目次
雨漏りが起こるメカニズム
住宅などの建物は「一次防水」と呼ばれる雨水を浸入させない部材と「二次防水」と呼ばれる部材から雨水が浸入したときに排水する仕組みで、雨漏りが起こらないような構造となっています。
屋根の構造としては、垂木(たるき)と呼ばれる屋根の骨の上に、野地板(のじいた)と呼ばれる屋根の下地があります。
その上に、防水シート(二次防水)が全面に設置されます。
最後に屋根材(一次防水)が施工されて、屋根ができています。
外壁の構造としては、柱・間柱と呼ばれる建物の骨組みに、構造用面材と呼ばれる外壁の下地があります。
その外側に、防水シート(二次防水)が全面に設置されます。
最後に外壁材(一次防水)が施工されて、外壁ができています。
雨漏りが起こるメカニズムとしては、風雨によって屋根材・外壁材(一次防水)の隙間から浸入した雨水が防水シート(二次防水)の表面を流れる間に釘穴や開口部まわりなどの隙間から防水シート(二次防水)の室内側へ浸入することです。
防水シート(二次防水)を突破されて室内へ雨水浸入することで雨漏りとなります。
屋根の構造について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨漏りが起こる主な原因
「一次防水」と「二次防水」がセットで機能している間は、雨漏りは起こりません。
究極、「二次防水」が突破されなければ、雨漏りは起きないのですが、「一次防水」に不具合があると「二次防水」で処理する水量が増加し負担が大きくなります。
そのため、「一次防水」「二次防水」のどちらかに問題が発生すると雨漏りが起こってしまうとお考えください。
雨漏りの主な原因について紹介します。
- 強風・台風・積雪
- 屋根の経年劣化
- 外壁材のヒビ割れ・変形
- シーリング材の劣化
- 塗装の劣化
- 雨樋の詰まり
- 設計ミス
- 施工不良
雨漏りの主な原因と言っても、上記のように多岐にわたるため、雨漏りを直すことはむずかしいと言われています。
雨漏り事故対策に必要な5つのこと
雨漏り事故対策に必要な5つのことを紹介します。
- 定期点検
- 早期補修
- 防水対策
- 雨樋の清掃
- 換気
次の章から詳しく解説していきます。
【雨漏り事故対策】①定期点検
雨漏りの事故対策には、定期点検が重要です。
屋根材・外壁材(一次防水)や雨樋などを定期的に点検し、劣化や破損がないか確認することで、雨漏り事故を防ぐ対策になります。
梅雨前の降雨時、台風が通過した後など、毎年1度以上は屋根・外壁・雨樋を地面から観察して写真などを撮影しておきましょう。
雨樋なら降雨時に観察して、水漏れやオーバーフローがないか点検してください。
台風後は屋根・外壁・雨樋に破損・変形がないかを気にしてください。
写真を撮影しておくと何か被害があったとき、ビフォーの写真として示すことができます。
ドローンを使った点検について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根の5年定期点検 ドローンで実施しました! どこまで見えるかな~?
【雨漏り事故対策】②早期補修
雨漏りの事故対策には、早期補修が重要です。
屋根・外壁・雨樋などの小さなヒビ割れや変形など、軽微なものでも放置しておくと将来的に雨漏りの原因となることがあります。
早期に補修することで、被害の拡大を防ぐことができます。
また、費用についても早期に補修する方が安価となりますので、もったいないと考えて放置することはやめておきましょう。
DIYでの雨漏り補修について詳しくはこちらの記事で解説しています。
【雨漏り事故対策】③防水対策
雨漏りの事故対策には、防水対策が重要です。
外壁であれば、シーリングの劣化部分から二次防水へ浸入してしまいますので、防水対策として、シーリングのメンテナンスは雨漏りを防止することにつながります。
また、バルコニーや屋上の防水層は一次防水・二次防水の考え方ではなく、表面の防水層が突破されると雨漏りになります。
防水層ははがれ・穴開きする前に防水メンテナンスを実施してください。
ただし、屋根・外壁の塗装自体は防水対策ではありません。
あくまでも美観を向上させるために塗装するとお考えください。
そのため、すでに雨漏りしている場合は、塗装しても雨漏りは直らないので、塗装ではなく、雨漏り原因を特定して、雨漏り修理を行いましょう。
外壁塗装や防水工事の費用について詳しくはこちらの記事で解説しています。
外壁塗装や防水工事の費用は?相場を知って適正金額で契約しよう
【雨漏り事故対策】④雨樋の清掃
雨漏りの事故対策には、雨樋の清掃が重要です。
雨樋が詰まっていると、敷地がプールのようになり、家屋の湿度の上昇によるシロアリの発生するリスクとなります。
雨樋のオーバーフロー部分から下屋根や外壁に大量に雨水がかかる状態となります。
下屋根の雨漏り、外壁からの雨漏りにつながってしまうので、雨樋の掃除を行うことで雨漏りリスクを軽減できます。
雨樋詰まりの正しい掃除方法について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根屋が教える!雨樋詰まりの正しい掃除方法と必要な道具。対策方法も伝授します!
【雨漏り事故対策】⑤換気
雨漏りの事故対策には、換気が重要です。
屋根・壁に湿気がこもらないようにすることで建物の木を健全に保つことができます。
湿気はカビや結露による木材の腐朽の原因となり、放置すると木材の腐朽箇所から雨漏りを誘発する可能性があります。
屋根裏に自然換気装置を適切に設置し、普段から湿度が貯まらないようにして、結露防止をするべきです。
屋根の中には、屋根からの雨水浸入、室内からの湿気(生活して発生するもの)、建設当初の木材が含水している水分などがどうしても存在するため、屋根の換気や壁の通気・排気孔が重要です。
雨漏りで生じる重大な悪影響
雨漏りで生じる5つの重大な悪影響について紹介します。
- 構造体の劣化
- 資産価値の低下
- 家具や家電などの被害
- 健康被害
- 火災の発生
①構造体の劣化
雨漏りで一番多い被害が、建物の木材が腐ってしまうことです。
雨水は屋根、壁などの外部から浸入し、雨水で木材が濡れ続けると木材を腐らせる菌が繁殖します。(目安としては、3週間程度濡れ続けると腐朽菌が繁殖)
建物の構造体に関わる木材(柱、はり、土台など)まで腐らせ、建物が倒壊したり、天井が落ちたりするリスクがあります。
木材だけではなく金属・鉄に関しても同様で、くぎ、ネジ、金物や基礎の鉄筋がサビることで建物の強度が低下します。
また、鉄筋コンクリートは、内部の鉄筋がサビて膨張することでコンクリートがバクレツして強度が下がることがあります。
最も危険なのは、シロアリが湿った木材を好むため、雨漏りで木材が湿るとシロアリが侵入し、床下の土台や柱などを食い散らかして、穴が空いてスカスカにしてしまいます。
これらは、構造体を劣化させ、建物の強度を低下させる悪影響となります。
②資産価値の低下
雨漏りは、建物の安全性や耐震性に問題を生じさせるため、建物の資産価値が著しく低下するリスクがあります。
とくに、①で説明したように構造体が劣化していると耐震性が低い建物と見なされ、最悪の場合、建物の資産価値はゼロとなります。
新築数年であっても、雨漏り被害によって大幅に値下がりします。
住宅を売却する場合は、雨漏りがあると、雨漏りの補修費用に加えて、被害部分を改修費用分の金額が値引きされてしまいます。
③家具や家電などの被害
室内に雨漏りとして水滴落下するときには、家具や家電にまで被害が発生します。
雨漏りは、押し入れやタンスの中の衣類にカビや害虫が発生したり、パソコン、ゲーム機、家電などの損害や故障の原因となることがあります。
大切な家具や着物、思い出の品が被害を受けないように、雨漏りは天井に染みを発見した時点で、早期に補修することをオススメします。
④健康被害
雨漏りをしばらくそのままにしておくと、健康被害の要因となるカビ、ダニ、ネズミなどが繫殖するリスクが高まります。
雨漏りは建物内部を高湿にさせるため、カビが繁殖しやすい環境を作り出します。
カビは湿度70%以上で繁殖することがわかっています。
ダニは湿度65~75%、温度25℃で繁殖します。
ドブネズミは濡れたところを好みます。
カビ・ダニはアレルギー・アトピーなどを引き起こしますし、ドブネズミはふんにより、不衛生な環境を作り出します。
⑤火災の発生
雨漏りによって水漏れが起こると、漏電や火災の原因となることがあります。
雨水が分電盤などに入る配線を伝わって、ブレーカーや電気コードに触れると漏電のリスクがあります。
最悪の場合は火災につながるケースも報告されています。
雨が降ると停電してしまう、電気代がいきなり高くなったなどの症状は、漏電している可能性があるため電気専門業者に点検を早めに依頼されることをオススメします。
雨漏りで生じる重大な悪影響について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨漏りで生じる5つの重大な悪影響とは?屋根屋が赤裸々に解説します
【まとめ】雨漏り対策は事故が起きる前に対策を
雨漏りのメカニズム・雨漏りの主な原因について紹介しました。
雨漏りの原因は様々ですが、雨漏り対策として5つの予防策を紹介しています。
どれも放置せずに気になったらすぐに実行することが重要です。
雨漏り対策して雨漏りを未然に防ぐことがベストですが、雨漏りしたらすぐに補修することでも十分ベターです。
雨漏りを放置してから直すよりもすぐに直した方が費用も安価となりますのでオススメします。
雨漏りに関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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