目次
アスファルトシングルってなに?どんな屋根材なの?
アスファルト製の屋根用シングルのこと。
(シングルとは日本では杮板(こけらいた)木瓦(きがわら)の意味がある。)
屋根のどの部分においても、板状の屋根材が2枚以上重なっていて、屋根材の重なりで雨漏りを防ぐという考え方の屋根材です。
つまり、アスファルト製の杮板とも言えます。
本場はアメリカで、1860年代の末に考案されたものです。
日本では昭和30年頃から使用され、その頃のアスファルトシングルではフェルト紙の両面に良質のアスファルトを塗布、表面に色砂を圧着したものとなっていました。
現在では、耐久性や不燃性を向上させる観点から、フェルト紙の代わりにガラス繊維などの不織布が用いられています。
アスファルトシングルはどんな人に向いている屋根材なの?
アスファルトシングル屋根材はどんな屋根を求めている人に向いているかご紹介します。
- とにかく、初期費用を安価にしたい方
- 曲面でも簡単に施工できるため自由設計の屋根を希望している方
- 屋根のデザイン性を重視したい方
- 約10㎏/㎡と軽量な屋根材となっているので、軽い屋根を重視したい方
つまり、安い・軽い・丸い屋根を求めている人に向いています。
次の章から具体的にメリットとデメリットを解説していきますね。
アスファルトシングルの屋根材としてのメリット
アスファルトシングルの屋根材としての5つのメリットをご紹介します。
- 防水性に優れている
- 軽量性に優れている
- 割れやサビに強い
- 防音性が高い
- デザイン性が高い
それぞれについて、簡単に解説します。
防水性に優れている
アスファルトシングルのベースは、屋根の防水シートに使われているアスファルトが使用されています。
アスファルトの防水シートはくぎ孔シール性が高いと言われています。
屋根は夏に60℃以上となるため、アスファルトが融けてくぎ孔部分で、くぎとアスファルトが密着するからです。
アスファルトシングルも同様で、くぎ孔からの漏水が発生しにくくなり防水性に優れています。
軽量性に優れている
アスファルトシングルは、軽い屋根材と言われているスレートよりもさらに軽い屋根材です。
リフォーム工事など古い屋根材が軽い屋根材の場合、軽い屋根材であるアスファルトシングルによる葺き替えは可能です。
また、アスファルトシングルのメンテナンス方法として、アスファルトシングルでカバーすることがあります。
軽量であるため、1度カバー工法してもスレートと同じ重量になる程度なので、建物への負担をかけることがありません。
割れやサビに強い
アスファルトシングルは、柔らかい屋根材であるため硬い屋根材のように割れしてしまったり、金属屋根材のようにサビてしまったりする心配がありません。
とくに、スレート屋根は踏み割れの不具合が発生して問題となりますが、アスファルトシングルはそのリスクがないので使いやすいと聞きます。
防音性が高い
表面に施された石粒が緩衝材となるため、トタン屋根や金属屋根と比較して防音性が高いです。
とくに、金属屋根は雨音がうるさいと問題となりますが、アスファルトシングルはそのリスクが少ないので安心です。
デザイン性が高い
アスファルトシングルは、軽量でカッターなどでカットすることもでき加工しやすい屋根材です。
複雑な屋根形状や急勾配、曲面などの屋根面でも施工可能です。
石粒の着色したバリエーションが豊富ですので、屋根のカラーリングのデザイン性が高い屋根材でもあります。
アスファルトシングルの屋根材としてのデメリット
アスファルトシングルの屋根材としての3つのデメリットをご紹介します。
- 強風に弱い
- 劣化しやすい
- はがれやすい
それぞれについて簡単に解説します。
強風に弱い
アスファルトシングルは薄くて軽くて柔らかいという特徴があります。
それはデメリットでもあり、強風には弱く、やぶれて飛散することがあります。
材料としての強度はないため、重なり部分での接着剤の効果で飛散を防止しています。
その接着剤が劣化したり施工が不完全の場合、下側の屋根材と隙間が発生し、すぐに強風で飛散しています。
劣化しやすい
アスファルトシングルは、水分や湿気、低温・高温が原因で劣化しやすいです。
湿気が多いとカビやコケが生えやすくなります。
低温の場合、重なり内部の水分がその中で凍ると膨張するので、材料に負荷がかかります。
高温の場合、アスファルト分が熱劣化することにつながり、ふくれたりします。
はがれやすい
アスファルトシングルの表面の石粒がはがれやすく、雨どいなどに堆積します。
雨どいのつまりの原因にもなります。
表面の石粒がはがれたまま放置しておくことは、基材に紫外線が直接あたるようになり、劣化を早める原因になります。
アスファルトシングルって耐久性のある屋根材なの?
アスファルトシングル屋根の耐用年数は、少し前までは10年~20年と言われていたが、現在は20~30年の商品も出ています。
ただし、シングル同士の接着は施工技量や均一性が耐久性にも関係しています。
接着部に劣化が生じ、重なりに隙間ができるとすぐに飛散リスクが高まります。
20年を超えると葺き替えや葺き直しが必要になる可能性があると言えます。
アスファルトシングルのメンテナンスサイクルは12年と短い
日本でのメンテナンス時期は12年後とされていて、重ね葺き、塗り替えと記載されているメーカーもあります。(国土交通省が想定する大規模修繕サイクルの目安)
アスファルトシングルは国産以外にも外国産が多く出回っています。
外国産(韓国製など)はメンテナンス時期を30年後と長く設定しています。
アスファルトシングルのメンテナンス方法と費用相場
アスファルトシングルは、葺き替えや重ね葺きなどの大規模なメンテナンスを除くと、点検以外に「剥がれや浮きの補修」と「塗装」によるメンテナンス方法があります。
「剥がれや浮きの補修」と「塗装」について、簡単に解説します。
剥がれや浮きの補修
剥がれや浮きがある場合は、強風で飛散してしまうため補修が必要です。
接着剤(シングルセメント)用いて、重なりの下にあるシングルと貼り合わせを行います。
剥がれや浮きの補修は、3~万円程度の予算で補修可能です。
一部、飛散してしまっている部分にも、新規アスファルトシングルをその大きさにカットして貼り合わせることをします。
塗装
アスファルトシングルの屋根表面の石粒の剥がれがある場合は、屋根塗装により、アスファルトシングルの基材を保護することができます。
塗装費用の目安は、約30万円~50万円程度必要です。
塗装する場合の注意点は、上下の重なり部の縁切りを行わないと排水出口がふさがれて、雨漏りにつながります。
スレート屋根と同様に塗装後、次の日に必ず縁切りを行うようにしてください。
屋根をアスファルトシングルに変える場合の費用相場
屋根をアスファルトシングルに葺き替えする場合は、既存屋根の撤去や処分費、新規シングル屋根の材工などの費用を含め、100㎡の屋根だと100万~120万程の相場となります。
業者によって見積もり金額に違いがあり、屋根の広さや勾配、既存屋根材の種類によっても金額が変わるため必ず複数の業者から見積もりを依頼しましょう。
アスファルトシングルの施工方法
アスファルトシングルの施工方法について、簡単にご紹介します。
- 防水シート(アスファルトルーフィング)を野地合板に貼る
- 防水シートに目安のラインをつける
- スターターを必要な長さ・必要な数カット
- 接着剤(シングルセメント)を塗る
- スターターから順番にアスファルトシングルをくぎ留めする
- 施工要領書に準じた接着剤を位置・量を間違えずに塗布する
アスファルトシングルの施工のポイントは、接着剤を正しく施工することです。
【まとめ】アスファルトシングルは複雑な形状でも施工できる屋根材!
アスファルトシングル屋根材はこんな屋根を求めている人に適しています。
- とにかく、初期費用を安価にしたい方
- 曲面でも簡単に施工できるため自由設計の屋根を希望している方
- 屋根のデザイン性を重視したい方(複雑な形状でも施工可能)
- 約10㎏/㎡と軽量な屋根材となっているので、軽い屋根を重視したい方
アスファルトシングルの屋根材としての5つのメリットをご紹介します。
- 防水性に優れている
- 軽量性に優れている
- 割れやサビに強い
- 防音性が高い
- デザイン性が高い
アスファルトシングルの屋根材としての3つのデメリットをご紹介します。
- 強風に弱い
- 劣化しやすい
- はがれやすい
アスファルトシングルは20年を超えると葺き替えや葺き直しが必要になる可能性があります。
初期費用は安価だが、メンテナンス費は必要となります。
複雑な屋根形状は屋根材を問わず、メンテナンス費が高額となります。
自分のライフプランに合うか、しっかりと検討されることをオススメします。
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