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スレートのカバー工法屋根の葺き替え カバー工法を勧めない理由を解説!
スレートはメンテナンスが必要な屋根材です。
主なメンテナンス方法は、「塗装」、「カバー工法」、「葺き替え」の3種類があります。
リフォーム業者さんがよく提案されているのは、カバー工法だと思います。
この記事では、スレートのカバー工法をメンテナンスした現場をご紹介します。
スレートのカバー工法の問題点がいくつかありました。
お客様にとっては、屋根に雨漏りなどの不具合があったわけではありません。
「壁の塗装に併せて、屋根も塗装する」ぐらいな考えが、20年余りで、3個目の屋根にかわるとは、泣くに泣けない話です。
屋根を塗装しようと、塗装屋さんが上がってみると、屋根材にひび割れがあり、塗装できない状態だったので、弊社に相談がありました。
屋根点検してみると、屋根材が劣化していて、確かに屋根材にのるとひび割れがどんどん増え、塗装はできない状態でした。
葺き替えを提案するために、軒先の状態を確認したら、屋根材の下に、スレート屋根がもう1つあることを発見しました。
スレート屋根のカバー工法の屋根だったのです。
弊社は、スレート屋根のメンテナンスで、カバー工法はあまりおススメしていません。
その理由を説明しながら、葺き替えの様子をご紹介します。
スレートのカバー工法の屋根とは?
屋根点検時の写真がこちらです。
カバー工法で使用されることもあった「かわらU」という軽量セメント屋根材(現在は廃盤品)です。
劣化がひどく、塗装できない状態でした。
念のため、軒先を確認したところ、
カバー工法の屋根材の下に、スレート屋根を確認できました。
この時点で、屋根は2重になっています。
塗装することもできず、この上にさらに屋根材を重ねることもできません。
カバー工法の屋根で不具合が発生すると、葺き替えしかできないのです。
それも、2重の屋根をめくる必要があり、大変な工事となります。
スレートのカバー工法屋根の葺き替え工事
カバー工法の屋根材をめくる
一重目のカバー工法の屋根材をめくります。
カバー工法屋根材の下には、桟木と防水シートがありました。
ひび割れ部から雨水浸入していました。
桟木は腐っていて、ボロボロになっていました。
白色腐朽菌も発生していました。
これでは、桟木のくぎの保持力はなく、屋根材が飛散してもおかしくない状態でした。
カバー工法のリスク①:雨水浸入するが、排水しにくい状態である。
カバー工法の屋根下地をめくる
カバー工法の屋根下地となる、桟木、防水シートを撤去します。
この防水シートは粘着性が付加されていないタイプでした。
そのため、防水シートをはがすのは、簡単でしたが、粘着防水シートだったらゾッとします。
防水シートをめくってみると、防水シートの下にも雨水が浸入していて、スレートが濡れていました。
さらに、桟木に発生していた白色腐朽菌もスレート屋根にびっしりと付着していました。
浸入した雨水は乾燥しない状態です。
カバー工法のリスク②:カバー工法の防水シートの下へ雨水浸入すると乾燥しにくい。
カバー工法のくぎ・ビスで、アスベスト含有スレートに割れが多く発生しています。飛散しやすい状態となってしまいます。
カバー工法のリスク③:アスベスト含有スレート屋根に割れが多く発生する。
スレート屋根をめくる
二重目のスレート屋根材を撤去します。
驚いたのですが、スレート屋根の下にも雨水が浸入していました。
このスレート屋根は、スレートの下の防水シートが2重葺きとなっていました。(通常は1重葺きです。)
スレート下の2重葺き防水シートの上側をはがしてみると、2重葺きの下側の防水シートまで濡れていました。
白色腐朽菌も下側の防水シート表面にも付着しています。
野地板は、運よく健全な状態でした。
このスレート屋根の防水シートが1重葺きだったら、野地板も腐朽していたと想定できるから運よくです。
雨水浸入を整理する。
この屋根の雨水浸入を整理します。
カバー工法の屋根材
↓
カバー工法の屋根材の防水シート
↓
スレート屋根
↓
スレート屋根の防水シート(1重目)
↓
スレート屋根の防水シート(2重目)
ここまで、カバー工法の屋根で、雨水が浸入していました。
さらに、雨水と一緒に腐朽菌までも。
カバー工法のリスク④:スレート屋根の下にも雨水浸入する。
カバー工法のリスク⑤:野地板が腐朽する可能性がある。
屋根を葺き替える。
運よく、野地板が腐朽していなかったことを確認したので、準備していた野地板の交換は行いませんでした。
新規の防水シートを張ります。
屋根の傾斜、建物の仕様を考慮して、ガルバリウム鋼板立平葺きで葺き替えしました。
葺き替えのビフォー・アフター
葺き替え前
葺き替え後
スレートのカバー工法屋根をめくって、気付いたリスク
スレートのカバー工法屋根をめくって、気付いたリスクをまとめます。
カバー工法のリスク①:雨水浸入するが、排水しにくい状態である。
カバー工法のリスク②:カバー工法の防水シートの下へ雨水浸入すると乾燥しにくい。
カバー工法のリスク③:アスベスト含有スレート屋根に割れが多く発生する。
カバー工法のリスク④:スレート屋根の下にも雨水浸入する。(乾燥しない)
カバー工法のリスク⑤:野地板が腐朽する可能性がある。
実際のカバー工法屋根のリスクを動画でまとめました。
より、わかりやすくなっていますので、ご参考にしてください。
スレート屋根のメンテナンスは葺き替えが安心です。
スレート屋根はメンテナンスが必要な屋根です。
塗装、カバー工法、葺き替えは、築年数・屋根の状態なども考慮して、お選びください。
カバー工法を検討される方は、その後のメンテナンスも考慮しておくべきです。
アスベスト含有スレートの処分費は、年々上昇しています。
葺き替えすれば、将来への負の遺産はなくなり、雨漏りに対しても安心です。
屋根・雨漏りに関して、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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