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野地板とは
野地板とは、屋根構造の主要な部材(屋根材、ルーフィング、野地板、たるき)の1つで、屋根材の下地となる板状のもので、木材が一般的です。
屋根の表面には屋根材があり、その下にルーフィング、そして野地板となります。
野地板は建物においても構造耐力上主要な部分となります。
野地板の材料・留め付け方法によって、小屋組みの水平構面の剛性を確保することができます。
また、屋根材が強風で飛散しないように固定する釘やビスの支持部材としての重要な役割もあります。
たとえば、スレート屋根材は屋根材1枚につき、4本の釘で野地板に留め付けて耐風性能を担保しています。
野地板の主な種類としては、製材(厚さ9mm以上の製材(杉、松等))、面材(構造用合板、パーティクルボード、MDF等)、耐火野地(硬質木片セメント板等)などがあります。
野地板について詳しくはこちらの記事で解説しています。
野地板にカビが発生する3つの原因
野地板にカビが発生する3つの原因について紹介します。
- 換気不足
- 気候条件
- 雨漏り
次の章から詳しく解説していきます。
【野地板にカビが発生する原因】①換気不足
野地板にカビが発生する原因として、換気不足があります。
野地板の上にルーフィング(防水シート)を直接敷くため、外気と直接に接することはありません。
ルーフィングのほとんどは非透湿系なので、湿気が野地板にこもりやすい環境です。
野地板が水に濡れたり、湿気が野地板に吸収されたりすると乾燥するまでの時間が長くなり、その間にカビが繁殖しやすくなります。
野地板を乾燥させるには、小屋裏換気(野地板と天井上の間を換気すること)が有効となります。
野地板とルーフィングとの間は乾燥しにくいので、透湿ルーフィング(湿気を排湿し、水は防水する機能のあるシート)を使用して、屋根材と透湿ルーフィングの間から排湿することも有効です。
【野地板にカビが発生する原因】②気候条件
野地板にカビが発生する原因として、気候条件があります。
湿度が高く、温暖な気候の地域ではカビの発生リスクが高いです。
日本の梅雨時期や夏の時期は高温多湿となり、カビの繁殖に最適な環境となります。
野地板は屋根面で日射によって暖められやすく、関東より以西では1年中カビにとって生育しやすい温度25~30℃の時間帯があります。
そのため、梅雨時期を過ぎても、豪雨や台風などの自然災害が発生して、野地板が雨水で濡れると春、秋、冬でもカビが発生するリスクがあります。
【野地板にカビが発生する原因】③雨漏り
野地板にカビが発生する原因として、雨漏りがあります。
屋根から雨漏りが発生すると、雨水が流れる経路にある野地板が濡れてしまいます。
屋根にある小屋裏換気は生活において発生した湿気を小屋裏から排出する機能はありますが、雨水浸入による水分までは考慮して設置されていません。
雨漏りが発生すると野地板にカビが発生してしまうので、カビの発生を防ぐには雨漏りを止めるしか対策はありません。
雨漏りが疑わしい場合は、すぐに専門業者に依頼して、雨漏り調査・原因特定・雨漏り修理の一連の流れで対応するべきです。
雨漏りでなくても、点検することで安心できます。
雨漏り調査について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨漏り調査ってなにをするの?費用は?5つの方法をプロが徹底解説!
野地板のカビがもたらす影響
野地板のカビが発生すると健康被害が心配されます。
野地板はカビが繁殖しやすい環境であるため、胞子が小屋裏空間に放出され、やがて隙間などから室内に広がるリスクがあります。
胞子を吸い込むことで、アレルギー症状や呼吸器の疾患などの様々な健康問題が引き起こされる可能性があると言われています。
また、カビに似たものとして腐朽菌があります。
野地板などの木材は含水率30%以上が2週間以上続くと腐朽菌が繁殖してしまいます。
腐朽菌が繫殖するとその木材の強度は低下してしまうので、建物の強度低下につながります。
野地板にカビが繁殖する環境下では、健康被害や建物の強度低下という深刻な影響がありますので、放置することはNGです。
野地板の状況は簡単に確認できない?
野地板は屋根材・ルーフィング(防水シート)の下に位置しているため、メンテナンスとしては屋根材とルーフィング(防水シート)を剥がした時にしか行えません。
点検するにも野地板の上側は小屋裏から確認することはできません。
屋根の大規模修繕は30年毎に行われる計画となっていますが、スレート屋根では屋根葺き替えではなく、カバー工法が行われることも多いです。
野地板の状況を確認することなく、カバー工法を行うことは大きなリスクではあります。
カバー工法を検討するときには、少なくとも野地板の下側を小屋裏から調べて、カビ・腐朽菌や雨染みがないことを確認しておきましょう。
野地板のメンテナンス方法
野地板のメンテナンス方法として、「増し張り(重ね張り)」「張り替え(部分交換も含む)」があります。
「増し張り(重ね張り)」
既存の野地板の上に新しい野地板を重ねて取り付けることを増し張りと言います。
既存の野地板がバラ板の場合には、増し張りで野地合板を設置することが多いです。
古いバラ板はバラ板同士の隙間が発生していることが多く、屋根材を固定する釘・ビス等が隙間に入ってしまうと保持力を発揮できないので、野地合板を隙間なく重ね張りすることが一般的です。
「張り替え(部分交換を含む)」
既存の野地板が野地合板の場合、雨漏りや結露で野地合板が腐朽したり、カビが生えたりすることがあります。
その場合、劣化した野地合板を部分的にめくって、新しい野地合板に交換することを張り替えと言います。
とくに、既存の野地合板がフカフカしてしまっていると屋根材を固定する釘の保持力がなくなっているので、屋根材を飛散させないためにも交換が必要となります。
部分的に張り替えする場合と全面的に張り替えする場合があります。
野地板の耐用年数
野地板の耐用年数は屋根の状態によって大きくことなります。
雨漏りがなく、野地板が乾燥した状態が続いていたら、野地板は交換する必要がありません。
木材ですので、何十年でも使用することができます。
屋根の大規模修繕が30年(瓦は60年)と計画されていますので、そのタイミングで屋根材を葺き替えする場合は、野地板の点検を必ず行いましょう。
屋根の軒先・けらば・棟などの周辺部分は雨水浸入などで野地板が劣化している可能性があるので、とくに注意して確認しておきましょう。
野地板の種類や役割について詳しくはこちらの記事で解説しています。
【まとめ】野地板のカビ対策をしておこう
野地板は屋根材が強風で飛散しないように固定する釘やビスの支持部材としての重要な役割があります。
野地板にカビが発生する原因としては、換気不足・気候条件・雨漏りがあります。
野地板を乾燥させることがカビ対策となりますので、小屋裏換気をしっかり設置することと雨水浸入を防止することです。
雨漏りの可能性があれば、早急に専門業者へ雨漏り調査・原因特定・雨漏り修理を依頼することをオススメします。
野地板は乾燥させることで、カビ対策になりますし、何十年も健全な状態に保つことができます。
30年置きの屋根の大規模修繕時には、予算があれば屋根の葺き替えを実施して、野地板の点検をすることをオススメします。
屋根・雨漏りに関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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