目次
屋根塗装の役割
屋根塗装には、大きく2種類があります。
陸屋根や屋上などの防水層をメンテナンスする防水塗装とスレート屋根や金属屋根のような傾斜のある屋根の表面を保護する塗装となります。
傾斜のある屋根では、屋根材の下にある防水シートで雨水浸入をふせいでいるので、防水塗装は必要ありません。
傾斜のある屋根で表面を保護する塗装の役割について紹介します。
- 屋根材の保護
- 美観の保持
- 遮熱や防水などの機能付加
それぞれについて簡単に解説します。
①屋根材の保護
トタン屋根、ガルバリウム鋼板屋根などの鋼板屋根は表面の塗装やメッキ層が劣化すると鋼板が腐食してサビが発生します。
鋼板の腐食を放置するとサビが深くなり、やがてあなが開き雨水浸入してしまいます。
屋根材を塗装することで、鋼板を保護することができます。
スレート屋根では、塗装で表面からの吸水をふせいでいます。
塗装が劣化するとスレート屋根の吸水量が増え、乾燥・吸水を繰り返すことで屋根材自体に反りが発生します。
スレート屋根を塗装することで吸水量を減らし、屋根材を保護することにつながります。
②美観の保持
塗装の最大の役割は美観の保持です。
経年で色あせした屋根材を塗装すると美観は向上します。
屋根の美観がよくなると建物全体も若返ったイメージとなります。
③遮熱や防水などの機能付加
白系の塗料を塗ると日射を反射する効果が大幅に向上して、屋根面での遮熱性能が高くなります。
セメント系屋根材は塗装することで表面から水を吸い込みにくくなるので、コケや藻が生えにくくなります。
屋根の塗装で雨漏りは直らない
傾斜屋根の塗装で雨漏りが直ることはほとんどありません。
悪徳業者の「塗装をすれば雨漏りが直る」というようなセールストークにダマされないように注意しましょう。
雨漏りを防いでいる屋根の防水構造は「一次防水」と呼ばれる雨水を浸入させない部材(屋根材)と「二次防水」と呼ばれる雨水が浸入したときに排水する部材(防水シート)の2つがセットになっています。
雨漏りが発生している場合は、最終防水ラインとなっているニ次防水の防水シートが突破されており、そこに何らかの不具合があります。
そのため、雨漏りをしっかり直すには防水シートを直す必要があります。
塗装は一次防水の屋根材の表面を塗るだけなので防水シートを直すことにはつながらず、雨漏りは直らないのです。
塗装で雨漏りが直るのかについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨漏りは塗装で直る?塗装の3つの役割!悪徳業者に気をつけよう
屋根塗装のメリット
傾斜屋根の屋根塗装のメリットについて紹介します。
- 美観の向上
- 屋根材の保護
- 防サビ効果の向上
- 吸水低下効果の向上
- コケ・藻発生の防止効果の向上
- 遮熱・断熱効果の向上
屋根塗装のメリットは美観が向上することです。
屋根がきれいになると建物全体の雰囲気が若返ると言われています。
また、金属屋根材は塗装することで劣化を軽減することにつながります。
屋根塗装のデメリット
屋根塗装のデメリットについて紹介します。
- 雨漏りリスク
- 時間経過による色あせ
- 短期間での再メンテナンスで費用がかさむ
屋根塗装のデメリットとして、塗装工程で「縁切り」という作業を省くと塗装したために雨漏りすることがあります。
屋根材は「雨仕舞」という考え方で雨水浸入を防いでいるので、屋根材同士の隙間を間違ってふさいでしまうと雨漏りリスクとなります。
また、10年程度で色あせするため、10年ごとにメンテナンスが必要となります。
メンテナンス費用がかさむというデメリットがあります。
屋根塗装の費用相場
傾斜屋根の塗装の費用相場を紹介します。
一般的な2階建てのスレート屋根の場合(塗り面積が60~80㎡程度)は、40~60万円程度を目安とお考えください。(30坪前後の大きさの建物)
一口に屋根の塗装と言っても、塗装の種類、屋根材の種類や劣化状態、建物の立地、大きさや形状などによって変わってきます。
陸屋根や屋上の屋根の防水塗装の費用相場を紹介します。
一般的な屋上(約100㎡)の防水工事(ウレタン防水)は約110万円程度(別途、足場約13万円)です。
傾斜屋根の塗装については詳しくはこちらの記事で解説しています。
陸屋根や屋上の防水塗装については詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋上防水塗装の種類や費用を紹介!DIYの注意点や手順も紹介します
雨漏りする前に塗装したい屋根の劣化症状
雨漏りする前に塗装しておきたい屋根の劣化症状を紹介します。
- 広い範囲のヒビ割れや欠け
- 広い範囲の傷みや色あせ
- コケや藻が発生している
●広い範囲のヒビ割れや欠け
広い範囲のヒビ割れや欠けが発生しているスレート屋根は、屋根全体の経年劣化が進んでいます。
ヒビ割れがさらに悪化する前に塗装しておきましょう。
●広い範囲の傷みや色あせ
色あせやサビをそのまま放置すると腐食がすすみ穴開きが発生して、雨漏りとなります。
広範囲に色あせやサビが発生した場合は、塗装メンテナンスを行いましょう。
●コケや藻が発生している
スレート屋根やセメント屋根では塗装が劣化すると北面にコケ・藻が発生します。
同様に塗装メンテナンスが必要です。
雨漏りを防止するために必要な塗料の特徴
雨漏りを防止する塗料には、必要な3つの要素がありますので紹介します。
- 防水性
- 伸縮性
- 耐久性
それぞれの特徴について簡単に解説します。
①防水性
雨漏りを防止する塗料には、通常の塗料よりも高い防水性を備えていることが必要です。
防水性が高いと雨漏りを予防するだけでなく、屋根材に雨水が吸い込まなくなるので、表面のカビやコケの発生を防止します。
金属製の外壁材や屋根材は水から守られるため、腐食してサビて穴が開くこともありません。
②伸縮性
雨漏りを防止する塗料には、乾燥後にゴムのように伸び縮みする伸縮性をもっていることが重要です。
塗装後の屋根材のヒビ割れに対しても、伸縮することで塗膜のヒビ割れを防ぎます。
塗膜がヒビ割れしないことで、雨水の浸入を防ぐことにつながります。
③耐久性
雨漏りを防止する塗料に必要な要素として、一定以上の期間機能してくれる耐久性が重要です。
屋根に用いられるので、紫外線や温度変化・雨水にさらされており、住宅の中でもっともきびしい環境下と言えます。
屋外での外力に対する耐候性も重要です。
雨漏り防止塗料について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根の塗装が雨漏りの原因になることもある
スレート屋根とは、新築時は雨漏りしにくい屋根材です。
しかし、経年によって雨漏りすることがあります。
その原因としては塗装時の「縁切り」不足があります。
縁切りとは、スレートの上下の重なり部分を塗料でふさいでしまわないように、塗装した翌日にカッターなどで塗料を切ることを言います。
スレートの上下の重なり部分はスレート内部に浸入した雨水を排水する部分となっています。
縁切りを行わないとスレート内部に浸入した雨水を排水できず雨漏りしてしまいます。
スレートの縁切り不足による雨漏りについて紹介した動画をご覧ください。
「縁切り」不足について詳しくはこちらの記事で解説しています。
スレート屋根の雨漏り 3大原因の1つ「塗装の縁切り不足」をご紹介。
雨漏りの原因がわからないときはプロに頼もう
雨漏りの原因がわからないときは、やみくもに屋根塗装を行うのではなく、専門業者に依頼して雨漏りの原因調査をしてもらい対処することが重要です。
雨漏りの調査は状況に応じて調査方法を業者が選択しますが、調査内容によって調査費用が変わりますのであらかじめ確認しておきましょう。
目視の点検であれば無料で行ってくれる業者が多いです。
雨漏り調査はいろいろな流派があり、それぞれ一長一短があると思います。
まずは、主な5つの調査内容をご紹介します。
- 目視調査
- 散水調査
- 赤外線サーモグラフィ調査
- 発光液調査
- ドローン撮影調査
調査方法 | 費用の目安 | 調査内容 |
---|---|---|
目視調査 | 0円 | 雨漏り部分を目視・写真撮影して、調査する方法です。 |
散水調査 | 0~30万円 | 水道の蛇口にホースをつないで、浸入口に散水をして、雨漏りを再現する調査方法です。 |
赤外線サーモグラフィ調査 | 0~20万円 | 赤外線カメラを使い、建物内外の熱画像を撮影して、雨水の浸入経路を調査する方法です。 |
発光液調査 | 15~20万円 | 雨漏りの浸入口を見分けるために、蛍光液の色を変えて、場所を特定する調査方法です。 |
ドローン撮影調査 | 0~10万円 | 屋根などの高所部分で目視できない所をドローンにより写真撮影して調査する方法です。 |
また雨漏りの原因を調べる「点検」「調査」「診断」の違いについて紹介した動画をご覧ください。
雨漏り調査について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨漏り調査ってなにをするの?費用は?5つの方法をプロが徹底解説!
【まとめ】屋根の塗装で雨漏りは直らない
傾斜のある屋根で表面を保護する塗装の役割について紹介します。
- 屋根材の保護
- 美観の保持
- 遮熱や防水などの機能付加
傾斜屋根の塗装で雨漏りが直ることはほとんどありません。
悪徳業者の「塗装をすれば雨漏りが直る」というようなセールストークにダマされないように注意しましょう。
塗装は一次防水の屋根材の表面を塗るだけなので防水シートを直すことにはつながらず、雨漏りは直らないのです。
屋根・雨漏りに関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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