目次
雨樋のベストな取り付け位置は?
雨樋のベストな取り付け位置とは、軒樋全体で屋根からの雨水が軒樋に入って、かつ正しい水勾配をつけることができる場所となります。
雨樋の取り付け位置は、以下が望ましいです。
- 屋根からの雨水が入る高さの場所
- 正しい勾配をつけた場所
- 十分な勾配がある場所
屋根の軒先が長いと軒樋も長くなります。
長い雨樋で水勾配を取ると、水上と水下の位置が大きく変わってきます。
水下の位置が下がり過ぎると屋根からの雨水が入らなくなるので、屋根全体で正しい位置とできるようにすることが重要です。
雨樋の位置変更が必要なケースとは?
雨樋の取り付け位置で適切ではない場所を紹介します。
- 軒樋の勾配が中途半端(勾配が中途半端だと、十分に雨水が排水できない)
- 雨水が軒樋から出ている(雨水が漏れる可能性)
- 住宅の外観を損なう取り付け方(雨樋は住宅の目立たない部分に取り付けられるのが一般的)
- 排水機能が正常に働いていない(住宅の基礎部分に水分が入ることも)
雨樋は雨水のトラブルを回避するために重要な役割をはたすのですが、設計士や住まい手からデザイン的に嫌われるケースがあります。
デザインを優先するあまりに、雨樋の機能が低下する状態で取り付けてしまうと変更が必要となります。
雨樋の位置が適切でないとどうなるの?
雨樋の位置が適切でないと、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。
- 雨漏りしやすくなる
- 住宅の外観が損なわれる
雨樋の取付位置が適切でないと、雨漏りが発生しやすくなります。
雨樋からオーバーフローして、軒下や外壁、基礎へ雨水が流れてしまうからです。
軒下、外壁、サッシまわり、基礎などにひび割れや隙間、シーリングの劣化部などがあるとそこから住宅内への浸入リスクが高まります。
住宅の外観を雨樋が邪魔するリスクもあります。
デザイン性の高い表側の外壁に縦樋などが横切ってしまうと美観を損なってしまうからです。
雨樋は排水性能と建物のデザイン性が両立する位置に設置することが求められています。
雨樋の位置変更や修理にかかる費用の目安
雨樋の位置変更や修理にかかる費用の目安について紹介します。
雨樋のメンテナンス内容 | 概要・内容 | 費用 |
---|---|---|
雨樋の部分修理(一面部のみ) | 外壁の1面部分だけについている雨樋を、足場を設置して、交換する。 | 15~20万円 |
雨樋の全体交換 | 住宅の雨樋全体を交換する。足場全面に設置する。 | 25~60万円 |
※(足場代は含みません)
切妻屋根や片流れ屋根などは軒樋が外壁の1面ごとに設置してありますので、その部分のみを交換することができます。
一方、寄棟屋根のように軒樋が屋根全体につながっている場合は全体の交換となります。
雨樋の位置変更はつながっている軒樋・縦樋全体に影響を及ぼすため、面単位での交換とお考えください。
雨樋の取り換え費用は業者によって差があります。
雨樋の位置変更や修理で費用が高くなるケースとは
雨樋の位置変更や修理で費用が高くなるケースについて紹介します。
二階の雨樋修理では、足場代が追加されるため、費用が高くなります。
雨樋の全体交換には25〜60万円かかりますが、2階の場合、さらに足場代「約15~25万円」が追加されるとお考えください。
また、破風板などの雨樋を取り付ける建物側の修理が必要な場合は、その分の費用が追加となります。
雨樋修理の費用相場について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋修理は二階だと高くなる?費用相場や安くするコツも紹介します
雨樋の位置変更・修理で考慮したい【足場設置】の費用相場
雨樋の位置変更や修理で考慮したい足場設置の費用相場について紹介します。
足場設置に必要な費用の相場は、「足場設置に必要な費用 = 足場架面積 × ㎡単価」で計算します。
主な足場の種類ごとの㎡単価を紹介します。
足場の種類 | 費用目安 |
---|---|
クサビ(ビケ)足場 | 1,000~1,200円/㎡ |
パイプ(単管)足場 | 600~800円/㎡ |
単管ブラケット足場 | 800~1,000円/㎡ |
屋根足場 | 800~1,000円/㎡ |
参考事例として、簡単モデルでの計算方法を解説します。
足場架面積が180㎡の一戸建てにクサビ(ビケ)足場を設置する場合を計算してみます。
180㎡ × 1,000円/㎡ = 180,000円
建物全周を囲う足場架面積は、建物の外周の長さを求めることでわかります。(四角形の場合)
足場架面積 = (建物の外周 + 8m) × 建物の高さ で計算します。
雨樋の位置変更・修理で考慮したい【雨樋の種類】の費用相場
雨樋の位置変更や修理で考慮したい雨樋の種類の費用相場について紹介します。
雨樋は種類ごとに価格が違うため、選ぶ雨樋によって費用総額は大きくことなります。
雨樋の種類ごとの価格を以下に紹介します。
- 塩化ビニール樹脂:(丸型 2,000~3,000円/m)(角形 2,500~3,500円/m)
- ガルバリウム鋼板:(丸型 3,500~4,000円/m)(角形 4,500~5,000円/m)
- 銅製:(丸型 7,000~8,000円/m)(角形 9,000~10,000円/m)
塩化ビニール樹脂製では、滑らかで汚れにくく、樹脂であるため金属のように錆びることがありません。
軽量で施工性がよく、安価なため広く使用されています。
紫外線や熱に弱く、太陽光に長時間さらされることで少しずつ劣化が進みます。
ガルバリウム鋼板製では、鋼板製にもかかわらずメッキ層で保護され、錆びにくくなっています。
金属製の樋の中では安価となります。
水勾配が正しく取れていないと雨水が滞留するので、長期間では穴あきリスクとなります。
銅製では、社寺仏閣などの日本建築でよく使用されています。
表面が緑青に酸化することで皮膜を作り、防食機能が高くなります。
銅は柔らかい素材なので、経年で雨が流れ落ちる部分に穴が開くことがあります。
雨樋の種類ごとの価格について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨どいの値段が知りたい!部品の価格から修理費用までを徹底解説
費用を抑えたい!雨樋の位置変更・修理はDIYでも可能?
費用を抑えたい場合、雨樋の位置変更や修理はDIYできるのかについて紹介します。
雨樋の詰まりによるオーバーフローは、一階の屋根であれば比較的容易なDIYといえます。
雨樋にはしご・脚立をかけて、雨樋の詰まりを掃除します。
雨樋詰まりのリスクについて詳しく動画で説明しています。
一方で、古い雨樋を取り外し、新しい雨樋を取り付けることは難易度の高いDIYとなります。
軒樋を設置する場合は屋根に沿って横移動しなければならず、作業する足場が必要となります。
DIYとなると2個以上の脚立と足場板で作業スペースを確保することになります。
また、DIYには下記のリスクがあります。
- 高所作業による転落リスク
- 雨水がスムーズに流れなくなるリスク
- 現状よりも状態が悪くなるリスク
- 雨漏りリスク
DIYでは雨樋による排水機能がスムーズに発揮できない可能性が高いのでやめておきましょう。
雨樋のDIYについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋のDIYはどこまで可能?掃除や補修・付け方までを完全解説
費用を抑えたい!雨樋の位置変更・修理は火災保険でも可能?
費用を抑えたい場合、雨樋の位置変更や修理は火災保険を使えるのかについて紹介します。
雨樋の修理で火災保険が使えるのは、台風や強風の影響で雨樋が破損したり、大雪による落雪などで雨樋が変形・破損したりした場合です。
強風による被害を風災、雪による被害を雪災と呼んでいます。
風災や雪災が原因で雨樋が破損し、その影響で雨漏りした場合の被害についても修理代が保険金で支払われることがあります。
雨樋の位置変更や修理では、その原因によって火災保険で対応できるかが決まります。
経年劣化や施工ミスなどが原因の場合、必ずしも雨樋の修理に火災保険が使えるわけではありません。
原因にかかわらず火災保険で修理可能という業者にはだまされないようにしてください。
雨樋の位置変更や修理にかかる費用を安くするには?
雨樋の位置変更・修理費にかかる費用を安くするには、「相見積もり」することがあります。
雨樋の位置変更・修理にかかる費用を抑えるには、複数の業者へ見積書を依頼する「相見積もり」が必要です。
2、3社の業者とやり取りすることで、費用の比較だけでなく、現状の雨樋の問題点の指摘をしてもらえる可能性があります。
総合計の安価な業者を探すだけではなく、修理内容を比較して、コストパフォーマンスの高い業者を探しましょう。
見積書から業者の良し悪しを見分ける方法
見積書から業者の良し悪しを見分けるポイントを紹介します。
見積書では、以下のポイントを網羅している業者がおすすめです。
- 見積書が手書きではない
- 曖昧な表記がない
- しっかりと見積もり内容の説明がある
- 施工工程の説明がある
雨樋の修理は基本的には材料・手間に関して、見積書では長さで表現されています。
長さではなく、すべてが一式で表現されている場合は注意してください。
※小規模の修理では一式表記となりますので確認しましょう。
雨樋交換の見積書について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋交換の見積書の作成依頼時に気をつけたい3つの注意点を徹底解説
【まとめ】プロに相談して雨樋の位置変更を成功させよう!
雨樋の取付位置が悪いといくつかの不具合が発生するリスクとなります。
安価に雨樋の位置変更を行うためにDIY修理を行うことはオススメしません。
雨樋の位置は排水や雨漏り対策において非常に重要ですが、DIYをおこなうには多くのリスクが伴います。
知識と実績が豊富な専門業者に相談・依頼して適切な位置に雨樋を設置しましょう。
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