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瓦屋根を地震被害から防ぐ!ガイドライン工法です!
みなさま。こんにちは。
屋根から人の笑顔を作りたい!!!
神清(かみせい)のDr.神谷です。
東日本大震災・熊本地震において、多くの瓦屋根に被害がありました。
瓦屋根の被害は棟部(屋根の頂点部分)が崩れるというものでした。
被害が発生した棟部は旧工法の仕様となっていました。
巨大地震によって、被害が発生することが明確になりましたので、現在はガイドライン工法という耐震性の高い仕様となっています。
瓦屋根自体の耐久性は高いため、まだ、多くの旧工法の屋根が残っています。
住宅の定期メンテナンスに合わせて、ガイドライン工法へ改修することをお勧めいたします!
一般の方には、ご自宅の屋根が旧工法なのか?わからないと思いますので、簡単な見分け方をお教えいたします!
旧工法の見分け方
巨大地震で被害があった旧工法の写真です。
旧工法は大回し(おおまわし)工法とも呼ばれています。
大回し工法の特徴
大回し工法の断面図で、その特徴を説明します。
棟部は桟瓦の上に葺き土(図の黒点部分)でのし瓦を密着しています。
のし瓦の上の一番、頂部の部分に冠瓦が設置されています。
大回し工法の特徴はのし瓦と冠瓦を包む形で銅線を結んでいることです。
今から20年前の阪神大震災までは、旧工法でも大きな被害はありませんでしたので、日本各地で施工されていました。
この棟部の構造は、風雨時でも雨水浸入しないように土で瓦と瓦の隙間を塞いでいて、止水する機能があります。
止水材が土であるため、経年での劣化はなく耐久性には優れ、長期に渡り効果が持続します。
実際、東日本大震災で被害があった瓦屋根は20年以上経過したものが数多くあり、ほとんどメンテナンスがされていなかったと思われます。
しかし、この棟部構造は躯体に葺き土の密着力だけで留め付けられていたため、巨大地震に弱い構造になっています。
巨大地震の縦揺れの衝撃や横揺れの振動によって、葺き土本体もしくは葺き土と瓦の間によるひび割れが発生すると土と瓦の密着力がなくなり、倒壊します。
大回し工法の見分け方
一般の方がご自宅で安全に見分ける方法をご紹介します!
見分け方としては、上写真のように、冠瓦とその下ののし瓦何枚かを銅線などで縛っていると旧工法です。
この銅線は、一般住宅であれば、地上から目視や双眼鏡、カメラのズームなどで簡単に確認できます。
基本的には、屋根の1カ所が旧工法であれば、屋根全体が旧工法だと思ってください。
ご自分で、判断できない場合や屋根が見えない場合などは、近くの瓦屋根工事業者さんにご相談ください。(板金屋根工事業者さん、リフォーム業者さん、塗装業者さんでは判断できないですよ!)
ガイドライン工法とは
続いて、耐震性のあるガイドライン工法をご紹介します!
ガイドライン工法とは、簡単に言いますと阪神大震災の揺れに耐える耐震性の高い棟仕様かどうか評価する耐震試験に合格した工法の総称です!
耐震試験に合格している工法は数十種類あり、地域を考慮した仕様も多数あります。)
基本的な構造を断面図で説明します。
主なポイントは4つあります。
①冠瓦を躯体に留め付けている。
②左右ののし瓦同士を銅線などで緊結している。
③棟の中に、補補強金物が入っている。
④棟際の瓦を緊結している。
この4つのポイントによって、のし瓦・冠瓦は建物躯体に連結されるため、巨大地震の衝撃・揺れに対して、脱落することがありません。
具体的な事例
◎躯体(家)に棟補強金具(棟芯材)を設置する。
◎桟瓦(切断した瓦も含む)は銅線・ビス・釘・接着剤などを使用して、躯体に全数留め付ける。
棟部(冠瓦・のし瓦)の土台部分を躯体にしっかり固定することが重要です。
葺き土の代わりになんばんしっくい(白)を使用することで、しっくいを省くことができ、さらに耐久性が向上します。
◎のし瓦とのし瓦は左右で銅線などで緊結する。
棟を跨いで、左右ののし瓦を緊結することで、脱落を防ぐことができます。
◎冠瓦を全数、棟補強金具(棟芯材)にビス・銅線等で留め付ける。
以上により、躯体に冠瓦(1枚ごと)が連結しながら留め付けられます。
巨大地震時でも、冠瓦と躯体が連結して揺れるため、棟の脱落が防止できます!
耐震工法は他にもいろいろな仕様があります。(瓦屋根工事業者にご確認ください!)
ガイドライン工法の見分け方
簡単なガイドライン工法の見分け方をご紹介します!
地上から目視や双眼鏡、カメラのズームなどで棟の側面に銅線があるか?確認してください。
銅線がないとガイドライン工法と思って、安心してください!
旧工法の場合、ガイドライン工法へメンテナンスしてください!
瓦屋根の中でも、日本瓦の屋根にお住まいの方は必ず点検して、旧工法の場合、メンテナンスしてください。その流れを簡単に!
①ご自宅の屋根の棟部を見上げる。
見上げて、銅線が見えれば旧工法です!
築年数が20年以上の場合、旧工法である可能性が高いと言えます。
よくわからない場合は、写真などをお送りいただければ、弊社で写真から判断できると思います。
②旧工法だと思われる場合、近くの瓦屋根工事業者(もしくはご自宅を建てた工務店)に屋根の点検を依頼する。
③旧工法と確定した場合は、ガイドライン工法への見積を依頼する。
棟の改修目安としては、40,000円/m~とお考えください。
このとき、屋根の状態(雨漏りの有無・瓦の築年数・瓦のズレ・土葺きなど)によっては、部分補修・葺き替えなども併せて検討しましょう!
④メンテナンスを行う。
通常時におけるガイドライン工法への改修は費用的には安価と言えます。
地震時ですと、費用も高額となりますし、改修までに長時間かかります!
待ちきれずに、訪問販売リフォーム業者に引っかかると、早い代わりに数倍以上となる高額での補修になってしまいますので、ご注意ください。
まとめ:旧工法の瓦屋根はメンテナンスしましょう!
旧工法の瓦屋根にお住まいの方は、棟部の耐震化メンテナンスを行いましょう!
自宅が旧工法かどうか?は棟部の銅線の有無で確認してください!
瓦屋根が日本瓦で築20年以上の場合、旧工法の可能性が高いと言えます!
他の屋根材ですと、10年毎に数十万円のメンテナンス費が発生していますので、それと比べると瓦屋根は十分得しています!
ここで、通常時にガイドライン工法でメンテナンスすることが、もっとも安価なランニングコストであり、さらに、長寿命な屋根が続くことになります!
巨大地震後の修理では、数倍以上の費用となりますので、その前にメンテナンスをご検討くださいね!
専門用語もあり、わかりにくい所もあったかと思います。
ご質問等お気軽にお問い合わせください。(お電話でも大丈夫ですよ!)
神清からのお願い
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