雨漏りより怖い!? 屋根における結露!
みなさま。こんにちは。
戸建住宅の相談内容で、もっとも多いのは雨漏り(屋根・壁)となっています!
(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター 住宅相談統計年報2017)
実際、屋根・壁において、染みなどが発生すると雨漏りを意識される方がほとんどだと思います。
雨漏りをそのままにしておくと、住宅に大きな被害を与えます。
逆に言うと、雨漏りは早期に修理すれば、劣化リスクは大きくないとも言えます!
実は雨漏りよりも住宅の劣化で怖いのが結露なんです!
結露と言っても、室内の窓ガラスに起きる結露(表面結露)とは違い、建物内の隠れた所に起きる結露(内部結露)が怖いのです!
そこで、ほとんど知られていない屋根における結露についてご紹介します!
屋根の結露による被害とは?
住宅の耐久性を考える上で、雨漏り以上に注意しなければならないのが結露発生です。
怖い、怖いと言われても、どんな被害となるの?・・・そんな声に答えて、屋根における結露の被害状況を簡単に!
築10年未満の物件・・・スレート屋根の棟部(頂部)の野地合板が結露でボロボロに劣化した事例。
築10年未満の物件・・・セメント屋根材の棟部(頂部)の棟木・垂木が結露で腐朽した事例。
このように隠れた内部結露が発覚したときには、建物躯体まで劣化していることが多いと言えます!
屋根の結露はどこに発生するの?
結露は住宅だけではなく、どこにでも発生する自然現象なのですが、理科・グラフのイメージもあり、どんな現象なのか?よくわからない人も多いと思います。
そこで、わかりやすくイメージしてもらうために、屋根で発生する現象面をまとめました。
細かく分けますと屋根では、8か所で発生する可能性があります。
下図に屋根で結露が発生する可能性のある場所を示しています。
★屋根で結露が発生するリスクのある箇所★
①屋根材の表面
冬季、放射冷却により屋根材の表面に発生する露(つゆ)や霜(しも)は結露現象です。
ここで発生する結露水の悪影響としては、屋根材の凍害(屋根材が凍って、融けてを繰り返し割れが発生する現象)があります。
②屋根材の室内側でルーフィングの外側
夏型・冬型結露により屋根材とルーフィング(外側)の間で結露が発生します。
ここで発生する結露水の悪影響としては、屋根材の凍害、釘からの雨水浸入、金属屋根材の裏面腐食があります。
③ルーフィングの室内側で野地合板の外側
ルーフィング(内側)と野地合板の間で結露が発生します。
ルーフィングをめくってみますと野地合板の外表面が結露水で濡れています。
ここで発生する結露水の悪影響としては、野地合板の腐朽劣化、釘の腐食があります。
④野地合板の室内側(小屋裏側)
冬季、野地合板の室内側で結露が発生します。
ここで発生する結露水の悪影響としては、野地合板の腐朽劣化があります。
⑤野地合板を留めるクギの頭部
夏型結露により、野地合板を留めているクギの頭部で結露が発生します。
ここで発生する結露水の悪影響としては、野地合板の腐朽劣化、釘の錆があります。
⑥野地合板と垂木の間のクギのまわり
上写真は野地合板の小屋裏側です。
野地合板を垂木に留めているクギが野地合板と垂木の間で結露してできた黒染みです。(冬季)
ここで発生する結露水の悪影響としては、野地合板の腐朽劣化があります。
⑦屋根材を留めるクギの頭部
夏型結露により、スレート屋根材とスレート屋根材の重なり部の中にあるクギの頭で結露が発生します。
ここで発生する結露水の悪影響としては、釘の錆があります。
⑧屋根材を留めるクギの小屋裏に突き出た部分
冬季、屋根材を留めるクギの小屋裏に突き出た部分で結露が発生します。
ここで発生する結露水の悪影響としては、小屋裏の高湿化があります。
上記、8か所の屋根部位において、住宅木部の劣化リスクに大きく影響を与えるものは、③、④、⑤、⑥、⑧があります。
その結露対策はこれです!
外気環境、時間帯、小屋裏空間、野地合板、ルーフィング、クギ、屋根材、構法などの各種組み合わせにより、リスクの大小が異なります。
細かい組み合わせではなく、大きく効果のある対策を示します!
野地合板は接着剤を使用して、単板を貼り合わせているため、湿気を通しにくい性質があります。
そのため、野地合板の上下でそれぞれ対策が必要となります。
③、⑤の野地合板外側の結露
③ルーフィングの室内側で野地合板の外側、⑤野地合板を留めるクギの頭部
については、透湿ルーフィングが有効です!
野地合板の湿気を透湿ルーフィングから外気へ放湿できるので、結露リスクが低下します!
あまり馴染みのないルーフィングに関して詳しくは、こちらをご覧ください!
④、⑥、⑧の野地合板内側の結露
④野地合板の室内側(小屋裏側)、⑥野地合板と垂木の間のクギのまわり、⑧屋根材を留めるクギの小屋裏に突き出た部分
については、小屋裏換気が有効です!
建物の室内から浸入する湿気を小屋裏換気によって、外気へ放湿できるので、結露リスクが低下します!
(屋根断熱の場合は屋根通気となります!)
小屋裏換気の設置に関して詳しくは、こちらをご覧ください!
最後にもう一つ、建物の防湿層の性能を上げることも有効と言えます!
しかし、補修で防湿層の性能を上げるには、かなり大掛かりとなりますので、ここでは、割愛させていただきます。
まとめ:屋根の結露現象をまとめてみました!
雨漏りよりも木部劣化の被害が大きくなる内部結露は怖い現象と言えます!
屋根には8カ所の結露発生リスク箇所があります。
とくに、建物に被害を与える結露は5つあり、その対策としては、透湿ルーフィングと小屋裏換気が有効です!
また、建物の防湿層の性能を上げることもリスク低減につながります!
専門用語もあり、わかりにくい所もあったかと思います。
ご質問等ありましたらお気軽にお問い合わせください。
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