大嘗祭 茅葺き存廃巡り議論
「なぜ大嘗宮(だいじょうきゅう)から茅葺(かやぶ)き屋根を無くすのか」。海外の参加者からも、いぶかる声があがった。
令和の時代が始まった五月の中旬、岐阜県の世界遺産・白川郷などを会場に国内初の「国際茅葺き会議」が開かれ、オランダなど七か国の茅葺き職人が集まった。
大嘗祭の千三百年の歴史で、大嘗宮から茅葺き屋根が姿を消すのは初めてとされる。
(参照:東京新聞 TOKYO WEB <代替わり考 大嘗祭>(下) 茅葺き存廃巡り議論)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201911/CK2019111402000121.html
(茅葺き屋根を残す平成の悠紀殿=平成大礼写真帖より)
令和では、屋根が茅葺き屋根から板葺き屋根へ変更されました。
1,300年間継続された伝統を予算や茅葺き屋根の職人不足を理由に、
昨年12月、変更が決定されました。
その後、日本茅葺き文化協会さんを中心に、自民党の茅葺き文化伝承議員連盟などが再考を申し入れたが、実現されませんでした。
「1,300年間引き継がれた屋根」をどう評価するのか?
さらに言うと、世界遺産になって、観光資源となっている白川郷を維持していくためにも、茅葺き屋根の職人不足を解消する方向へ役立つ機会だったのではないか?
私は、予算がかかっても茅葺き屋根としてもらいたかったと考えています。
他にも、東京で同じようなニュースがありました。
増上寺がクラウドファンディング 大殿の瓦ふき替え
老朽化による瓦の崩落やひび割れが見られることから、台風などの災害による被害を未然に防ぐためおよそ6万枚の土の瓦をチタン製にふき替えます。
この瓦は一枚およそ120グラムと軽量で、屋根の総重量がこれまでの10分の1の50トンとなるため地震にも強くなるということです。
(参照:WBS(ワールドビジネスサテライト) 増上寺がクラウドファンディング 大殿の瓦ふき替え)
https://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/news/post_190311
(ワールドビジネスサテライトより)
増上寺は、東京都港区芝公園にある浄土宗の仏教寺院です。
創建年は、1393年ととても古く、徳川家の菩提寺にもなっています。
大殿は昭和49年に再建されました。
その屋根の改修を、瓦葺きから金属屋根(チタン製)に変更するようです。
こんなに立派な瓦屋根を金属屋根に変更するのは、残念に思います。
チタン製の50年後は、どのようになるのでしょうか?
変化がなければ、建物の経年美に合わず、浮いてしまうのではないでしょうか?
東京を代表する観光資源の瓦屋根を維持してもらいたいものです。
新しい瓦で現在の施工方法を行えば、地震・台風にも問題なく耐えることができます!
瓦よりもはるかに高額なチタン製の金属屋根が採用されるとは・・・
茅葺き屋根ではないですが、瓦職人を確保することも、将来の観光資源を維持することにつながると思います。
最後に、沖縄です。
首里城再建を阻む赤瓦職人の高齢化 育成には3~5年が必要
首里城といえば、あの独特の赤い瓦が印象的である。前回の復元では、沖縄屈指の赤瓦職人と言われた奥原崇典氏が中心となり、正殿の5万5000枚分を含む、計22万枚の赤瓦を焼いた。だが、その奥原氏は5年前に亡くなっており、赤瓦の確保も容易ではない。
かつての復元に携わった人は、すでに現場を離れて80代になっています。
きちんと施工できる職人になるには、3年から5年は必要と言われていますので、首里城のように規模が大きく、技術的にも高いものが求められる現場で通用するような職人を確保するのは大変です。
(参照:NEWSポストセブン 首里城再建を阻む赤瓦職人の高齢化 育成には3~5年が必要)
https://www.news-postseven.com/archives/20191116_1484781.html
一方で、沖縄の首里城の話は異なります。
再建には、赤瓦ありきとなっています。
以前の再建では、22万枚の赤瓦を焼いたそうです。
また、瓦職人も高齢化が進み、職人不足になっています。
育成するには、3~5年が必要と考えています。
それでも、おそらく、赤色の金属屋根にはならないと思います。
伝統・文化は、当たり前ですが、短期間にはできません。
しかし、それを途絶えさせることは、一瞬の判断で可能です。
日本の伝統・文化は、大切な観光資源となっています。
その多くの建物は、瓦屋根となっています。
つまり、瓦文化・瓦職人を維持していくことは、観光資源を守ることになります。
今後も維持できるような配慮が必要だと思います。
少なくとも、現在の瓦・現在の工法であれば、地震・台風などの災害で被害を受けることはありません。
文化財の瓦屋根の葺き替えが瓦で行われるように、正しい瓦の情報を発信していき、伝統を守ってもらえるように努力していきます。
屋根に関して、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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