目次
屋根の棟がどの部分なのか知っておこう
屋根の棟(むね)とは屋根のもっとも高い所、屋根の頂上部のこと。(上図左側)
屋根面の交差する部分であり、中心にくる水平な棟の部分を大棟(おおむね)、その端から隅に向かって対角線に延びている棟の部分を隅棟(すみむね)と呼ぶ。(上図右側)
屋根棟は屋根材によって種類が異なる
屋根棟は屋根材によって大きく2種類の設置方法に分かれます。
- 「棟板金」・・・棟にガルバリウム鋼板などの板金を設置するタイプ
- 「棟瓦」・・・棟に屋根材と同じ材料の棟仕様形状のものを設置するタイプ
屋根材と屋根棟の種類をまとめました。
屋根材 | 屋根棟の種類 |
---|---|
金属屋根 スレート屋根(※1) アスファルトシングル(※1) | 棟板金(金属製) (棟包みとも呼ばれる) |
粘土瓦(和瓦・洋瓦) セメント瓦 | 棟瓦(同質の材料) 粘土瓦・・・(焼成品) セメント瓦・・・(セメント製) |
※1:スレート屋根・アスファルトシングルでも棟板金ではなく、屋根材と同じ材料で棟を施工する特別な仕様もあります。
屋根棟はどんなメンテナンスが必要なの?
屋根棟は、屋根の中でもっとも風を受ける場所で傷みやすく、メンテナンスや修理が特に必要な部分です。
屋根がスレート屋根や金属屋根の場合は、「棟板金(むねばんきん)」と呼ばれる金属の板で棟がおおわれています。
固定方法は屋根面に固定された下地材に釘などで留め付けられています。
台風などの強風で棟板金が変形・浮き・飛散などの被害が発生した場合は板金や下地材を交換するメンテナンスが必要です。
また、棟板金を留め付けている釘は経年で抜ける現象が発生するため、ひどく抜けている場合は留め付け直しを行います。
屋根が瓦屋根の場合は、瓦と同じ素材を使った「棟瓦(むねかわら)」でおおわれています。
棟瓦は強風によるズレ・浮き・飛散の被害以外に、経年劣化によるズレもあります。
棟瓦のメンテナンスとしては、棟の葺き直しや葺き替えがあります。
また、棟瓦とその下の桟瓦の間の防水材として使用されている漆喰(しっくい)の塗り替えのメンテナンスも行われます。
次の章から棟板金と棟瓦のメンテナンスのタイミングや修理費用について詳しく解説していきます。
棟板金のメンテナンスのタイミング
棟板金は屋根材を塗装するタイミング(約10~15年)で、屋根材と併せて塗装を行います。
塗装することで板金の腐食を防ぐことができます。
浮いてしまった釘の打ち直しや棟板金自体の不具合による交換などの棟板金のメンテナンスは、約10~15年ごとの点検時に症状を発見したら行いましょう。
また、自然災害などで棟板金がめくれている場合や飛ばされてしまった場合は、雨漏りの原因となるため、早急に修理が必要な状態です。
台風や竜巻などの強風が吹いた場合は、後日、屋根をながめたり、写真を撮ったりして異常がないか確認しておきましょう。
屋根棟のメンテナンスのサイン
屋根棟のメンテナンスのサインとなる症状を紹介します。
棟の種類 | メンテナンスのサイン |
---|---|
棟板金 | 色あせ・サビなどの変色 釘が浮いている 風で動く音がする 板金がめくれている 板金が飛散している |
棟瓦 | 釘が浮いている 瓦がズレている 風で動く音がする 漆喰がはがれ、葺き土が見えている 瓦が割れている 棟が崩れている 瓦が飛散している |
これらの症状の中で、雨漏りが生じるような緊急を要するものは以下となります。
棟板金・・・板金がめくれている、板金が飛散している
棟瓦・・・棟が崩れている、瓦が飛散している
それ以外のものは緊急性を要さないので、業者にあおられてもすぐに契約しないようにすることをオススメします。
屋根棟の修理が必要な理由
屋根棟の修理が必要な理由を紹介します。
- 雨漏りが起きるから
- 台風などの自然災害で屋根が剥がれてしまうから
- 軽微な状態だとメンテナンス費用が安価であるから
屋根の雨漏りは棟から発生する場合が多いです。
そのほとんどが屋根棟を修理せずに放置したために生じる雨漏りです。
釘の浮きが生じたらビスに変更するなどのメンテナンスを行うことで台風などの強風で屋根棟が飛散してしまうことを防止できます。
屋根棟が飛散すると屋根の他の部分にあたって被害が拡大したり、建物の周辺へ落下して2次被害が発生したりします。
ご近所トラブルに発展するリスクとなりますのでご注意ください。
雨漏りや飛散などが生じる前に屋根棟の修理を行っておくとメンテナンス費用は安価で済むのでオススメします。
棟板金の修理費用
棟板金の修理費用目安をご紹介します。
修理内容 | 修理費用目安 |
---|---|
釘・ビスの打ち直し | 50,000~80,000 |
棟板金の交換工事 | 100,000~200,000 |
※足場費用を除く
上写真はスレート屋根の棟板金を取り外し所です。
棟板金の中には下地木材が入っていて、それに棟板金を留め付けています。
劣化が進んでいる棟板金では下地木材が腐朽している場合もあり、その場合は下地木材も交換します。
棟瓦のメンテナンスのタイミング
日本瓦屋根の棟瓦は20年以上経過している場合、耐震・耐風性能の低い旧工法の可能性が高いので、点検・診断を行いましょう。
旧工法の場合は、緊急性はありませんが現在の仕様に葺き直しされることをオススメします。
補助金の対象になる地域もありますので、各自治体にご確認ください。
また、自然災害などで棟瓦のズレ・飛散や損傷が生じた場合、雨漏りの原因となるため、早急に修理が必要な状態です。
定期的なメンテナンスとしては、棟の漆喰などは約20~30年で塗り直しが必要です。
棟瓦の修理費用
棟瓦の修理費用目安をご紹介します。
修理内容 | 修理費用目安 |
---|---|
漆喰の塗り直し | 6,000~8,000円/棟1mあたり |
棟の葺き直し(日本瓦) | 30,000~円/棟1mあたり |
棟の葺き直し(F形瓦) | 15,000~円/棟1mあたり |
※足場費用を除く
棟の漆喰の塗り直しを説明します。
古い漆喰をはがします。
漆喰の奥には茶色の葺き土があります。
葺き土を保護する防水材として、新しく漆喰を塗り直します。
葺き土は風雨によって浸食されるため、漆喰がはがれた状態で何年も放置することは雨漏りリスクとなります。
ここで注意してほしいのは漆喰の塗り直しではなく、漆喰の重ね塗りをするとかえって雨漏りしやすくなるので必ず業者に確認をすることをオススメします。
屋根棟の修理費用に関わる要素
屋根棟の修理費用に関わる大きな要素は、2つあります。
- 足場の要否
- 棟の長さ
①足場の要否
足場の設置には、15~25万円程度の費用がかかる場合が多いです。
部分修理の場合、足場費用の方が工事費よりも高額となる場合もあります。
ただし、安全性や正確性の観点から足場は基本的に必要なものとなります。
②棟の長さ
当然ですが、棟は長ければ長いほど修理費用が高くなります。
同じ屋根面積でも屋根形状によって棟の長さが大きく異なります。
切妻屋根の場合、棟の長さは約10m程度となります。
一方で寄棟屋根の場合、棟の長さは約30m程度となります。
屋根棟の修理費用をできるだけ安くするには?
足場費用を安くする
屋根のメンテナンスや修理は、10~20年ごとに必要となります。
壁塗装のメンテナンスも似たようなサイクルであるため、屋根のメンテナンスと外壁塗装のメンテナンスを同じタイミングで行うことで、足場設置が1回で済むため、修理費用のトータルを安くすることができます。
屋根の専門家に依頼して安価な内容を提案してもらう
屋根の専門家に依頼することで修理費用を安くすることができます。
屋根の修理部分を不要な所をのぞき、部分修理することで安価にすることができます。
修理方法も屋根の専門家であれば、予算に合わせた修理方法を提案することも可能となります。
補助金を活用する
瓦屋根の場合、地域によっては自治体が耐風・耐震を向上させるための補助金を出しているところもあります。
補助金を活用することで、修理費用を安くすることもできます。
瓦屋根の耐風改修補助金について、詳しくこちらの記事をご覧ください。
屋根修理で使える補助金や助成金は?工事前に内容や条件を確認しよう
悪徳業者を避ける
また、訪問販売での屋根修理業者の中には悪徳業者が多く存在するため、悪徳業者と契約しないようにすることも修理費用を安くするコツです。
屋根修理の悪徳業者にだまされないようにする方法について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
修理費用を安くするには自社施工の業者がオススメです
修理費用を安くするには中間マージンがない自社施工可能な業者に依頼することをオススメします。
工務店やリフォーム会社、塗装業者は下請けの屋根工事会社へ発注することになります。
棟修理であれば、直接、屋根工事会社へ発注することで工務店やリフォーム会社、塗装業者の営業経費を省くことができます。
ただし、知っている屋根工事会社はほとんどないと思いますので不安だと思います。
安価となる分、あやしい業者にあたってしまうリスクもあるので、業者選びが重要となります。
屋根棟の修理費用は火災保険で補償されるの?
屋根棟の修理を行う上で、火災保険を活用できる可能性もあります。
屋根修理に関して火災保険が適用される条件は、屋根の損傷やその損傷に伴う雨漏りが自然災害によるものであることとなっています。
自然災害による損傷は以下の災害で発生したものとなります。
- 落雷
- 風災
- 雹災
- 雪災
- 水災
火災保険を使って屋根修理を検討している人で、その修理内容が保険に対応するか知りたい方はこちらの記事に詳しく記載されていますので参考にしてください。
屋根修理で火災保険は使えるの?申請方法から注意点まで徹底解説!
屋根棟修理のDIYはオススメできない
基本的に屋根棟修理のDIYはオススメできません。
理由としては大きく2つあります。
- 高所作業で滑落・転落するリスクがある
- 屋根棟修理は技術・知識が必要で、DIYでは不具合を悪化させるリスクがある
屋根の一番高いところでの作業となり、滑落すると命にかかわるのでやめておきましょう。
DIYで悩むよりもしっかりした業者に依頼することをオススメします。
どんな屋根修理業者に頼めば良いのかについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
どんな屋根修理業者に頼めば良いの?優良業者の5つの特徴を解説!
【まとめ】屋根の修理費用は状況により異なります
屋根棟は、屋根の中でもっとも風を受ける場所で傷みやすく、メンテナンスや修理が特に必要な部分です。
台風や竜巻などの強風により、棟板金や冠瓦が被害を受けて修理が必要となる場合があります。
建物の仕様や被害状況によって、屋根の修理費用は大きくことなります。
修理費用を安価にする方法として、屋根の専門家に依頼することや火災保険や補助金を活用することがあります。
屋根についてお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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