知っておきたい!5つの屋根材の特徴と施工方法を屋根屋が解説

Dr.神谷
Dr.神谷
  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!神清(かみせい)のDr.神谷です。

    弊社は、高浜市・半田市にある創業150年老舗三州瓦の生産・販売・工事を行っている会社です。
    年間200棟以上の屋根・雨漏り調査・修理を行っています。
    建築業界誌「日経ホームビルダー/日経アーキテクチュア」の連載記事「新次元!雨漏り対策」を執筆しています。

本記事はこんな人にお勧めします。

屋根材の特徴や施工方法を知りたい

屋根材ごとの施工方法を知りたい

リフォーム時の屋根の施工方法を知りたい

カバー工法の施工方法を知りたい

この記事で伝えたいこと

この記事は「屋根材の特徴や施工方法を知りたい」「リフォーム時の屋根の施工方法を知りたい」という方に向けて解説しています。

屋根を新しく施工するときやリフォームするときに、専門の業者さんに任せきりにするのではなく、自分で屋根材の特徴や施工方法をある程度知っておきたいですよね?

そこで本記事は、代表的な5つの屋根材のと特徴と施工方法を解説します。創業150年の屋根屋が実際に施工しているときの写真などを掲載しながら、わかりやすく解説していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。

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知っておきたい!5つの屋根の特徴と施工方法

戸建て住宅に施工される代表的な屋根材を5つご紹介します。

  1. 粘土瓦屋根
  2. セメント瓦屋根
  3. スレート屋根
  4. ガルバリウム鋼板屋根
  5. アスファルトシングル屋根

これらで90%以上は占めています。

次の章からそれぞれの特徴と施工方法を解説していきますね。

粘土瓦屋根の特徴と施工方法

既存住宅まで入れますと、日本の屋根の半分を占めている瓦屋根です。

瓦自体の耐久性は高く、住宅でも100年を超える粘土瓦屋根は健在です。

また、表面塗装商品ではないので塗装メンテナンスの必要がなく、家計にやさしい屋根材なのでオススメです。

粘土瓦屋根の特徴

粘土瓦屋根のメリット・デメリットを表にまとめました。

メリットデメリット
・60年以上の長い耐久性
・部分補修が可能でメンテナンス性が高い
・メンテナンス費用が少ない
・雨音がしない

・初期費用が高い
・屋根材の重量は重い

粘土瓦のメリットは何と言っても高い耐久性です。

お茶碗や食器と同じ焼き物ですので、色あせることもなく塗装する必要がありません。

また、メンテナンス性が高いため、部分的に修理が可能です。

そのため、30年以上のスパンを考えた長期住宅では、もっとも安価な屋根材となります。

デメリットは、新築時の初期費用が高いことと、屋根材の中では重たいので、それに合わせるために建物の強度が少しアップします。

粘土瓦屋根の施工方法

粘土瓦の現在の施工方法は引掛け桟工法となっています。

野地板の上にルーフィング(防水シート)、ルーフテープ(水抜きのため)、瓦桟木を設置して、瓦の下地とします。

引掛け桟工法とは、瓦の水上側にある剣(けん)を瓦桟木に引掛けて葺(ふ)く工法のことです。

昔は土葺き(どぶき)工法で、瓦の下に葺き土が入っていたのですが、引掛け桟工法となり、大幅に軽量化となっています。

重要なポイントは2つあります。

  1. 全部の瓦をくぎ・ネジなどで留め付けること
  2. 瓦は防災瓦であること(耐風性能が高い)

この2つのポイントを守ることで、巨大台風・巨大地震に耐える瓦屋根となります。

セメント瓦屋根の特徴と施工方法

セメント瓦は世界的に見ると、高度経済成長期には使用される屋根材ですが、住宅の着工数が落ちてくると、耐久性のある粘土瓦に置き換わる傾向があります。

日本も同様で、現在の新築ではセメント瓦は施工されていません。(大手製造会社は撤退しました。)

セメント瓦を検討される方は、粘土瓦に変更されることをオススメします。

セメント瓦屋根の特徴

メリットデメリット
・表面が塗装されているので、デザインが豊富
・重厚感がある
・比較的重い
・塗装のメンテナンスが必要
・生産者が撤退して在庫がない

セメント瓦はほとんど撤退しているので、メンテナンスのタイミングで葺き替えをオススメしています。

数枚破損してしまった場合は、商品によっては差し替え用を用意していますので、ご連絡ください。

セメント瓦屋根の施工方法

セメント瓦の施工方法は、粘土瓦とほとんど同じです。

10年を過ぎると上の写真のように退色やコケが表面に生えて汚れます。

違いとしては防災瓦がないので、巨大台風には弱く、オススメできません。

 

スレート屋根の特徴と施工方法

スレート屋根材は5~6mm程度と薄く、セメントと繊維素材を混ぜて板状に加工したものです。

表面が塗装品のため、デザインが豊富でリーズナブルな価格のため、どうしても初期費用を抑えたい人にオススメの屋根材です。

スレート屋根の特徴

メリットデメリット
・初期費用が安い
・粘土瓦と比較して軽い
・デザインが豊富
・塗装メンテナンスが定期的に必要
・ヒビ割れしやすい
・コケが生えやすい
・金属屋根に比べて重い

スレート屋根は、単品の商品としてはもっとも多く使われている屋根材です。

その理由としては、初期費用が安価だということです。

しかし、その後、塗装メンテナンスが入ってくるので、30年以上のライフサイクルコストを考えると逆に粘土瓦よりも高い商品となります。

踏み割れによるヒビ割れ、屋根材のはく離などいろいろと問題のある商品でもあります。

屋根材をお客様が指定しないとスレート屋根になるハウスメーカー・ビルダーが多いです。

スレート屋根の施工方法

スレート屋根の施工は1枚にくぎを4本打ちます。

ルーフィングの上に直貼り(じかばり)でくぎを打ち付けていきます。

5mm程度の薄いスレートは強度不足を野地板でおぎなっています。

想定以上に野地板がたわむと踏み割れが発生してしまいます。

 

ガルバリウム鋼板屋根の特徴と施工方法

ガルバリウム鋼板は、アルミと亜鉛のメッキ層で鉄板を守っていて、昔のカラー鉄板(亜鉛メッキ層だけ)のときよりも赤さびの耐久性が高くなっています。

もっとも軽い屋根材であるため、最近は大変人気でよく見かけます。

ガルバリウム鋼板も表面は塗装されているため、変色等は経年で発生する屋根材です。

ガルバリウム鋼板屋根の特徴

メリットデメリット
・もっとも軽い
・緩勾配でも施工できる
・錆びにくい
・加工しやすい
・雨音がうるさい
・塩害に弱い
・塗装は変色する
・メンテナンス費用はかかる

ガルバリウム鋼板も塗装品のため、塗装メンテナンスが必要となります。

軽さと緩勾配(かんこうばい)は他の屋根材では、対抗できません。

部分修理ができないため、メンテナンスは大掛かりになります。

ガルバリウム鋼板は曲げ加工すると、保証から外れるので屋根としては、材料保証がない状態となります。

沿岸部の塩害地域(海岸線から2kmが目安)は注意が必要です。

<h3>ガルバリウム鋼板屋根の施工方法

ガルバリウム鋼板の立平葺き(たてひらぶき)を多く見かけます。

屋根の長さに併せた1枚もので現場へ搬入され、それをはめ込み、留め付けていく作業となります。

留め付けてしまうと後から、留め付け状態を確認することはできません。

また、屋根材が連結しているので、野地などが劣化して巨大台風などで飛散するときは、大きな固まりとして飛散します。

しっかりと施工する業者を選びましょう。

 

アスファルトシングル屋根の特徴と施工方法

北米でのシェアが高く、100年以上前から使用される定番の屋根材で、洋風デザインの戸建てやマンションにオススメの屋根材です。

昔のシングルよりも基材の耐久性が増した仕様となっています。

アスファルトシングル屋根の特徴

メリットデメリット
・割れない、錆びない
・加工しやすい
・安価
・安いリフォームも可能
・表面の小石が落ちてくる
・コケが発生しやすい
・強風時にはがれやめくれが心配

アスファルトシングルはスレート屋根の割れ、ガルバリウム鋼板の錆びという他の屋根材の問題点が発生しない材料です。

初期費用が安価なため、建売住宅で多く見かけます。

また、無石綿のスレート屋根のカバー工法の屋根材としても使用されています。

強風時に飛散しないように、施工マニュアル通り接着剤を併用することが重要となります。

アスファルトシングル屋根の施工方法

アスファルトシングルはくぎを4本留め付けとシングルセメント(接着剤)を水下側に塗り接着します。

自着層付の粘着剤が貼り付くまで、シングルセメントで持たすという考え方です。

正しく施工する業者を選択することが巨大台風で飛散させないことにつながります。

 

屋根の葺き替えとカバー工法はどっちを選ぶ?違いを解説!

大規模な屋根のリフォームには、屋根の葺き替えと屋根カバー工法の2つがあります。

「葺き替え」とは根材・ルーフィングなどの下地をすべて新しいものと替えることです。(野地板の交換は劣化具合で異なります。)

一方で、「カバー工法(重ね葺き)」は、 古い屋根のうえに軽い屋根を新しくかぶせる工事方法となります。

古い屋根材・下地などをはがさないため、その分、費用がかからない工事となります。

瓦屋根の場合は、「葺き替え」「カバー工法」以外にも、一旦、瓦をめくって、下地を修理した後、もとの瓦を施工する「葺き直し」もあります。

古い瓦を使用するため、材料費は安価になりますが、新しい防災瓦にはならないため、耐風性能に配慮した葺き直しが必要となります。

屋根のリフォームの仕方について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

瓦屋根のリフォームの注意点は?費用総額や時期の目安なども解説!

 

屋根の葺き替えメリットとデメリット

屋根葺き替え工事のメリットとデメリットをまとめてみました。

メリットデメリット
・次のメンテナンスまで長くなる
・屋根材を取り除き下地の補修ができるため安心
・屋根材を別の種類に変更できる
・新しい屋根材を使用できるので、性能がアップする
・大規模な工事のため費用がかかる
・工期が長くなる
・既存の屋根材の廃棄代がかかる

屋根を下地から補修することができるので、次のメンテナンスまで長期間開けることができます。

最新の仕様で下地工事からできるため、雨漏り・結露・地震・台風などの劣化要因にも耐えることができ、安心です。

一方で、大規模修繕工事となるため、費用が高額となることが頭が痛いですね。

今後、20年以上住み続けるなら、葺き替えをオススメします。

 

屋根カバー工法のメリットとデメリット

屋根カバー工法のメリットとデメリットをまとめてみました。

メリットデメリット
・廃材が発生しない
・廃材処理費がいらない
・雨漏りの心配がない
・工期が短い
・瓦屋根ではできない
・負の遺産である廃材を先送りする
・次回のリフォームの選択肢がない
・次回屋根材をめくりとき、分別解体するため、費用は大幅にアップする
・屋根下地の状況がわからないので、屋根材の飛散などが心配

屋根カバー工法は、業者はススメやすいリフォームです。

葺き替えに比べて、安価な提案となるからです。

しかし、お客様にとって本当にメリットがあるのか、検討されることをオススメします。

次回のメンテナンスの選択肢は葺き替えとなります。

その時の費用は2重の屋根をめくるため、通常の屋根めくりよりも2倍以上大幅に費用がかかります。

つまり、大きな負の遺産を後世に残すことになります。

また、屋根下地の状況がわからないため、下地が劣化しているとネジの保持力がなく強風などで飛散する恐れがあります。

今後、10年程度しか住まない場合限定のリフォームと言えます。

【まとめ】屋根の特徴と施工方法を知って良い選択をしよう!

戸建て住宅に施工される代表的な屋根材の特徴と施工方法を5つご紹介しました。

  1. 粘土瓦屋根
  2. セメント瓦屋根
  3. スレート屋根
  4. ガルバリウム鋼板屋根
  5. アスファルトシングル屋根

それぞれ、メリット・デメリットがあるため、何を重視するか検討されることをオススメします。

大規模な屋根のリフォームには、屋根の葺き替えと屋根カバー工法の2つがあります。

今後、20年以上住み続けるなら、葺き替えをオススメします。

最新の仕様で下地工事からできるため、雨漏り・結露・地震・台風などの劣化要因にも耐えることができ、安心です。

一方、屋根カバー工法は、今後、10年程度しか住まない場合限定のリフォームと言えます。

屋根下地の状況がわからないため、下地が劣化しているとネジの保持力がなく強風などで飛散する恐れがあります。

また、次回のメンテナンスは葺き替えとなり、その時の費用は2重の屋根をめくるため、通常の屋根めくりよりも2倍以上大幅に費用がかかりますので、オススメできません。

今後の住まい計画とご予算からご検討くださいね。

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