図解 屋根に関するQ&A
よく聞かれる屋根への質問にわかりやすくお答えしています。
「熱橋(ねっきょう)/ヒートブリッジが建物に悪さをすると聞いたことがあるけど、どんなこと?」とお施主さまから質問をいただきました。
Q:屋根のヒートブリッジってなに? ~Q088~
A:屋根には、釘やねじ、耐震金物などの多くの金属部材が使われています。家の中で、1日の温度変化がもっとも大きい部分でもあります。また、屋根面と小屋裏との温度差も生じています。その温度変化・温度差が釘などの金属部材を通じて、熱が伝わることをヒートブリッジ(熱橋・ねっきょう)といいます。条件によっては、結露を生じる要因になります。
上写真(化粧スレート屋根)の霜が降りているところをよく見ますとヒートブリッジが観察できます。
赤丸の部分では、スレートのすぐ下に、スレートを留め付けている釘があります。
よく見るとその釘の部分だけが霜が解けています。
スレート釘は暖かい小屋裏(室内側の生活温度)の影響を受けています。
その温度を釘が伝えて、スレート表面の霜を融かしています。
スレート釘を介して、ヒートブリッジ現象が発生していることが観察できます。
そこで、屋根のヒートブリッジ現象について、もう少し詳しく実験棟で観察・測定した結果をもとにご紹介いたします。
屋根は日射・放射冷却により、住宅において、もっとも寒暖さの大きい部位です。
そこに、屋根材を留めるために、熱伝導率の高い金属製の釘・ビスを使用しています。
その釘・ビスが与える影響について観察しました。
室内側から小屋裏の野地合板を写したものです。
よく見ますとビス及びビス廻りの野地合板に水滴が付着しています。
結露により発生した水が玉状に観察できます。
冬季、早朝で屋根材は放射冷却により冷えた状態です。
ビスが冷橋(コールドブリッジ)となり、その周辺の合板の温度を低下させます。
微妙な温度の違いにより、低温となっている部分で結露が発生しています。
熱画像で観察してみますと、野地合板の温度が6.5℃のときに、ビスは4.5℃、周辺の野地合板は5.5℃と低下しています。
この温度差(約1℃)でビス周辺が結露しています。(7時30分頃)
次に9時となり、日射が屋根面にしっかり当たったときの熱画像です。
ビス温度は12.8℃、ビス廻りの野地板は11.8℃になっています。
今度は、急激に屋根材が暖められ、ビスの温度上昇したため、逆に、野地合板より温度が高くなりました。
屋根では、このような現象が毎日繰り返されています。
実際の住宅では、小屋裏の耐震金物(羽子板ボルト)が結露している現象も観察したことがあります。
ヒートブリッジが発生する屋根材の緊結釘・ビス、またその周辺の野地合板には、結露が発生しやすい環境といえます。
壁に比べても、温熱環境の厳しい屋根では、金属部材のヒートブリッジによる結露発生を防ぐためには、屋根面・小屋裏を低湿に保つことが必要となります。
野地面通気工法や小屋裏換気を採用することで、安心できる屋根が実現できます。
図解 屋根に関するQ&Aでは、よく聞かれる屋根の質問にお答えしています。
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