと言われています。(浸食/エロージョン)
流れ壁の取り合い部
流れ壁では、瓦の並ぶ位置によって、雨が入り込みやすくなる場合があります。
瓦は瓦の谷(低い部分)に水が集まるため、この写真のように壁側で水が流れやすく、降雨量が増えると雨漏りしやすくなります。
昔の工法としては、のし瓦と葺き土で雨水浸入を防せぐ構造となっていますが、経年で葺き土が浸食されると雨漏りとなります。
(現在は、捨て水切りを入れて排水経路をあらかじめ確保しています。)
瓦の割れ・のし瓦の脱落等
瓦を踏み割った場合やのし瓦が脱落した場合、雨漏りにつながります。
瓦が割れた場合、雨水はその下のルーフィングへ浸入します。
のし瓦が脱落した場合、雨水はその下の葺き土を浸食します。
瓦のズレ
強風や瓦の自重などで、瓦がズレることがあります。
瓦同士の隙間が大きくなり、その隙間から強風雨で雨水が浸入します。
ルーフィングの縮み(ちぢみ)・孔開き
ルーフィングが経年劣化により、縮んだり、孔が開いた場合、そこから野地板・室内へと雨水が浸入します。
上写真はルーフィングに孔が開いている状態。
温度変化によるルーフィングの伸び縮みによって、ルーフィングの破れが発生します。
葺き土の浸食(しんしょく)
土葺き(どぶき)工法の場合、経年の雨水浸入で、葺き土が浸食されることもあります。
葺き土が浸食されると下地の杉皮が暴露し、やがて、雨漏りが発生します。
瓦屋根の補修方法とは?
瓦屋根での雨漏り原因は上記のようにいろいろあるので、補修方法もそれに対応する形でさまざまとなります。
ここでは、個別の補修方法の説明ではなく、補修規模のパターンをご紹介します!
瓦屋根はメンテナンス性にすぐれていて、
他の屋根材ではできない、部分補修が可能!
なんです。
雨漏りした部分だけを補修することで、補修費用を大きく削減することができます。
業者の提案が葺き替えだけの場合、部分補修をお願いしてみてください。
瓦1枚の交換
瓦交換の最小単位は瓦1枚から・・・
瓦が1枚割れた・・・どうしよう?
ご安心ください!瓦は1枚から比較的安価に交換可能です!(¥25,000~)
瓦の色が若干、変わることはありますが、雨漏り防止には全く支障はありません。
瓦屋根の部分補修
雨漏りの場合、雨漏りの原因部とその周辺部のみの補修で雨漏りを止めることができます!
簡単な事例紹介です!
天井からの雨漏り。
その上部の瓦をめくり、部分補修します!
瓦の下にある葺き土を撤去。
葺き土の下にある下葺材・杉皮を確認。(一部、孔が開いている)
新しい防水材として、高級改質アスファルトルーフィングを施工。
葺き土の代わりに防水性の高いなんばんしっくいを使い、古い瓦を再施工。
元通りに瓦を施工して、雨漏り補修の完了です!
屋根全体を交換すると費用は高額となりますが、部分補修で費用を大幅に抑えることができます。
この部分補修できることが瓦の特徴であり、メンテナンス性が良く、ライフサイクルコストがもっとも安い屋根材と言われる由縁です。
古い瓦が破損した場合でも新しい瓦を部分的に使用できます!(サイズが少し異なる場合は職人技で瓦に細工して使用可能となる)
瓦屋根の葺き替え
築後100年を超えて、瓦屋根全体から雨漏りしている場合・劣化している場合、瓦屋根を葺き替えることもあります。
簡単な事例紹介です。
100年前のいぶし瓦の雨漏りした物件。
部分補修ではなく、葺き替えを選択してもらった理由は以下の通りです。
・屋根全体で雨漏りが発生していたため
・この瓦は所々劣化していたため
・屋根全体が土葺き工法であったため(非常に重たい)
・棟は旧工法で耐震性が乏しいため
そこで、耐震・耐風工法であるガイドライン工法で葺き替えをしました。
施工手順としては、
瓦をはがして、葺き土を取り除く。
野地板がバラ板だったので、その上に構造用合板を増し貼り。
新たにルーフィング(高級改質アスファルト)や瓦桟木、瓦を施工。
いぶし瓦を施工して、葺き替えが完成!
屋根全体が新しい屋根となるので、雨漏りの心配はありません。
まとめ:瓦屋根の雨漏り補修を安価に行うコツ!瓦屋に部分補修してもらうことです!
瓦屋根の雨漏りは瓦の表面をシーリングしても直らない場合が多いです。
瓦屋根構造を理解している瓦屋に補修をご依頼ください。
そして、安価にするには、部分補修で雨漏りを止めてもらいましょう!
何かありましたら、お気軽にお問い合わせください!
神清からのお願い
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