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瓦に防水塗料の塗装は必要なの?
瓦には、粘土系の瓦とセメント系の屋根材(瓦のような形状)があります。
粘土系の瓦は高温(約1100℃)の窯で焼いて生産しており、表面は釉薬(ゆうやく)や炭素被膜で着色されています。
釉薬による着色は茶碗や皿と同じ方法であり変色はほとんど起きないので、粘土系瓦の塗装は必要ありません。
一方で、セメント系は表面を塗料で着色した屋根材(瓦)です。
塗料は経年で紫外線劣化するので塗料の性能が落ちてしまうため、セメント系瓦の塗装メンテンナンスは必要となります。
粘土系の瓦の耐用年数は60年以上あり、瓦自体のメンテナンスはありません。
瓦屋根としては、瓦の下にある防水シートの補修や漆喰の塗り直しなどのメンテナンスを行います。
瓦屋根のメンテナンスについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
自分の家の瓦の種類を見分ける方法は?
塗装が必要なセメント系瓦(モニエル瓦等)かどうかは、ある程度見た目で判断できます。
- 角が角ばっている
- デザイン性が高いものが多い
- 表面がゴツゴツしている
- 塗装が剥がれている
- 塗装が色褪せている
●角が角ばっている/表面がゴツゴツしている
●塗装が色褪せている
防水塗料を塗装していないと起こる瓦の劣化症状
防水塗料を塗装していないと起こるセメント系瓦の劣化症状を紹介します。
●変色・色あせ
日常的に紫外線や風雨があたり、表面の塗料が劣化して変色や色あせが起こります。
●カビ・コケの繁殖
表面の塗料が劣化すると防水性が切れてセメント系瓦の表面が水分を含みやすくなります。
カビ・コケが根付きやすく、繁殖がすすみます。
●ヒビ割れ・欠落
施工中のヘアークラック部分が吸水による膨張・乾燥による収縮を繰り返すことでヒビ割れへと成長し、欠落が起こることもあります。
防水塗料の塗装が必要なのに放置した場合
セメント系瓦の塗装メンテンナンスを行っていないと、まず塗膜の劣化で美観が損なわれます。
また、塗膜の撥水効果も低下するため、セメント系瓦は水分を吸いやすくなります。
すると、コケや藻などが表面に生育するようになり、美観がさらに低下します。
ただし、塗装しないからと言って、セメント系瓦は透水する訳ではないので過度に雨漏りを心配することはありません。
また、水分を吸ったからと言って極端に強度が落ちることもありません。
放置しておくと美観が悪くなるとお考えください。
最適な防水塗料の選び方
セメント系瓦を塗装するときは、下塗り塗料が「セメント系瓦適用」かどうかを、必ず確認して選びましょう。
下塗りが適したものでないと、塗装を行って後から剥がれてしまうことがあります。
屋根は外壁に比べて、紫外線や風雨、日射、放射冷却などの影響を受けやすく塗料には厳しい環境と言えます。
表面の下地処理も難しく、高級な塗料を塗布してもその期待通りにはいかず、不具合が発生しやすいので、コストパフォーマンスの高いシリコン系塗料がオススメです。
瓦屋根に防水塗料を塗装する手順
セメント系瓦屋根に防水塗料を塗装する手順を紹介します。
セメント系瓦の中でも「セメント瓦」と「モニエル瓦」があります。
セメント瓦の塗装方法
セメント瓦の塗装方法の手順を紹介します。
- 高圧洗浄
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
高圧洗浄して、表面の汚れやコケ・藻などをしっかりと取り除きます。
ヒビ割れしている瓦は敷地においてある予備の瓦に交換しておきましょう。
凹凸のある形状でも下塗りをしっかりと全面に塗布します。
中塗り・上塗りを順番に行います。
セメント瓦の形状によっては、上下の瓦の谷の部分が塗料で密着してしまう場合があるので、その場合は縁切り作業を行います。
モニエル瓦の塗装方法
モニエル瓦の塗装方法の手順を紹介します。
- 高圧洗浄(表面の脆い部分の除去)
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
モニエル瓦では、高圧洗浄時、入念に行い表面の脆い部分の除去も行います。
表面に汚れや脆い部分が残っていると施工後の塗膜のはがれの原因となりますので入念に行いましょう。
モニエル瓦(コンクリート瓦)に適した塗料を使用します。
瓦屋根に防水塗料を塗装するメリット
セメント系瓦屋根に防水塗料を塗装するメリットは、葺き替えなどのメンテナンスを行うよりも安くなることです。
屋根100㎡程度の面積であれば、屋根葺き替え工事は150~200万円は必要なのに対して、屋根の塗装であれば、50万円前後で費用を抑えられることができます。
今後30年程度のスパンで考えるなら葺き替えとなりますが、とりあえず、10年程度は持たせたいという方には塗装の方がメリットがあります。
瓦を塗装する際の注意点
セメント系瓦は廃盤品となっているため、代替品がほとんど手に入らないことを知っておきましょう。
セメント系の瓦は何か不具合が発生したからと言って、簡単に部分交換することができません。
- 塗装中に踏み割れした
- 足場を撤去するときに割れた
- 台風で部分的に飛散した
強度が低下しているものもあり、下屋根に足場を設置する場合によく割れてしまうようです。
また、古いセメント瓦は野地板がバラ板の可能性もあるので、塗装する際には踏み抜きにも注意してください。
屋根の下地の板張りについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
場合によっては葺き替えも検討しよう
セメント瓦の耐用年数は、30年程度と言われております。
塗装していても屋根としての劣化が進んでしまうため、耐用年数が近づいてきている・過ぎている場合は屋根葺き替え工事を検討しましょう。
長期間、メンテナンスを行っていない場合は、セメント瓦の下で防水の役割を担っている防水シートや野地板も劣化している可能性が十分にあります。
塗装しても数年で雨漏りなどの不具合が発生するリスクがあります。
築年数と今後の住まい計画の両方によって、「塗装」か「葺き替え」を判断されることをオススメします。
【まとめ】家の瓦に合ったメンテナンスをしよう
粘土系瓦の塗装は必要ありません。
一方で、セメント系瓦の塗装メンテンナンスは必要となります。
セメント系瓦の塗装メンテンナンスを行っていないと、塗膜の劣化で美観が損なわれます。
セメント系瓦は廃盤品となっているため、代替品がほとんど手に入りません。
塗装していても屋根としての劣化が進んでしまうため、耐用年数が近づいてきている・過ぎている場合は屋根葺き替え工事を検討しましょう。
今後30年程度のスパンで考えるなら葺き替えとなりますが、とりあえず、10年程度は持たせたいという方には塗装の方がメリットがあります。
屋根・雨漏りに関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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