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ルーフィングの釘孔シール性はビス(ねじ)にも効果あるの?
みなさま。こんにちは。
屋根から人の笑顔を作りたい!!!
神清(かみせい)のDr.神谷です。
一般の方にはあまり知られていませんが、屋根の雨漏りを防ぐ重要な役割を担っているルーフィングというものがあります。
瓦や金属屋根など屋根材の下に使用されるため、屋根の脇役的存在なのですが、とても大事な防水材です。
ルーフィングには透湿系と非透湿系の大きく2種類があります。
詳しくは、こちらをご覧ください!
ルーフィングの必要性能・・・止水性?
ルーフィングの必要性能に釘孔シール性があります。
屋根材から浸入した雨水に対して、釘・タッカー針などでルーフィングに孔を開けた部分から室内へ雨漏りさせないように、釘孔を閉める性能。
ルーフィングの評価試験として、釘孔シール試験が定められています。
簡単に言うと、貫通釘10本中、2本以下の漏水であれば、合格というものです。
えー!?
2本は漏れてもいいの?と思われた方もいらっしゃるのでは?
ここもいろいろツッコミたい所ですが、今日はビス(ねじ)について、簡単に紹介します!
太陽光パネル設置はビス(ねじ)留め
住宅の屋根に太陽光パネルを設置する場合、パネルを固定する金具を屋根材を通して、住宅の本体(躯体)の野地板・垂木にビス(ねじ)で留め付けします。
屋根材に孔を開けて留め付けるため、雨漏りが心配ですよね!
屋根では一般的に、屋根材を1次防水、ルーフィングを2次防水として考えています。
つまり、強風雨時には、どんな屋根材でも多かれ少なかれ雨水がルーフィング上に浸入します。
防水性がいいとPRしている金属屋根材やルーガでも、ルーフィングなしで施工できる屋根材はありません。
そのため、重要になるのがルーフィングの止水性となります。
釘やタッカー針は本体に溝が少ないので、ルーフィングの釘孔シール性がある程度、期待できます。
しかし、ビス(ねじ)は本体にらせん形の溝が入っているため、溝に沿って水が流れやすく、ルーフィングでは止水しにくいと言われています。
そこで、検証実験を行ってみました。
太陽光取付ビスとルーフィングの止水性試験について
ルーフィングの止水性を重視している非透湿系ルーフィングで、検証実験を行いました。
(1)アスファルトルーフィング940 (既築・新築住宅でもっとも使われている)
①構造用合板12㎜・アスファルトルーフィング940に太陽光取付ビスをφ5×70㎜・10本留め付けました。
②そこを、30cm角で囲いました。
③厚さ5㎜の水膜となるように水を溜めました。(黒色に着色した)
(なぜ?5㎜の水膜か?というと、もっとも多く施工されているスレート屋根において、5㎜の水溜まりができやすいから)
結果、ルーフィングのビス孔から漏水して、30分間で水がなくなりました。
屋根材から雨水が浸入した場合、アスファルトルーフィング940では止水できないことがわかりました。
(2)改質アスファルトルーフィング (新築住宅で使われている)
同様の試験を改質アスファルトルーフィングで行いました。
結果、ルーフィングのビス孔から漏水して、30分間で水がなくなりました。
屋根材から雨水が浸入した場合、改質アスファルトルーフィングでは止水できないことがわかりました。
(3)粘着層付改質アスファルトルーフィング (高級品)
同様に試験を粘着層付改質アスファルトルーフィングで行いました。
結果、ルーフィングのビス孔から漏水して、120分間で水がなくなりました。
高級品とあって、(1)アスファルトルーフィング940や(2)改質アスファルトルーフィングと比べると4倍程度、止水性が上がりました。
しかし、2時間程度で漏れてしまうため、残念ながら安全とは言えませんね。
(4)粘着層付改質アスファルトルーフィング+シーリング内にビス留め
そこで、粘着層付改質アスファルトルーフィングの上に、シーリングの山をつくり、その中にビス留めをしてみました。
結果、ルーフィングのビス孔から漏水することなく、300分間経過しても大丈夫でした!
ビスのらせん形の溝とルーフィングとの間の隙間にシーリングが入り込み、漏水を防ぎました。
検証実験からわかったこと
検証実験より、太陽光パネル設置のビス留め時、ルーフィングだけでは防水性に問題があります。
屋根材に孔を開け、その孔からルーフィング上にシーリングする止水対策が必要です。
ほとんどのメーカーにおいて、太陽光パネル設置の施工マニュアルでは、ルーフィング上にシーリングを施すことになっています。
しかし、スレート屋根ではルーフィング上にシーリングが入りにくいという問題点があることも指摘されています。
また、ここでは詳しく述べませんが、シーリング剤の種類によっても、止水効果が異なることもわかりました。
ここまで、ルーフィングの止水性について検討しましたが、元来、防水材であるルーフィングに孔を開けながら、止水性を高めるという矛盾があること自体、違和感を感じます。
ルーフィングに孔を開けないホールレス工法や水が浸入しても排湿するという透湿ルーフィングなど、別の視点からの検討も必要だと感じました。
まとめ:ルーフィングの止水性はビス(ねじ)には効果がない!
太陽光取付には、ビス固定は必須となっています。
しかし、ルーフィングの止水性は当てになりません。
あまり、話題にはなりませんが、屋根材から浸入する雨水対策も含めて、高防水・高耐久の太陽光設置システムを選ぶことは、発電効率を検討するのと同様に重要だと言えます。
「入っても乾かず」という透湿ルーフィングは安全側の考え方だと思いますよ~!
専門用語もあり、わかりにくい所もあったかと思います。
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