目次
外壁修理の基本からご紹介
新築・木造の雨漏り事故物件での最新の調査では、外壁からの雨漏りが47%と約半数を占めています。
10年経過した劣化を伴う雨漏りを考えると、さらに、外壁からの雨漏り比率は増えると思います。
また、外壁からの雨漏り修理には、「純粋な雨漏り修理」と「塗装などの美観メンテナンス」の2つが絡むため、どのようにしたらいいか悩まれるお客様が多いようです。
基本的には、雨漏り修理と外壁塗装は別物とお考えください。
1例として、築13年の木造住宅で雨漏り事例を紹介します。
「雨漏り修理として、塗装業者から提案された高級な高耐久塗料で外壁塗装したのに雨漏りが止まらない。」と相談がありました。
下の写真は、3年前に外壁材のサイディングを高級な高耐久塗料で塗り直しした物件です。
塗料は無機骨材も入っていて、15年以上持つ高価で高耐久なものでした。
しかし、3年経過しても強風時の軒天からの雨漏りが直らないとのことでした。
塗装業者に相談しても、「原因がわからない。」と適当にシーリングをしては、「様子を見てください。」と帰ってしまう状態。
そこで、雨漏り調査のご依頼いただき、調べてみると軒天からの漏水を確認しました。
このような相談は本当によくあります。
残念ながら、このような業者の思考は、雨漏り修理がメインではなく、外壁塗装工事を受注することなのでご注意ください。
この記事では雨漏りの外壁修理の基本をご紹介していきます。
外壁塗装で雨漏りは直る?
「外壁塗装だけで雨漏りを直すことはできない」と認識しましょう。
外壁にあなやヒビ割れがある場合は、それらをふさぐ補修をしてから塗装することが必要です。
あなやヒビ割れの原因は様々で、コーキング材のヒビ割れ・はがれ、外壁材のヒビ割れ・欠損、配管などの貫通部の隙間などあります。
塗装だけではこれらのあなやヒビ割れはふさぐことはできず、雨漏りは直りません。
また、そもそも雨漏りの原因が外壁ではないこともあります。
外壁塗装はあくまでも雨漏りの予防
外壁塗装は外壁材を守るもので、あくまでも雨漏りの予防と考えておきましょう。
外壁材は水分を吸うとわずかに膨張し、乾燥すると収縮する体積の変動があります。
また、建物自体のわずかな振動を受けて、外壁材が動きます。
このような動きによって、外壁材自体にヒビ割れが発生したり、コーキング自体のヒビ割れが発生したりします。
外壁材とコーキングの間のはがれにもつながります。
外壁塗装は外壁材の吸水を軽減したり、コーキングの紫外線劣化を軽減したりするのに効果があり、予防という位置付けとなります。
外壁塗装のメリット
外壁塗装のメリットを紹介します。
- 美観がよくなる
- 遮熱・防水などの機能を付加できる
- 外壁の劣化を軽減することができる
外壁塗装するメリットは何と言っても「美観がよくなる」ことです。
建物自体が若返った印象となります。
外壁塗装の種類によっては、遮熱性能を付加する高級なものもありますが、実際にはエアコンの電気代を削減する効果はないのでオプション的な位置付けです。
先ほど説明したように外壁を保護するメリットもあります。
外壁塗装の費用相場
一般的なシリコン塗料を使用した外壁塗装の塗装代は2,500~3,500円/㎡程度です。
標準的な一戸建て住宅の外壁塗装の総額では100万円程度になります。
また、塗料の種類によっては高額なタイプもあり、塗装代も高額となります。
とくに、防水塗装と呼ばれる塗料の中で防水性能の高い塗料を使用した外壁塗装の塗装代は6,000~7,000円/㎡と倍近い費用となります。
外壁の防水塗装の総額はシリコン塗料と比べると2、3割高くなり、120~130万円程度です。
モルタル、ALCパネル、コンクリート外壁などでヒビ割れがひどい場合は、防水塗装を検討ください。
外壁の防水塗装の費用を抑えるために必要なことについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
外壁の防水塗装の費用は?費用を抑えるために必要な3つのことも紹介
外壁塗装で直らない雨漏りの原因
外壁からの雨漏りの要因は大まかにいうと2種類あります。
●築年数が浅い間の雨漏りは設計・施工不良の可能性が高い。
●築年数が約10年以上の雨漏りは防水材・材料の経年劣化の可能性がある。
まず、設計・施工不良が要因の場合、外壁塗装では直らないので根本的な要因を取り除く必要があります。
次に、経年劣化が要因の場合、次の2つ外壁防水構造を理解して原因を把握しましょう。
外壁の防水構造は最終止水ラインが2種類あります。
- 最終止水ラインが防水シート
- 最終止水ラインが外壁表面
最終止水ラインとは、ここが突破されると雨漏りが発生してしまう部分を指します。
最終止水ラインが防水シート
最終止水ラインが防水シートの場合、雨漏りの原因はこの防水シートの不具合となります。
防水シートにくぎあなが開いていたり、サッシ枠との間に隙間があったりする原因となります。
この防水構造となっている外壁は窯業系サイディング・金属サイディング・モルタル通気構法などとなります。
この雨漏り修理方法としては、外壁材をはがして防水シートを直すことです。
上の写真は、サイディングの室内側に設置される防水シートを施工した状態です。
サイディング等は、この防水シートの外側に、胴縁(どうぶち/木材の棒)・金物の空間を介して、設置されます。
サイディング等は、1次防水ラインとして、雨水の浸入をふせぎますが、サイディングから室内側へ雨水が入っても雨漏りとはなりません。
この防水シートが雨水の浸入を防ぎます。(最終止水ライン=防水シート)
つまり、この防水シートの施工がとても重要であり、サイディングの雨漏りはこの防水シートを直すことで止まります。
最終止水ラインが外壁表面
最終止水ラインが外壁表面の場合、雨漏りの原因はこの外壁の不具合となります。
外壁表面にあるヒビ割れ・欠損・コーキングの劣化等の隙間が原因です。
この防水構造となっている外壁は、モルタル直貼り外壁、ALCパネル、コンクリート外壁などとなります。
この雨漏り修理方法としては、外壁表面の隙間をふさぐことです。
モルタル外壁の中にも、防水シートは入っています。
しかし、モルタルをささえるためのラス網は、大量のホッチキスのような針で、防水シート越しに、下地へ留め付けられています。
防水シートは穴だらけとなっているため、止水を期待できません。
そのため、モルタル外壁の表面で、雨水の浸入を防ぐこととなり、ここが最終止水ラインです。
外壁表面のクラック・割れ・シーリングの劣化等を直すため、シーリングなどでクラック・割れをふさぐ補修を行います。
外壁からの雨漏り修理の費用相場
外壁からの雨漏り修理の費用の相場を以下の表に示します。
項目 | 修理内容 | 金額 | 単位 |
---|---|---|---|
外壁修理 | シーリング工事 | 950~1,200円 | /m |
外壁修理 | 塗装工事(シリコン) | 3,500~円 | /㎡ |
外壁修理 | 塗装工事(弾性塗料) | 5,500~円 | /㎡ |
外壁修理 | モルタル塗り替え | 12,000~円 | /㎡ |
外壁修理 | サイディング張替え | 14,000~円 | /㎡ |
外壁修理 | 金属サイディング(カバー工法) | 11,000~円 | /㎡ |
雨漏りの原因や既設の外壁の種類・状態によって、費用は変わってきますので、あくまでも目安とお考えください。
外壁からの雨漏り事例を紹介します。
サイディングからの雨漏り
窓回りとのシーリング劣化部からの浸入
上の写真は、2階窓のサイディングと窓回りの間のシーリング劣化部分に散水試験を行っている状態です。
このシーリング劣化部から雨水が浸入して、1階の窓上から雨漏りしていました。
サイディングの目地からの浸入
上の写真は、サイディングとサイディングの継ぎ目のシーリング目地が劣化して、隙間から雨水が浸入したところです。
上の写真は、サイディングのあいじゃくり(重なり)目地の隙間から雨水が浸入したところです。
ALCからの雨漏り
ALC外壁は建物の体力をになう鉄骨の動きによって、ALC外壁本体に力がかかり、ひび割れが入ることがあります。
ひび割れからALC外壁の目地へ伝わり、下の階の開口部や床から雨漏りすることがあります。
モルタル外壁からの雨漏り
モルタル外壁の直貼り仕様は、雨漏りがもっとも多い外壁と言えます。
経年で、外壁にひび割れが発生し、ホッチキスの針から防水シートを通過して、室内へ雨漏りとなります。
金属サイディングからの雨漏り
金属サイディングは、板と板の間の継ぎ目から雨水が浸入することがあります。
また、継ぎ目から入っても、下から排水できる構造が必要です。
外壁塗装で、排水できる隙間を塗料でふさいでしまうと、かえって、雨漏りするようになることもあります。
外壁の雨漏り修理事例を紹介します。
外壁の雨漏り修理事例をいくつか、ご紹介します。
サイディングの張替え
サイディングの雨漏り修理は、最初、サイディング表面の隙間をふさぐシーリング修理を行うことが多いです。
サイディング表面をふさいでも雨漏りが止まらまいときは、サイディングを解体して、その中の防水シートを補修して雨漏りを止める、サイディングの張替えを行います。
ほとんどが開口部の上からの雨漏りとなりますので、その開口部まわりの防水シートの施工が重要となります。
サッシのフィンへ両面防水テープをはり、防水シートを隙間なく、施工することがポイントとなります。
金属サイディングのカバー工法
サイディングからの雨漏りで、そのサイディングの表面に、金属サイディングをカバーする修理方法もあります。
築年数や浸入箇所になりそうな場所が多くある場合に、採用します。
古いサイディングの上に、下地胴縁を設置して、その上に金属サイディングでカバーします。
外観が大きく変わりますが、確実に雨漏りを止めることにつながります。
モルタル外壁やALC外壁でも行うことがあります。
弾性塗料での防水処理
ALC外壁のクラックからの雨漏りの場合、シーリングと弾性塗料で雨漏りを止める修理も行います。
ALC外壁にタイル張り仕上げで、大きなクラックが入っていました。
建物のデザインの関係もあり、シーリングと同色の弾性塗料で止水しました。
通常の塗料では、躯体の鉄骨の動きによって、再びクラックが入る可能性があります。
ひび割れの追従性が高い塗料が必須となります。
シーリング処理
窓回りから雨水が浸入している場合などは、シーリング処理を行います。
シーリングも正しい施工をしないと止水効果が低くなります。
外壁塗装だけでは、雨漏りは止まらないです。
外壁塗装だけでは、雨漏りは止まらないです。
外壁塗装は、あくまでも外観意匠のためのメンテナンスです。
足場を設置して雨漏り修理する場合に、併せて、外壁塗装のメンテナンスを行うことは、合理的です。
ここでお伝えしたいのは、雨漏りしている住宅・外壁の場合、雨漏りを止めるための修理工事を優先して、その次に塗装メンテナンスを検討されることをおススメします。
愛知県で、外壁からの雨漏りを検討している場合、弊社にお問合せください。
神清からのお願い
記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。
お客様の率直な感想をいただくため「役にたった」「役に立たなかった」ボタンを設置しました。
私たちは、日々屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えしたいと考えております。今後のご参考にさせて頂きますのでご協力よろしくお願いいたします。