屋根瓦の特徴や種類とは?創業150年の屋根屋がすべてを解説

Dr.神谷
Dr.神谷
  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!神清(かみせい)のDr.神谷です。

    弊社は、半田市にある創業150年老舗三州瓦の生産・販売・工事を行っている会社です。
    年間200棟以上の雨漏り調査・修理を行っています。
    建築業界誌「日経アーキテクチュア」の連載記事「新次元!雨漏り対策」を執筆しています。

本記事はこんな人にお勧めします。

  • 屋根瓦の特徴や種類を知りたい
  • 屋根瓦のメリットやデメリットが知りたい
  • 屋根瓦の寿命やメンテナンスについて知りたい

この記事で伝えたいこと

この記事は、「屋根瓦の特徴や種類を知りたい」「屋根瓦のメリットやデメリットが知りたい」という方に向けて書かれています。

瓦は古く愛される屋根材のひとつです。

しかし、瓦といっても、様々な種類があります。

本記事では、創業150年の屋根屋が屋根瓦の特徴や種類を詳しく解説していきます。この記事を読めば、瓦についてかなり詳しくなれますので、ぜひ参考にしてくださいね。

 

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屋根瓦の特徴

屋根瓦とは、屋根に使う瓦のことです。

屋根瓦の種類には、粘土系、セメント系、コンクリート系の素材の屋根材があります。

※瓦は粘土を一定の形に成形し、窯で焼いた屋根の仕上げ材のことを言います。つまり、瓦=粘土系となります。しかし、屋根瓦と使う場合は、もう少し広い意味(瓦≒屋根材)となり、瓦(粘土系)以外のセメン系、コンクリート系も含むとします。

 

また、瓦(粘土系)の中には、和瓦と洋瓦で区別することがあります。

和瓦は昔ながらの日本家屋でよく使われている波のある形状の瓦のことです。

洋瓦はもともとヨーロッパの住宅で使われている平な形状の瓦や山の大きな形状の瓦のことを言います。

上写真は平な形状の瓦です。

上写真は山の大きな形状の瓦です。

 

屋根瓦の種類

屋根瓦の主な3つの種類を紹介します。

  1. 粘土瓦
  2. セメント瓦
  3. コンクリート瓦(モニエル瓦)

 

それぞれについて簡単に解説します。

①粘土瓦

粘土瓦とは、粘土を成形して約1,000℃以上の高温で焼いた屋根材で、「耐久性が高い」という特徴があります。

粘土瓦には着色する方法によって、大きく3つ種類(「いぶし瓦」、「釉薬瓦(ゆうやくかわら)」、「無釉瓦(むゆうかわら)」)に分類されます。

どの種類の瓦も着色が塗料ではないため経年による劣化はなく、塗装メンテナンスを行う必要がありません。

粘土瓦の新築時の費用としては、9,000~12,000円/㎡です。

 

②セメント瓦

セメント瓦とは、セメントに水を混ぜたセメントモルタルを主原料とし、型枠に入れ、プレス、脱水、成形したものに塗装した屋根材です。

コストが安く、昔は使用されていたのですが、現在ではほとんど使用されていません。

塗装品で経年劣化するため、定期的な塗装メンテナンスが必要です。

セメント瓦の新築時の費用としては、8,000円/㎡です。

 

③コンクリート瓦(モニエル瓦)

コンクリート瓦とは、セメント1に対してに砂利3~4を混ぜて、水分も少ない状態でロール押し出し・パレットで乾燥させたものに塗装した屋根材です。

コストが安く、約30年ぐらい前はよく使用されていたのですが、モニエルは外資系企業であり、日本から撤退してしまったので現在は廃盤品となっています。

在庫もなく、メンテナンスに支障をきたしています。

モニエル瓦の新築時の費用としては、8,000円/㎡だったようです。

 

粘土瓦の種類

粘土瓦の3つの種類(「いぶし瓦」「釉薬瓦(陶器瓦)」、「無釉瓦(素焼瓦)」)について簡単に紹介します。

いぶし瓦

いぶし瓦とは、瓦を焼いている最終工程で、燻す(いぶす/酸素がない状態で炭素膜をつける)ことで、瓦全体に銀色の炭素膜で覆い着色したものです。

瓦表面の炭素膜は新築時は銀色の艶があり、経年ではムラとなりますが、それを経年美として評価されています。

主に、社寺仏閣、日本家屋で使われており、築100年以上のいぶし瓦が数多く使用され続けています。

釉薬瓦

釉薬瓦とは、釉薬をかけて焼くことで瓦の表面を着色したものです。(陶器瓦と呼ぶこともあります。)

釉薬の種類を変えることで、皿や茶碗と同じようにさまざまな色の瓦を造ることができます。

塗料とは違い、耐久性が高いので数十年経過しても変化がほとんどありません。

洋風な建物から日本家屋まで使用されています。

無釉瓦

無釉瓦とは、釉薬をかけずに焼くことで粘土を焼いた色となるものです。

素焼瓦(すやきかわら)は粘土を焼いた素の状態の瓦です。

窯変瓦(ようへんかわら)は焼成するときに、酸化炎、還元炎の窯の雰囲気で焼くことで、粘土の色合いを変化させた瓦のことです。

南欧の屋根のイメージで洋風の建物で多く使用されています。

 

瓦屋根のメリット

瓦屋根のメリットについて紹介します。

  • 経済性に優れている
  • 耐久性が高い・寿命が長い
  • メンテナンス費用が安い
  • 部分的な交換が可能
  • デザイン性が高い
  • 遮音性が高い
  • 防水性が高い
  • 断熱性が高い

 

瓦屋根のメリットは何と言っても経済性に優れていることです。

瓦の耐久性が高く、瓦屋根としても寿命が長いので、メンテナンス費用がかなり安価となります。

30年以上使用する建物であれば、初期費用を含めてもトータルの屋根にかかる費用はもっとも安価となり、それ以降、さらに経済性が増していきます。

また、自然災害などの被害を受けても部分交換が可能なので、費用を抑えることができます。

デザイン性が高く、遮音性に優れていることも大きなメリットです。

 

瓦屋根のデメリット

瓦屋根のデメリットについても紹介しておきます。

  • 屋根材としては重たい
  • 落下してしまう瓦がある
  • 初期費用がやや高い

 

瓦屋根のデメリットは他の屋根材と比較すると重いことです。

新築では瓦の重量に併せて、建物の耐震設計をするので問題はありません。

しかし、リフォームでは軽い屋根材の葺き替えに瓦を使用することはオススメできません。

また、新築では瓦をしっかり留め付けているため問題はありませんが、古い瓦屋根は旧工法で瓦を留め付けているため、自然災害で落下してしまうことがあります。

 

修理が必要な瓦屋根の状態

修理が必要な瓦屋根の状態を紹介します。

  • 瓦の割れやズレ
  • 漆喰(しっくい)の剥がれ
  • 棟のズレや破損
  • 防水シートの劣化
  • 瓦自体の劣化
  • 古い工法の瓦屋根

 

以下で簡単に解説します。

瓦の割れ

瓦の割れは飛来物による破損や歩行による踏み割れなどがあります。

瓦の割れはそこから防水シート上に雨水浸入してしまうので、すぐには雨漏りしないですが、放置せずに交換しましょう。

 

漆喰のはがれ

漆喰のはがれは20年以上経過すると発生します。

すぐには雨漏りしませんが、放置せずに棟全体のメンテナンスを検討しましょう。

漆喰をメンテナンスする場合は重ね塗りはNGなので、必ず塗り直しを依頼してください。

 

棟のズレ

棟瓦のズレは放置すると雨漏りの要因となります。

脱落する可能性もあるので、発見したら早めに応急処置しておきましょう。

 

防水シートの劣化

防水シートの劣化は雨漏りに直結しています。

雨漏りして初めて防水シートの劣化を発見することがほとんどです。

瓦屋根は部分補修可能なので、部分補修or全体の葺き替えで検討してみましょう。

 

瓦自体の劣化

古い瓦の中には焼いた温度が低く、寒い地域では凍害による劣化が発生する場合があります。

表面はく離程度では雨漏りしませんが、進行すると雨漏りの要因となります。

瓦は1枚から交換できますので、枚数が少ない場合はその瓦を交換してください。

 

古い工法の瓦屋根

築20年以上の日本瓦棟部は旧工法となっており、瓦の留め付けが不十分となっています。

巨大地震で棟部が倒壊する可能性があるので、現在の仕様で葺き直ししてください。

地域によっては、補助金の対象となっていますので、各自治体にお問い合わせください。

 

屋根修理が必要な瓦屋根の状態について詳しくはこちらの記事で解説しています。

屋根修理が必要な瓦屋根の6つの状態とは?補修方法や費用目安も紹介

 

瓦屋根のメンテナンス費用

瓦屋根のメンテナンス費用(部分修理)の内容・費用相場を紹介します。

修理内容約100㎡の建物の費用相場
破損した瓦の差し替え2.5~万円
※例5枚の場合、5万円程度です。
棟板金の取替え5~15万円
※棟板金の形状や長さによって異なります。
雪止設置10~30万円
※隣の家や車に被害が出る場所に増設します。
しっくいの塗り替え6~20万円


雨樋修理5~10万円
※破損した部分の交換です。
瓦棟部の葺き替え25~50万円
雨漏り修理10~50万円
※雨漏りしている場所の部分のみの補修です。

※上記に足場費用は含まれていません。

部分修理とは、瓦屋根の雨漏りなどの不具合に対して、その原因箇所周辺のみをめくって、屋根下地を直して復旧することです。

瓦屋根は他の屋根材と違って、部分修理が容易な構造となっています。

また、既存瓦と新しい瓦の互換性が高いことも部分修理を可能とさせています。

瓦屋根の雨漏りなどは費用が安価となるため、部分修理する場合がほとんどです。

不具合があったときに、すぐに部分修理を行うことで瓦屋根を長持ちさせることができます。

瓦屋根の大規模な修理やリフォームについて、次の章で詳しく解説します。

 

瓦屋根の寿命とリフォーム費用

瓦屋根の寿命は60年以上と言われています。(日本建築学会JASS12屋根工事)

上記でも紹介しましたが、雨漏りしても部分修理が可能だからです。

瓦自体は焼き物のため、100年以上経過した瓦も数多くあります。

瓦屋根としては、築20年以内の場合は60~80年程度が寿命とお考えください。

築20年以上経過した旧工法の屋根は留め付けが不十分のため、一度、点検・メンテナンスをお考えください。

瓦屋根のメンテナンスとしては、葺き替えor葺き直しであり、カバー工法や塗装はNGです。

瓦屋根を葺き替えする費用の目安は以下となります。

葺き替えパターン費用(円)単位
日本瓦⇒日本瓦17,000~/㎡
日本瓦⇒F形瓦16,000~/㎡
日本瓦⇒スレート屋根14,000~/㎡
日本瓦⇒ガルバリウム鋼板屋根16,000~/㎡
日本瓦⇒ルーガ(軽量セメント屋根材)19,000~/㎡

瓦屋根を葺き直しする費用の目安は以下となります。

葺き直しパターン費用(円)単位
日本瓦⇒日本瓦16,000~/㎡
日本瓦棟部(のし瓦積み)25,000~/m

屋根全面メンテナンスするときは、瓦屋根の葺き替えをオススメします。

瓦自体の性能がここ20年ぐらいで大きく向上しているからです。

 

瓦屋根のメンテナンスについて詳しくはこちらの記事で解説しています。

瓦屋根の4つのメンテナンスとは?費用目安や注意点も徹底解説

 

瓦屋根はどんな人にオススメ?

瓦屋根はどんな人にオススメなのでしょうか?

ズバリ、「屋根にお金を掛けたくない人」にオススメです!

瓦屋根は耐久性が高いため、他の屋根材と比較するとメンテナンス費用が安くなります。

ピンとこない人は下記にあてはまるかどうかお考えください。

  • 新築時~メンテナンスまで含めたトータル費用を安価としたい
  • 新築後からの将来の費用を抑えたい
  • 住宅ローンが残っている状態で、屋根のメンテナンス費用を出したくない

 

あてはまる方は瓦屋根がオススメです。

 

【まとめ】メンテナンス費用を抑えたいなら瓦屋根

屋根瓦の種類には、粘土系、セメント系、コンクリート系の素材の屋根材があります。

その中で、粘土系の屋根材を使用した屋根だけを瓦屋根とお考えください。

瓦屋根のメリットは何と言っても経済性に優れていることです。

瓦の耐久性が高く、瓦屋根としても寿命が長いので、メンテナンス費用がかなり安価となります。

ズバリ、瓦屋根をオススメの方は以下があてはまる方です。

  • 新築時~メンテナンスまで含めたトータル費用を安価としたい
  • 新築後からの将来の費用を抑えたい
  • 住宅ローンが残っている状態で、屋根のメンテナンス費用を出したくない

 

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