目次
瓦屋根のメンテナンスは4種類
瓦屋根のメンテナンスは、大きく分けると4種類あります。
- 葺き替え
- 葺き直し
- カバー工法
- 部分修理
メンテナンス方法によって、費用が大きくことなります。
それぞれメリットデメリットがありますので、次の章から詳しく解説していきますね。
【瓦屋根のメンテナンス】①葺き替え
葺き替えとは、瓦屋根全体を撤去して新しい屋根材に交換するメンテナンス方法です。
瓦自体の劣化や雨漏りによる屋根下地の劣化など、瓦屋根全体に問題が発生している場合の全てを解決することができます。
- 葺き替えのメリット
- 屋根材を交換できる(屋根材の種類・形状・色などを変更可能)
- 屋根下地を交換できる
- 耐震・耐風・防水・耐久性が向上する
- 葺き替えのデメリット
- メンテンナンス費用が高額となる
- 工事期間が長くなる
- 工事中の雨漏りリスクがある
葺き替えのメリットは屋根をリセットすることできることで、デメリットは費用が高額になることです。
瓦屋根を葺き替えする費用の目安をまとめました。
葺き替えパターン | 費用(円) | 単位 |
---|---|---|
日本瓦⇒日本瓦 | 17,000~ | /㎡ |
日本瓦⇒F形瓦 | 16,000~ | /㎡ |
日本瓦⇒スレート屋根 | 14,000~ | /㎡ |
日本瓦⇒ガルバリウム鋼板屋根 | 16,000~ | /㎡ |
日本瓦⇒ルーガ(軽量セメント屋根材) | 19,000~ | /㎡ |
新しくする屋根材の種類によって、費用は多少異なります。
瓦屋根と新しい屋根材の性能の違いがビフォー・アフターでわかりますので、それぞれの屋根材のメリット・デメリットを把握した上で新しい屋根材を選びましょう。
また、既存瓦屋根の仕様が「土葺き(どぶき)」か「引掛け桟葺き(ひっかけさんぶき)」かによって費用が異なります。
土葺きとは瓦屋根の下に葺き土が入っている仕様のことで、愛知以西に多く見られます。
葺き土を撤去する費用(2,000~円/㎡)が余分にかかります。
新しい瓦で葺き替えする場合、現在では瓦の下に葺き土を使用しない引掛け桟葺きとなりますので、瓦屋根⇒瓦屋根でも軽量化になります。
日本瓦屋根を葺き替える場合の新しい屋根材を選ぶポイントについてこちらの記事で詳しく解説しています。
日本瓦屋根の葺き替え費用の相場感と、屋根材を選ぶポイントを解説します。
【瓦屋根のメンテナンス】②葺き直し
葺き直しとは、既存の瓦を一旦めくり、地面に降ろしたり、違う屋根面に置いたりして、不具合のある屋根下地の葺き土・野地板・防水シート・瓦桟木などを新しくして、既存の瓦で屋根を復旧することです。
- 葺き直しのメリット
- 既存の瓦を使用するため、工事費用が少し安価となる
- 屋根下地は新しくなり、瓦の留め付けもするので、耐震・耐風・防水性は向上する
- 立地の悪いところでも屋根下地を新しくできる
- 葺き直しのデメリット
- 新規屋根材費用はかからないが、瓦の移動手間がかかるので割高感がある
- 古い瓦のままなので、新しい瓦と比較して防災機能や耐久性などが劣る
瓦の葺き直しは既存瓦の処分費などがかからない分、葺き替えに比べて安価となります。
しかし、屋根全体でのメンテナンスを考えた場合、葺き替えは新しい屋根材となるため、屋根材自体の性能向上が期待できるので、葺き直しはあまり行われません。
屋根近くまで車が入りこめず、人力で瓦を移動させて処分しなければならないなど立地が悪い場合や既存瓦の意匠性・付加価値がある場合などの特殊な条件がある場合は葺き直しが行われます。
葺き直し費用の目安は以下となります。
葺き直しパターン | 費用(円) | 単位 |
---|---|---|
日本瓦⇒日本瓦 | 16,000~ | /㎡ |
日本瓦棟部(のし瓦積み) | 25,000~ | /m |
日本瓦屋根の棟部を葺き直しすることもあります。
雨漏り修理や旧工法をガイドライン工法で復旧するなどの場合です。
【瓦屋根のメンテナンス】③カバー工法
カバー工法とは、既存屋根材の上に新しい防水シートや屋根材をかぶせる工法のことです。
しかし、瓦屋根ではカバー工法は行いません。
瓦屋根でカバー工法を提案された場合は、その業者は専門家ではない可能性が高いので注意しましょう。
カバー工法に関して詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根修理でカバー工法を行うメリットやデメリットは?注意点も解説!
【瓦屋根のメンテナンス】④部分修理
部分修理とは、瓦屋根の雨漏りなどの不具合に対して、その原因箇所周辺のみをめくって、屋根下地を直して復旧することです。
瓦屋根は他の屋根材と違って、部分修理が容易な構造となっています。
また、既存瓦と新しい瓦の互換性が高いことも部分修理を可能とさせています。
- 部分修理のメリット
- 修理範囲が限定的なので費用が安価である
- 一部新しい瓦を用いて互換性があり、復旧後に支障がない
- 工事期間も短くなる
- 部分修理のデメリット
- 瓦屋根全体が劣化している場合は、他の部分で不具合が再発するリスクがある
- 部分修理でも何十年も持つため、屋根全体が旧工法のままとなる
瓦屋根の雨漏りなどは費用が安価となるため、部分修理する場合がほとんどです。
部分修理でもその部分からの再発はありません。
不具合があったときに、すぐに部分修理を行うことで瓦屋根を長持ちさせることができます。
部分修理の種類と内容・費用相場などをまとめました。
修理内容 | 約100㎡の建物の費用相場 |
---|---|
破損した瓦の差し替え | 2.5~万円 ※例5枚の場合、5万円程度です。 |
棟板金の取替え | 5~15万円 ※棟板金の形状や長さによって異なります。 |
雪止設置 | 10~30万円 ※隣の家や車に被害が出る場所に増設します。 |
しっくいの塗り替え | 6~20万円 |
雨樋修理 | 5~10万円 ※破損した部分の交換です。 |
瓦棟部の葺き替え | 25~50万円 |
雨漏り修理 | 10~50万円 ※雨漏りしている場所の部分のみの補修です。 |
屋根瓦の塗装は必要なのか
屋根瓦を塗装することは必要ありません。
さらに言うと、屋根瓦の塗装はNGとなっています。
その理由としては、瓦はいちじるしく変色しない特徴がありますので、瓦に塗装してもそれほど美観は向上しません。
塗装した場合、その後の塗料の紫外線劣化による色ムラが逆に気になると思います。
また、瓦同士は隙間があることで、湿気を排湿したり、浸入した雨水を排水する効果があります。
その瓦同士の隙間を塗料がふさいでしまうと雨漏りするリスクが高くなります。
雨漏りの解決策として塗装を勧めてくる業者もいますが、雨漏りの解決どころか縁切り(隙間をふさぐ塗料を切る作業)されずに、かえって雨漏りが悪化する原因となるので絶対にNGです。
瓦屋根の塗装に関して詳しくはこちらの記事で解説しています。
瓦屋根の塗装はNGです! 効果が少なく、雨漏りリスクも高まります!
瓦屋根のメンテナンスで必要となる費用
瓦屋根の葺き替え・葺き直しのメンテナンス費用をまとめました。
修理内容 | 約100㎡の建物の費用相場 |
---|---|
屋根材の葺き替え ※古い屋根材を撤去して、新しい屋根材を施工 | 100~240万円 |
瓦の葺き直し ※瓦を部分的に外しながら、ビス留めする | 70~150万円 |
瓦屋根の葺き替えは築年数が40年以上が目安と言えます。
その他、複数の雨漏りの発生や耐震・耐風改修を行いたい場合が葺き替えのタイミングとなります。
瓦屋根の棟部の葺き直しは20年以上経過した屋根でお考えください。
20年以上前は旧工法となっていますので、耐震・耐風改修として葺き直しが必要です。
現在、旧工法の瓦屋根の改修には、補助金を設置している地方自治体もありますので、各地方自治体のホームページをご確認ください。
瓦屋根のメンテナンスに必要な工期
瓦屋根のメンテナンスに必要な工期の目安をまとめました。
屋根修理内容 | 工事期間 |
---|---|
屋根の葺き替え | 10~14日間 |
カバー工法 | 5~10日間 |
塗装 | 10~14日間 |
棟の葺き直し | 1~3日間 |
部分修理 | 1~2日間 |
雨漏り修理 | 1~3日間 |
さらに、足場の設置・解体で2日間かかるとお考えください。
屋根工事は少しの雨でも延期となる場合が多いので、工期は少し余裕をみておきましょう。
瓦は材料によって耐用年数が異なる
「〇〇瓦」と呼ばれていても、実は粘土瓦ではないものが含まれています。
粘土瓦の耐用年数は60年以上となっていますが、それ以外の「〇〇瓦」は原材料が異なるため、もっと短くなっています。
「〇〇瓦」の主なものの耐用年数をまとめました。
〇〇瓦 | 材料 | 耐用年数 |
---|---|---|
スレート瓦 | セメント | 25~30年 |
モニエル瓦 | コンクリート | 30年 |
セメント瓦 | セメント | 20~30年 |
金属瓦 | ガルバリウム鋼板 | 30年 |
ルーガ | 樹脂セメント | 30年 |
上記の「〇〇瓦」は全て表面が塗装品となっています。
塗装のメンテナンス時期は10~15年なので、耐用年数とは異なりますのでご注意ください。
【まとめ】定期的なメンテナンスで瓦屋根を長持ちさせよう
瓦屋根のメンテナンスは、大きく分けると3種類になります。
- 葺き替え
- 葺き直し
- 部分修理
瓦屋根の雨漏りなどは費用が安価となるため、部分修理する場合がほとんどです。
部分修理でもその部分からの再発はありません。
部分修理のメンテナンスをすることで、瓦屋根は長持ちします。
また、20年以上前の棟部の葺き直しをすることで、耐震・耐風改修となり、自然災害にも耐えることができます。
現在、旧工法の瓦屋根の改修には、補助金を設置している地方自治体もありますので、各地方自治体のホームページをご確認ください。
屋根に関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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