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コロニアルとはどんな屋根材?
「コロニアル」は住宅屋根用化粧スレートという屋根材の中の1つの商品名のことです。
以前は住宅屋根用化粧スレートを複数の会社が生産しており、(株)クボタが生産した「コロニアル」はもっとも多く販売されて認知されていました。
そのため、住宅屋根用スレートの総称として「コロニアル」と呼ばれることも多くあります。
現在、住宅屋根用化粧スレートはケイミュー株式会社1社だけが生産しており、ケイミュー(株)のブランド名「COLORBEST(カラーベスト)」の中の1つの商品名として、「コロニアル」があります。
化粧スレートは幅606 or 910mmで、厚さ約5mmの薄い平板を塗装したセメント板のことです。
屋根面にくぎで直接留め付ける直貼り(じかばり)工法で施工されています。
JIS(日本工業規格)では、化粧スレートのことを「主原料としてセメント、けい酸質原料、石綿以外の繊維質原料、混和材料などを用いて加圧成形し、主として住宅用屋根に用いる、野地板の上に葺く化粧板」と紹介しています。
化粧スレートの呼び名は複数あり、「化粧スレート=カラーベスト=コロニアル=スレート瓦」は同義語として使われています。
コロニアル屋根材のメリット
コロニアル屋根材のメリットを紹介します。
- 初期費用が安い:屋根材の中でコロニアルはもっとも安価である
- 軽量:粘土瓦より軽く、建築基準法では軽い建物に分類される
- カラーバリエーションが豊富:塗装品のため、色種がかなり多い
- 様々な屋根の形状に対応できる:施工要領書が充実しており、複雑な屋根にも対応している
- 施工しやすく扱える業者が多い:平形状で施工性に優れている
コロニアル屋根材のメリットは何と言っても初期費用が安価なことです。
屋根材の中では、もっとも安価な商品となります。
金属屋根材よりは重いですが粘土瓦より軽いので、建築基準法の壁量計算では軽い建物に分類されており、比較的軽量な屋根材と言えます。
コロニアル屋根材のデメリット
コロニアル屋根材のデメリットを紹介します。
- ヒビ割れしやすい:コロニアルは施工中の踏み割れでヒビが入りやすい
- 汚れやすい:塗料が劣化し、特にコケや藻が発生しやすい
- 定期的なメンテナンスが必要:美観を維持するためには、定期的な塗装メンテナンスが必要
- アスベストが入っていた:2004年以前の製品には発がん性物質「アスベスト」が含まれている可能性が高い
コロニアル屋根のデメリットは定期的な塗装メンテナンスが必要です。
初期費用は安価なのに、メンテナンス費を含んだ35年でのライフサイクルコストは逆にかなり高額な屋根材となってしまいます。
コロニアル屋根材に含まれている可能性があるアスベストについては、次の章で詳しく解説いたします。
コロニアルの特徴について詳しくはこちらの記事で解説しています。
どんな屋根材?コロニアルの特徴やメンテナンス方法を徹底解説!
コロニアル屋根材に含まれていたアスベストとは
2004年より前に建設されたコロニアル屋根材には、アスベストが含まれている可能性が高いです。
アスベストを含んでいるコロニアル屋根でもリフォームや解体をしない限りは、アスベスト繊維が自然に飛散することはありません。
経年でコロニアル屋根材が汚れたり、退色していても特別なアスベスト対策を行う必要はありません。
屋根修理を行う場合、アスベスト対策費やアスベスト含有屋根材の処分費が年々高騰していますので、早めに処分することをオススメします。
予算が許せば、アスベスト含有コロニアル屋根材はカバー工法ではなく、葺き替えを行うことで負の遺産を先送りせずに処理できます。
今の時点でも、アスベストの含まれないセメント屋根材に比べて、アスベストが含まれるコロニアル屋根の処分費用は1.2~1.3倍高くなっており、今後はさらに高騰すると言われているからです。
コロニアル屋根材が劣化するとどうなる?
コロニアル屋根材の劣化症状を紹介します。
- コケの発生
- 色あせ
- 反り
- ヒビ割れ
- 野地板の劣化
●コケの発生:特に日当たりの悪い北側の屋根で多く発生します。
10年を経過するとコロニアルの表面が黄色に変色することがあります。
北面などの日が当たらない屋根面にこの変色が起きやすく、コケなどの付着が原因です。
●色あせ:塗装が経年劣化し、もとの色がわからないこともあります。
スレートの表面の塗装が劣化して色があせて、もともとの色がわからないくらい退色します。
●反り:表面の吸水と乾燥を繰り返すことでスレート自体が反り返ることがあります。
コロニアル屋根の表面塗装が劣化すると表面から吸水することになり、湿潤・乾燥を繰り返すことで反りが発生します。
コロニアル屋根の上下の隙間が数mmになってきます。
●ヒビ割れ:施工中の踏み割れや施工時のくぎ打ち状態で発生します。
踏み割れによりコロニアル自体に縦・横にヒビ割れが発生します。
屋根下地である野地合板のたわみが大きい部分(谷部など)で多く見られます。
施工直後はヒビ割れが発生していてもわからず、経年で目立つようになります。
●野地板の劣化:雨水が浸入し、野地板が腐朽します。
コロニアル屋根の端に位置するけらば部では、けらば水切りから雨水がオーバーフローすることで野地合板が劣化しています。
コロニアル屋根の耐用年数
コロニアルの耐用年数(寿命)は25~30年と言われています。
先ほども紹介しましたが、コロニアル屋根は野地合板の上に、防水シート(ルーフィング)を設置し、その上に直接くぎでコロニアルを留め付けています。
コロニアル1枚につき4本のくぎで防水シートにあなを開けて留め付けているので、1棟あたり約2,400ヶ所、防水シートにあなが開きます。
そのため、コロニアル屋根の防水性は防水シートに依存しており、防水シートの寿命が15~30年なので、コロニアル屋根も同様となります。
また、化粧スレートの商品によっては、スレート自体が30年を持たずに、ヒビ割れ割れやはく離などで屋根材の寿命を迎えるものもあります。
これらは限られたアスベストの入っていない初期の商品であり、すでに廃盤品となっていますが、その代表的な商品を紹介しておきます。
パミール(ニチハ製)、ナチュール(大建工業製)、コロニアルNEO、スぺリアルNEO、セイバリーNEO、グリシェイドNEO(クボタ製)、レサス(松下電工製)はスレート自体に不具合が発生しています。
コロニアル屋根材のメンテナンスのタイミング
コロニアル屋根材のメンテナンスは10年目、20年目に塗装メンテナンスを行うことが一般的なメンテナンス計画となります。
このタイミングで塗装することで、コロニアル屋根の美観はある程度保たれます。
また、コロニアル屋根材を塗装するときには、足場が必要となります。
もう1つの考えとしては、足場代は高額ですので、外壁塗装するタイミングでコロニアル屋根塗装し、足場の設置する回数を減らしてメンテナンス費用を軽減させるメンテナンス計画です。
外壁塗装の種類によっては10年目ではなく、15年目や20年目に塗装メンテナンスするものもありますので、そのタイミングとなります。
耐用年数的に、30年目には葺き替えやカバー工法などの大規模改修のメンテナンスを行います。
適切に大規模改修を行うためにも、小屋裏から定期的な点検を行うことが必要です。
コロニアル屋根材に塗装は必要?
コロニアル屋根は2枚重ねとなっており、暴露しているコロニアルの下にもう1枚コロニアルがあります。
雨漏りに関しては、コロニアル屋根を塗装しなくても、コロニアルは重なりで雨水浸入を防いでいるので、直接的な雨漏りにはつながりにくいです。
ちなみにコロニアル屋根にヒビ割れが発生しても、同様に、そこから雨漏りはしませんので、コロニアル屋根のヒビ割れを指摘されて不安をあおられても慌てることはありません。
コロニアル屋根は塗装することで美観が向上します。
予算に余裕があれば外壁塗装に合わせて、コロニアル屋根を塗装することで建物の美観はよみがえります。
コロニアル屋根材の防水塗装について詳しくはこちらの記事で解説しています。
コロニアル屋根は防水塗装が必要?塗料や費用についても徹底解説
コロニアル屋根材に塗装すると得られる効果
コロニアル屋根材の塗装は3つ効果が得られます。
- 美観の向上:塗装することで、色あせやコケの発生で汚れた屋根をよみがえさせることができます。
- 撥水性の向上:コロニアル屋根の表面が水をはじきやすくなり、表面から吸水しなくなることでコケの発生を軽減させます。
- 屋根材の保護:表面から吸水しなくなることでコロニアルの反りが軽減され、屋根材のヒビ割れ等の劣化を軽減させます。
コロニアル屋根は10年程度で、色あせやコケの発生で汚れたように見えます。
塗装することで、コロニアル屋根の美観は向上します。
また、表面は塗装されると撥水性が向上しますので、コロニアル表面から水分を吸いにくくなり、反りの軽減、屋根材の保護につながります。
コロニアル屋根材の塗装手順
コロニアル屋根の塗装手順を紹介します。
- 高圧洗浄
- 下地調整
- 下塗り
- 中塗り・上塗り
- 縁切り
それぞれについて簡単に解説します。
①高圧洗浄
コロニアル屋根は経年でコケや藻、汚れなどが表面に付着しています。
高圧洗浄でコロニアル屋根の表面をきれいにすることは、塗装を長持ちさせることにつながります。
②下地調整
コロニアル屋根はヒビ割れ・欠損が発生しやすい屋根材ですので、塗装する前にヒビ割れ・欠損の補修を行います。
棟部分は板金仕様となっており、その板金のケレンやくぎ抜きの補修を行います。
③下塗り
コロニアル屋根の表面に塗料が密着するように下塗りとなるシーラーを塗布します。
板金部分はサビ止めを塗布します。
④中塗り・上塗り
細い部分はハケ塗りをして、全体的にはローラーで塗ります。
⑤縁切り
翌日以降で、コロニアル屋根に上がれる程度に塗料が乾燥した後に、コロニアル屋根の上下の重なり部分で塗料が密着している箇所をカッターやスクレイパーによって塗料をカットして縁切りします。
縁切りを行わないと後に雨漏りとなりますので必須です。
【まとめ】コロニアルは初期費用の安さと軽量が人気の屋根材
コロニアル屋根のメリットは初期費用の安さと軽量性が人気の屋根材です。
一方で、塗装メンテナンスを定期的に行うと35年でのライフサイクルコストはかなり高額となってしまうデメリットもあります。
コロニアル屋根の耐用年数は25~30年となっており、その時の大規模改修では、葺き替えかカバー工法となります。
大規模改修では、新しい屋根材を選ぶことも可能です。
自分のイメージに合った屋根を選ぶには、屋根材の特徴を把握することが大切です。
屋根に関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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