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雨漏りのメカニズムがわかる!屋根の基本構造とは?
雨漏りのメカニズムを知るには、屋根がどのように雨水の浸入を防いでいるのかなど、屋根の基本構造を知っておくことが重要です。
屋根材が異なっても住宅用では、どの屋根も構造や機能は基本的に同じです。
知っておきたい屋根の構造は以下となります。
- 垂木(たるき)
- 野地板(のじいた)
- ルーフィング(防水シート)
- 桟木(瓦桟木)
次の章からそれぞれについて詳しく解説していきます。
知っておきたい屋根の構造①垂木(たるき)
垂木とは屋根に傾斜をつける木材のことです。
屋根の一番高い棟(むね)と呼ばれる部分から下の軒(のき)に向けて、斜めに長い木材が取り付けられます。
約30~50cmの等間隔で屋根一面に設置され、野地板の下地となります。
垂木は雨や結露などの水分で腐り、劣化することがあります。
垂木が劣化するとその上の野地板や屋根材が沈みこみますので、注意が必要です。
垂木について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
知っておきたい屋根の構造②野地板(のじいた)
野地板とは屋根の下地板のことです。
垂木の上に貼る板状の材料で、木材が一般的です。
屋根材を受けるための屋根面となるもので、屋根材を留め付けるくぎやねじを保持する役割があります。
野地板も雨や結露による水分で腐り劣化します。
野地板が劣化すると屋根材の留め付けくぎ・ねじを保持できなくなり、屋根材が飛散するリスクが高まります。
野地板の種類としては、構造用合板、無垢板、耐火野地板などがあります。
構造用合板は9~12mmの厚みで大きさは1820×910mm、水分に強い接着剤で板材を3層以上で張り合わせたものです。
無垢板は9~12mmの厚みで幅は120~mm、杉などが使用されています。
耐火野地板はセメント系の工業製品で、住宅にはあまり使用されません。
屋根リフォームなどでは、既存の野地板の上に新しい野地合板を重ね張りすることもあります。
野地板について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
知っておきたい屋根の構造③ルーフィング(防水シート)
ルーフィングとは、野地板の上に敷く防水シートのことです。(屋根下葺き材とも呼ばれることもあります。)
野地板と屋根材の間に位置していて、屋根材同士の隙間から浸入した雨水が野地板へ伝わることを防止する役割があります。
ルーフィングの種類としては、大きく2種類(透湿系・非透湿系)があります。
透湿系・・湿気は通すが、水は通さないタイプ
〇透湿ルーフィング・・壁では主流となっている透湿防水シートの屋根仕様で高耐久仕様です。
非透湿系・・湿気も水も通さないタイプ
〇アスファルトルーフィング940・・傾斜屋根ではもっとも多く使われていました。
〇改質アスファルトルーフィング・・現在の主流で、940の耐久性を向上させたものです。
ルーフィングの施工方法は、ロール状に巻いてあるルーフィングを野地板の上に伸ばしながら、ホッチキスの針のようなステープル釘(タッカー)を打ち込んで留め付けます。
上下で100mm以上重なるようして、雨水の浸入を防ぎます。
ルーフィングについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
知っておきたい屋根の構造④桟木(瓦桟木)
桟木(さんぎ)とは瓦を施工するとき、屋根に設置する細長い材料のことです。
一般的には厚み15㎜程度以上、幅が30㎜以上と長細くなっています。
ルーフィングの上に設置して、ルーフテープ、垂木にくぎ留めします。
瓦は桟木に引掛けて、瓦を留め付けるくぎは桟木に留め付けられます。
瓦から浸入した雨水で桟木が腐ることがあります。
桟木が腐ると瓦を固定することができず、瓦が下へずれたり、強風で瓦が飛散するリスクとなります。
材質は木材が一般的で、良質なすぎ、ひのきなどを使用します。
木材以外では、水抜き穴が施された樹脂製の桟木が使用されることもあります。
桟木について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
雨漏り防止のために屋根材の耐用年数も知っておこう
屋根材やルーフィングには耐用年数があり、屋根材の耐用年数を過ぎると屋根材やルーフィングの劣化が原因で雨漏りしてしまうことがあります。
屋根材の耐用年数を目安にして、屋根の点検や屋根のメンテナンスを行うことが雨漏りを防止するために重要です。
屋根材 | 耐久性 | メンテナンス |
---|---|---|
瓦 | 50年以上 | 10年に1度点検 |
スレート | 25~30年 | 10年に1度塗装 |
金属屋根 | 20~30年 | 10年に1度塗装 |
アスファルトシングル | 15~20年 | 20年でカバー工法 |
屋根材の耐用年数や特徴に関して、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
屋根材の特徴や価格が丸わかり!あなたの最適を選ぶポイント6つ紹介
屋根材の劣化以外での屋根からの雨漏りの主な原因は?
屋根材の劣化以外で起こる屋根からの雨漏りの主な原因をご紹介します。
- ルーフィングの劣化
- 屋根材のズレや割れ、浮き
- 谷板金の腐食(ふしょく)
- ケラバからのオーバーフロー
- 棟板金の釘浮き
- 漆喰(しっくい)の崩れ
屋根からの雨漏りでもっとも多い原因はルーフィングの劣化によるものです。
ルーフィングは経年で、ルーフィングのくぎ穴シール性が低下したり、ルーフィングの伸び縮みで穴が拡がったりすることがあります。
その穴に雨水が流れ込むと野地板へ浸入して、雨漏りとなります。
どんな屋根材でも強風雨では屋根材の中に雨水が浸入することがあります。
そのために、住宅の屋根では必ずルーフィングが使用されています。
屋根の構造を知っていると雨漏りを防ぐ重要な役割はルーフィングであることがわかります。
逆に雨漏りした場合、屋根材の表面の隙間をいくらコーキングしても雨漏りは止まらないので、屋根材をはがして、ルーフィングを修理することが必須です。
屋根材の劣化以外で起こる雨漏りに関して、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
雨漏りが屋根から起こった!主な5つの原因と修理費用の目安を紹介!
釘のいらないポリフォームでの屋根材の固定は雨漏りしにくいの?
屋根材を固定するためのビス打ちや釘打ちが、野地板まで貫通して雨漏りの原因となります。
その対策として、屋根材を接着剤(ポリフォーム)で留め付けする方法も提案されています。
確かに、接着工法はルーフィングに開ける穴の数が減少します。
しかし、ポリフォームの価格が高価なため、雨漏り対策としてのポリフォームの使用はオススメしません。(コストパフォーマンスが劣っています。)
雨漏り対策としては、接着工法よりもホールレス工法(通気下地屋根構法)をオススメします。
ホールレス工法について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
必ずしも屋根からとは限らない雨漏りの原因
雨漏りは屋根から起こると思っている方が多いようですが、実際には外壁やベランダ・窓・サッシなどからの雨漏りが多いです。
特に、築年数が浅い建物での雨漏りは外壁・窓・サッシが原因の雨漏りが多くなっています。
雨漏りの原因について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
雨漏りの原因をランキング形式で知りたい方必見【慶応4年創業の屋根屋が解説】
雨漏りの原因を特定することは難しく、天井からの雨漏りしているので屋根からの雨漏りに見えても、実際に雨漏り調査をしてみると、屋根ではないケースも多くあります。
屋根と外壁・窓・サッシでは、補修方法が全く異なります。
安価だからと言って、職人の勘だけによるコーキングの雨漏り補修で無駄な時間と費用をかけるよりは、はじめから雨漏り調査して原因を把握して修理することをオススメします。
雨漏り調査について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
雨漏り調査ってなにをするの?費用は?5つの方法をプロが徹底解説!
【まとめ】屋根の構造がわかると雨漏り修理のときに役立ちます
雨漏りのメカニズムを知るには、屋根がどのように雨水の浸入を防いでいるのかなど、屋根の基本構造を知っておくことが重要です。
知っておきたい屋根の構造は以下となります。
- 垂木(たるき)
- 野地板(のじいた)
- ルーフィング(防水シート)
- 桟木(瓦桟木)
どんな屋根材でも強風雨では屋根材の中に雨水が浸入することがあります。
そのために、住宅の屋根では必ず雨漏り対策として、ルーフィングが使用されています。
屋根の構造を知っていると雨漏りを防ぐ重要な役割はルーフィングであることがわかります。
逆に雨漏りした場合、屋根材の表面の隙間をいくらコーキングしても雨漏りは止まらないので、屋根材をはがしてルーフィングを修理することが必須となります。
屋根からの雨漏りをコーキングや塗装で直す見積が提示されたら、あやしいと思って別の業者にも相見積をしてくださいね。
屋根・雨漏りに関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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