目次
コロニアルってどんな屋根材?
「コロニアル」は住宅屋根用化粧スレートという屋根材の中の1つの商品名のことです。
現在、住宅屋根用化粧スレートは、ケイミュー株式会社1社だけが生産しています。
ケイミュー(株)のブランド名「COLORBEST(カラーベスト)」の中の1つの商品名として、「コロニアル」があります。
「コロニアル」の写真は以下のものです。
昔、数社で石綿スレートが販売されていましたが、「コロニアル」がもっともたくさん販売されたので、化粧スレート=「コロニアル」と同義語として使う方も多いです。
もっと言うと、化粧スレート=カラーベスト=コロニアル=スレート瓦という呼び名で使われています。
化粧スレートは厚さ約5mm程度の薄い平たい塗装したセメント板です。
JIS(日本工業規格)では、主原料としてセメント、けい酸質原料、石綿以外の繊維質原料、混和材料などを用いて加圧成形し、主として住宅用屋根に用いる、野地板の上に葺く化粧板と紹介しています。
コロニアルの屋根材としての5つのメリット
コロニアルの5つのメリットを紹介します。
- 初期費用が安い
- 軽量で「軽い建物」に入る
- カラーバリエーションが豊富
- 様々な屋根の形状に対応できる
- 施工しやすく扱える業者が多い
それぞれについて簡単に解説します。
初期費用が安い
新築時、コロニアルの屋根は安価です。
メジャーな屋根材の中では、もっとも安価と言えます。
軽量で「軽い建物」に入る
1㎡あたりの重量が20㎏と粘土瓦の約半分です。
建築基準法の中では、コロニアルの屋根は「軽い建物」に分類され、最低必要な壁量が少なく設定されています。
カラーバリエーションが豊富
塗装品のため、カラーバリエーションが豊富に用意されています。
コロニアル1枚の中でも濃淡をつけてあるカラーもあります。
白色、灰色、茶色、黒色、オレンジ色、緑色、赤色、青色等用意されているので、イメージに合う屋根の色が選べます。
様々な屋根の形状に対応できる
厚みが薄いので屋根材1枚1枚の印象は強くなく、どんな屋根の形状にも合います。
切妻屋根、寄棟屋根、片流れ屋根、急な傾きの屋根など様々な屋根形状で使用されています。
施工しやすく扱える業者が多い
コロニアルを簡単にカットすることができる専用部材も用意されていて、施工が容易です。
複雑な屋根形状に対しての施工要領書も充実しているので、施工者の技量による屋根仕上がりのバラツキが少なくなっています。
瓦工事業者、板金工事業者ともに施工でき、コロニアルを扱える業者が多いので、相談しやすい屋根材です。
コロニアルの屋根材としての4つのデメリット
コロニアルの4つのデメリットを紹介します。
- ヒビ割れしやすい
- 汚れやすい
- 定期的なメンテナンスが必要
- アスベストが入っていた
以下、簡単に解説します。
ヒビ割れしやすい
厚さ約5mmと薄いセメント板のため、曲げ破壊強度は粘土瓦に比べて低いです。
野地板の上に直接葺いていくことで強度をおぎなう設計となっていますが、野地板がたわみ過ぎるとヒビ割れが発生しやすいです。
新築の施工時に踏み割れ(ヘアークラック)が発生していると思われます。
塗装時は目立たないので、気が付かず2~3年経過するとヒビ割れが発見されて問題となる場合があります。
汚れやすい
コロニアルは10年程度経過すると塗装面が劣化して、変色・退色が目立ちます。
コケも生えてくるので、10年程で新築時のイメージがなくなり、汚れた疲れた屋根となってしまいます。
定期的なメンテナンスが必要
コロニアルの汚れが目立つと、一般的には外壁の塗装に併せて、コロニアルの塗装メンテナンスを行います。
外壁を10年毎に塗装するので、コロニアルも10年毎の定期メンテナンスとなります。
コロニアルの美観は回復するので、定期な塗装メンテンナンスを行うことはいいのですが、その分、メンテナンス費用がかかります。
新築時の施工費よりも高くなりますので、あらかじめ準備しておきましょう。
アスベストが入っていた
平成16年に国から石綿の使用禁止が通達されるまでは、石綿を混入してスレート(石綿スレートと呼ばれていた)を製造していました。(アスベストは健康被害を引き起こす危険な材料です。)
下の表は石綿スレートの商品名です。
(ケイミュー(株)ホームページより)
これを見ると、正式には「コロニアル」はS36年~S61年となっていますので、現在は廃盤商品となっています。
コロニアルの屋根材としての耐用年数
コロニアルの耐用年数(寿命)は25~30年と言われています。(上の写真は築25年で葺き替えしたコロニアル屋根です。)
10年目、20年目に塗装メンテナンスを行い、30年目に屋根全体の改修(葺き替えもしくはカバー工法)するというスケジュールです。
塗装メンテナンスを行わない場合は、定期的(5年毎)な点検をして、ヒビ割れや落下などに注意しましょう。
また、定期点検時には併せて、小屋裏の点検(雨漏り・野地劣化)も必要です。
では、どんな症状がみられたらメンテナンスが必要な状態と言えるのでしょうか?次の章では、コロニアルに注意するべき劣化症状について解説します。
コロニアルの劣化症状
コロニアルの劣化症状を写真付で解説します。
- コケの発生
- 色褪せ
- 反り
- ヒビ割れ
- 野地板の劣化
コケの発生
10年を経過するとコロニアルの表面が黄色に変色することがあります。
北面などの日が当たらない屋根面にこの変色が起きやすく、コケなどの付着が原因です。
色褪せ
コケとともに、スレートの表面の塗装が劣化して、色があせてきます。
もともとの色がわからないくらい退色します。
反り
コロニアルが湿潤・乾燥を繰り返すことで反りが発生します。
コロニアルの上下の重なり目で隙間が大きくなります。
ヒビ割れ
踏み割れによりコロニアルの縦・横にヒビ割れが発生します。
野地板のたわみの大きい部分(谷部など)で多く見られます。
太陽光パネル設置工事後にも多発します。
野地板の劣化
けらば部ではけらば水切りからの雨水がオーバーフローして野地板が劣化しています。
コロニアルの塗装によるメンテナンス
コロニアルの塗装によるメンテナンスの頻度は外壁の塗装に合わせることとなります。
塗装による効果は美観が主です。
塗装メンテナンスはそれほど重要ではないのですが、外壁で足場を組むなら併せて塗るという習慣が一般的となっています。
屋根・住宅の美観を気にしないのであれば、「コロニアルは塗装しない」という考え方もありです。
コロニアルの寿命は、「塗装しても30年、塗装しなくても25~30年」だからです。
確実に屋根を塗らなければ、その分は住宅のメンテナンス費用を下げることができます。
コロニアルの塗装以外のメンテナンス
耐用年数(25~30年)を超えた場合、塗装でのメンテナンスはオススメできません。
雨漏りや野地劣化のリスクが高くなっていますので、屋根全体の改修が必要です。
雨漏りが発生していなければ、築25年以降で外壁のシーリング・塗装を行うタイミングで屋根全体改修をしましょう。
この場合は、葺き替えがオススメですが、予算を優先する場合にはカバー工法も可能です。
もう1つのタイミングは屋根からの雨漏りや野地劣化を発見したときです。
この場合は、葺き替えをしてください。
カバー工法では、雨漏りや野地劣化などの不具合を根本的に解決することはできません。
メンテナンス費用の目安としては、葺き替えは120~万円、カバー工法は100~万円とお考えください。
種類が豊富な屋根材!コロニアルの商品例
コロニアルの中にもグレードの違う商品があります。
- コロニアルグラッサ
- コロニアル遮熱グラッサ
- コロニアルクァッド
安価なのはコロニアルクァッドですが、オススメはコロニアルグラッサです。
少し高くなりますが、塗料のグレードが高いのでクァッドにくらべて汚れにくいからです。
スレートの種類と特徴についてこちらの記事で詳しく解説しています。
屋根の修理やリフォームはどんな業者に頼べば良いの?
先日、東京の屋根業者である石川商店様と、屋根の修理やリフォームで失敗しないための鉄則はなにかと話しをしたところ、
「屋根リフォームは、結局は業者選びである。」
という結論に至りました。
対談の様子は以下より↓
屋根修理を業者に頼む場合は、主に以下の3つの業者があります。
- ハウスメーカー・工務店
- リフォーム業者
- 屋根修理の専門業者
雨漏りの場合、家を建ててから10年未満であれば、「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」があるので、家を建てたハウスメーカーや工務店に無料修理を依頼しましょう。
築10年を過ぎた建物でハウスメーカーや工務店、リフォーム業者に依頼しても、マージン(仲介費用)分の費用を上乗せして、実際の作業は屋根修理業者が修理を行うこととなりますので、直接の選択肢もありです。
屋根修理業者は、屋根に関する専門的な知識や技術を持っているため、屋根の修理だけを行うなら、屋根修理業者を探してみましょう。
優良業者の特徴について以下の記事で詳しく解説しています。
どんな屋根修理業者に頼めば良いの?優良業者の5つの特徴を解説!
【まとめ】コロニアルはメンテナンスが重要な屋根材です!
コロニアルは厚さ約5mm程度の薄い平たい塗装したセメント板です。
コロニアルの5つのメリットを紹介します。
- 初期費用が安い
- 軽量で「軽い建物」に入る
- カラーバリエーションが豊富
- 様々な屋根の形状に対応できる
- 施工しやすく扱える業者が多い
コロニアルの4つのデメリットを紹介します。
- ヒビ割れしやすい
- 汚れやすい
- 定期的なメンテナンスが必要
- アスベストが入っていた
屋根・住宅の美観を気にしないのであれば、「コロニアルは塗装しない」という考え方もありです。
コロニアルの寿命は、「塗装しても30年、塗装しなくても25~30年」だからです。
耐用年数(25~30年)を超えた場合、塗装でのメンテナンスはオススメできません。
雨漏りや野地劣化のリスクが高くなっていますので、屋根全体の改修(葺き替え、カバー工法)が必要です。
メンテナンス費用はかなり高額となりますので、どんなメンテンナンスを行うか、信頼できる屋根屋と相談してくださいね。
屋根のご相談等がありましたら、ご連絡くださいね。
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