【屋根材】アスファルトシングルの特徴とは?耐久性・費用も解説

Dr.神谷
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  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!神清(かみせい)のDr.神谷です。

    弊社は、高浜市・半田市にある創業150年老舗三州瓦の生産・販売・工事を行っている会社です。
    年間200棟以上の雨漏り調査・修理を行っています。
    建築業界誌「日経アーキテクチュア」の連載記事「新次元!雨漏り対策」を執筆!

本記事はこんな人にお勧めします。

  • アスファルトシングルがどのような屋根材なのか知りたい
  • 屋根材アスファルトシングルの特徴や注意点、メリット・デメリットを理解したい

この記事で伝えたいこと

この記事は、「屋根材のアスファルトシングルについて詳しく知りたい」「アスファルトシングルのメリット・デメリットを理解して自宅に適しているか判断したい」という方に向けて書かれています。

アスファルトシングルは柔軟性があり割れにくい屋根材として知られており、北米などで広く採用されています。日本でも徐々に普及していますが、選ぶ際にはその特性を理解しておくことが大切です。

本記事では、アスファルトシングルの特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。ぜひ、屋根材選びの参考にしてくださいね。

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アスファルトシングルってどんな屋根材?

アスファルトシングルとは、ガラス繊維にアスファルトを浸透させたシートに砂や石粒を散りばめた屋根材です。

もともとはアメリカで1860年代の末に考案されたもので、柔軟性があり寒冷地などでも使用できるため、北米で普及しています。

日本では昭和30年頃から使用され、その頃のアスファルトシングルではフェルト紙の両面に良質のアスファルトを塗布、表面に色砂を圧着したものとなっていました。

現在では、耐久性や不燃性を向上させる観点から、フェルト紙の代わりにガラス繊維などの不織布が用いられています。

 

アスファルトシングル屋根材の「シングル」って何のこと?

アスファルトシングルは、アスファルト製の屋根用シングルと言う意味です。

「シングル」とは、日本では杮板(こけらいた)・木瓦(きがわら)を指します。

屋根のどの部分においても、板状の屋根材が2枚以上重なっていて、屋根材の重なりで雨漏りを防ぐという考え方の屋根材です。

つまり、アスファルト製の杮板とも言えます。

 

「アスファルトシングル」などの屋根の用語について詳しくはこちらの記事で解説しています。

アスファルトシングルってなに? 屋根の用語・Q&A

 

アスファルトシングル屋根材の特徴

アスファルトシングル屋根材の特徴(メリット)について紹介します。

  • 初期費用が安価
  • 防水性に優れる
  • 軽量
  • 割れにくい
  • サビに強い
  • 防音性が高い
  • デザインが豊富

 

それぞれについて簡単に解説します。

初期費用が安価

アスファルトシングルは新築時の初期費用がもっとも安価な屋根材の1つです。

スレート屋根と同等ぐらいで、徐々に増えている屋根材です。

 

防水性に優れる

アスファルトシングルのベースには、防水性の高いアスファルトが使用されています。

屋根は夏に60℃以上の高温となり、アスファルトが融けてくぎ孔部分でくぎとアスファルトが密着するため、アスファルトは防水性が高くなるという特徴があります。

アスファルトシングルも同様で、くぎ孔からの漏水が発生しにくくなり防水性に優れています。

 

軽量

アスファルトシングルは、軽い屋根材と言われているスレートよりもさらに軽い屋根材です。

リフォーム工事など古い屋根材が軽い屋根材の場合、軽い屋根材であるアスファルトシングルによる葺き替えは可能です。

また、アスファルトシングルのメンテナンス方法として、アスファルトシングルでカバーすることがあります。

軽量であるため、1度カバー工法してもスレートと同じ重量になる程度なので、建物への負担をかけることがありません。

 

割れにくい

アスファルトシングルは、柔らかい屋根材であるため硬い屋根材のように割れる心配がありません。

例えば、セメントを固めたスレート屋根は踏み割れの不具合が発生して問題となりますが、アスファルトシングルはそのリスクがありません。

サビに強い

金属屋根材はサビやすいですが、アスファルトシングルはアスファルトとガラス繊維などの非金属素材でできているため、サビることはありません。

 

防音性が高い

表面に施された石粒が緩衝材となるため、トタン屋根や金属屋根と比較して防音性が高いです。

とくに、金属屋根は雨音がうるさいと問題となりますが、アスファルトシングルはそのリスクが少ないので安心です。

 

デザインが豊富

アスファルトシングルはカッターでカットでき、容易に加工できます。

複雑な形状や急な勾配、曲面の屋根にも施工可能です。

石粒を着色しているのでカラーバリエーションも豊富で、デザイン性が高い屋根材です。

 

アスファルトシングル屋根材の注意点

アスファルトシングル屋根材の注意点(デメリット)を紹介します。

  • 強風で飛散しやすい
  • メンテナンスが頻繁に必要

 

それぞれについて簡単に解説します。

強風で飛散しやすい

アスファルトシングルは薄くて柔らかくて軽い屋根材なため、強風に弱く破れて飛散する可能性があります。

素材自体の強度は低く、重なり部分に施す接着剤で飛散防止しています。

接着剤の不足や劣化、施工不良により重なりに隙間ができてしまうと飛散リスクが高まります。

 

メンテナンスが頻繁に必要

以下の要因で定期的なメンテナンスが必要な屋根材です。

  • アスファルトシングルは、水分や湿気、低温・高温で劣化しやすい素材
  • 湿気が多いと、カビやコケが発生する
  • 低温では、水分が凍結して材料に負荷がかかる
  • 高温ではアスファルトが熱劣化し、ふくれが生じる
  • 表面の石粒が剥がれ、雨どいに堆積して、雨どいの詰まりの原因になる
  • 紫外線による劣化を防ぐため、石粒の剥がれた部分を早めに修理する必要がある

 

アスファルトシングルはメンテナンスが必要な屋根材ですので、そのメンテナンスサイクルがどれくらいなのかについては、次の章から詳しく解説していきます。

 

アスファルトシングル屋根材のメンテナンスサイクルはどのくらい?

アスファルトシングル屋根材のメンテナンスサイクルは12年と比較的短くなっています。

石粒が天然石の高級品や韓国などの外国産のアスファルトシングル屋根材は30年と他の屋根材と同じ期間に設定されているものもあります。

メンテナンス頻度が高く、コストパフォーマンスは低い屋根材です。

 

アスファルトシングルのメンテナンスについて詳しくはこちらの記事で解説しています。

アスファルトシングルの塗装による雨漏り 「縁切り」なしが原因。

 

アスファルトシングル屋根材のメンテナンス方法と費用

アスファルトシングル屋根材のメンテナンス方法について紹介します。

大規模改修(葺き替え・カバー工法)や点検以外のメンテナンス方法は以下となります。

  • 浮きの補修
  • 塗装

 

それぞれについて簡単に解説します。

浮きの補修

アスファルトシングルの浮きがあると強風で飛散するリスクとなるため、その部分の補修が必要です。

接着剤(シングルセメント)を浮いているシングルの下に注入して、その下のシングルに接着させてください。

補修費用は3~万円となります。(不具合の量や屋根形状によって費用は異なりますので目安とお考えください。)

 

塗装

アスファルトシングルの着色した石粒の色落ちやコケの発生がある場合、屋根の美観が低下します。

表面の石粒がはがれると基材が暴露し、劣化につながります。

これらは塗装することで、美観が向上し、基材を保護することができます。

塗装費用の目安は約30~万円となります。

 

アスファルトシングル屋根材の耐用年数

アスファルトシングル屋根の耐用年数は、少し前までは10年~20年と言われていたが、現在は20~30年の商品も出ています。

ただし、シングル同士の接着部分は施工技量や均一性にバラツキが多く見られ、かつその部分が耐久性にも関係しています。

接着部に劣化が生じ、重なりに隙間ができるとすぐに飛散リスクが高まります。

20年を超えると葺き替えやカバー工法などの大規模改修が必要となる可能性があります。

 

アスファルトシングル屋根材は年数が経つとどうなる?

アスファルトシングル屋根材が経年で劣化した状態を紹介します。

●石粒がはがれる

石粒がはがれ、まだら模様となり、基材が見えるようになります。

はがれた石粒は雨どいなどに堆積する可能性があります。

●ヒビ割れが発生する

アスファルトシングル自体にヒビ割れが発生します。

●浮く

アスファルトシングルの重なり部分が浮いてきます。

●飛散する

表面のアスファルトシングルが飛散し、下側のアスファルトシングルが暴露します。

雨漏りリスクが高まります。

 

アスファルトシングル屋根材が経年でどうなるかについて詳しくはこちらの記事で解説しています。

アスファルトシングルは経年でどうなるの?雨どいに石粒がびっしりでした!

 

屋根材をアスファルトシングルに替えたい!費用相場は?

屋根材をアスファルトシングルに葺き替えする場合は、100㎡の屋根だと100万~120万程の相場となります。

費用には、既存屋根の撤去や処分費、新規シングル屋根の材工などが含まれています。

 施工業者、屋根の広さや勾配、既存屋根材の種類によっても金額が変動するため、複数の業者から見積もりを依頼することがおすすめです。

 

アスファルトシングル屋根材の施工方法

アスファルトシングルの施工方法について、簡単にご紹介します。

  1. 防水シート(アスファルトルーフィング)を野地合板に貼る
  2. 防水シートに目安のラインをつける
  3. スターターシングルを必要な長さにカットし、接着剤(シングルセメント)を塗る
  4. スターターから順番にアスファルトシングルをくぎ留めする
  5. 施工要領書に準じた接着剤(シングルセメント)を位置・量を間違えずに塗布する

 

アスファルトシングルの施工のポイントは、接着剤を正しく施工することです。

接着剤の代わりに自着層があらかじめ付いているタイプもあります。

 

アスファルトシングル屋根材は飛散したらどうなるの?

アスファルトシングル屋根材が強風で飛散した状態の1例を紹介します。

※赤丸はくぎです。

1枚につき、4本留め付けてあり、マニュアル通りの留め付け本数であり、手抜き施工ではありません。

⇒部分は2枚重ねのシングル材が2枚とも飛散して、その下のルーフィングが見えています。

上部の赤丸はくぎとその部分のシングル材は残っていますが、それ以外の部分は強風で引きちぎられています。

シングルセメントの施工状態は確認できませんでしたので、自着層付のタイプと思われます。

2枚重ねとも飛散していることから、屋根のどこかで飛散がはじまるとシングルセメントの施工に関係なく、シングル自体の強度が不足していて、強風で引きちぎられたと思われます。

このような状態のままではルーフィング上に雨水が浸入して、やがて、雨漏りが発生する可能性が高いです。

 

アスファルトシングル屋根材の台風などの影響について詳しくはこちらの記事で解説しています。

台風21号大阪屋根調査 新しい屋根の被害はアスファルトシングル葺きでした!

 

 

【まとめ】アスファルトシングルは予算・デザイン性を重視の方におすすめの屋根材

アスファルトシングルは割れにくさと初期費用が安さで人気な屋根材です。

また、軽量性やデザイン性を重視した屋根材をお探しの方にもおすすめです。

しかし、定期的なメンテナンスが必要であり、35年以上のライフサイクルコストは割高となり、コストパフォーマンスは低い屋根材です。

屋根材は一長一短がありますので、屋根材選びは専門家に相談することがおすすめですが、参考にしていただければと思います。

 

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