住宅の陸屋根(ろくやね)とは?
最近、流行りのキューブ型(箱型)住宅の屋根は陸屋根が多いです。
陸屋根とは、傾斜の無い平面状の屋根のことです。
フラットルーフとか、屋上(おくじょう)と呼ばれることもあります。
陸屋根は、ビルやマンションでは当たり前でしたが、住宅でも見かけるようになってきました。
陸屋根は住宅では一般的である傾斜屋根とは、別世界となりますので、陸屋根のメリット・デメリットをご紹介します!
陸屋根のメリット
陸屋根のメリットをいくつかあげます。
デザインが人気のキューブ型住宅の屋根を実現できます!
最近、よく見かけるキューブ型(箱型)住宅の屋根を実現できます。
シャープですっきりとした意匠性の高さが魅力の1つです。
屋上として活用ができます!
屋上へ上れるようにすることでそのスペースを有効利用できます。
敷地が狭く、庭を造るスペースがない場合、特にそのメリットを感じます。
屋上に庭園や家庭菜園を作ることもでき、通行人の視線もなく、プライベートな空間を手に入れることができます。
定期点検や掃除はしやすいです!
傾斜屋根と違って、平らな屋根なので、足場が無くても陸屋根に上がることはできます。
屋根の定期点検や掃除は簡単にできます。
以上、主なメリットを上げましたが、なんと言ってもデザイン性で選ばれているのだと思います。
陸屋根のデメリット
陸屋根のデメリットは住んでみないとわからないことが多いです。
お困りのことを順番に上げていきます。
外壁の通気をとりにくいことです!
現在、住宅の外壁(サイディング、モルタルなど)は通気構法がほとんどです。
陸屋根と外壁の境界は、パラペットになっていることが多いです。
(パラペットとは、建物の屋上、屋根、バルコニーの外周部の先端に設けられた低い立ち上がり部分の壁のことです。)
パラペットの頂点には、笠木(かさぎ)が覆っていて、雨漏りを防いでいます。
しかし、雨漏りを優先して、外壁との間をふさいでしまうと通気ができなくなっていまうのです。
通気ができなくなると壁内での結露リスクが高まります。
結露により、カビや木材の腐朽が発生することもあります。
とくに、木造住宅での陸屋根は、外壁通気、陸屋根の小屋裏換気に関して、必ず対策をしてください。
専用の換気部材なども開発されていますので、ご検討ください!
メンテナンス費が高いことです!
陸屋根は屋根の表面に防水層をほどこすことで、雨漏りをふせいでいます。
ほとんど水平な屋根なので、雨が溜まりやすくなっています。
防水層に穴が開いてしまうとすぐに、雨漏りに直結します!
また、建物の頂上で、太陽光を全開に浴びるため、陸屋根の防水層は紫外線劣化しやすい環境と言えます。
10年~15年で、防水層の全面改修を行う必要があります!
傾斜屋根の場合は、屋根材の表面が多少劣化しても、すぐに雨漏りにはなりませんが、陸屋根は防水層がいのち!なのです。
防水層のメンテナンス費がかかることは採用時に、覚悟してください!
雨漏りしやすいことです!
陸屋根の場合、傾斜屋根に比べて、雨漏りしやすいと言われています。
①防水層に穴が開いたら、雨漏りする。
上のメンテナンスで述べたように、穴が開いたら、雨漏りに直結します!
②屋上に降った雨を排水するためのドレン(排水口)があります。
ドレンの詰まりやドレン周辺部の防水層の劣化などが雨漏りの原因となります。
③笠木との間で、雨漏りすることがあります。
笠木下部の防水層の施工によっては、雨漏りすることがあります。
シート防水がパラペットの幅よりも短く、防水層が不足していると、雨水が入り込むことがあります。
また、笠木の取付方法によっても、雨漏りすることがあります。
笠木には、手すり付きのタイプもあります。
その付け根から雨水が浸入することもあります。
手すりの付け根から雨水が浸入することで、その下にある金具や留め付けねじの貫通孔からシート防水を突破して、雨漏りすることもあります。
④屋上の塔屋からの雨漏りすることもあります。
屋上の塔屋はもっとも風雨をうける場所です。
劣化もしやすいので、塔屋からの雨漏りも要注意です。
⑤軒の出がないので、壁からの雨漏りも多いです。
雨漏り調査を行っていると、軒の出の無い住宅の比率がとても多いです。
陸屋根にすると自然と、軒の出がなくなります。
雨漏り対策としては、窓などの開口部の上に庇(ひさし)をつけることは有効です。
雨漏りを防ぐために、防水層をしっかりメンテナンスしましょう!
陸屋根に使用される主な防水層をまとめてみました。
種 類 | 特 徴 | メンテナンス |
---|---|---|
塩ビシート防水 | 塩化ビニル樹脂系のシート状の材料を接着剤等で固定します。伸縮性に富むため、建物の変形に対する追従性が良い材料です。 | 耐用年数は約13年。耐候性・耐久性が高いので、防水層の一般的な保護塗装が不要です。接着部分から防水性能が弱まる可能性があります。 |
アスファルト防水 | アスファルトシートを貼り重ね、防水層を作る工事方法です。フラットではないため、歩行しないところに施工します。 | 耐用年数は約13年。再度、アスファルト防水を張り替えて補修します。 |
ウレタン防水 | 液状のウレタン樹脂を塗って、ゴム状の弾性のある防水層を作ります。障害物があるような場所に向いて、表面には継ぎ目が発生しません。 | 耐用年数は約10年。防水層を改修する際にも塗り重ねるだけでよく、広く使用されている防水材です。 |
防水層の種類にもよりますが、込み込みですと、約8,000~12,000円/㎡と意外と高いメンテナンス費がかかります。
屋上のメンテナンスをする上で、付属物が多いとその移動にも費用が発生します。
新築検討時の早い段階で、メンテナンス計画について、相談されることをおススメします!
ポイントまとめ
・陸屋根のメリットはデザイン性
・陸屋根のデメリットは雨漏りと結露
・陸屋根のデメリットはメンテナンス費が高い
屋根に関して、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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