目次
- 修理前に知っておきたい瓦屋根の名称
- 瓦屋根の雨漏り修理の費用相場一覧
- 【瓦屋根の雨漏り修理の費用】①瓦の部分修理
- 【瓦屋根の雨漏り修理の費用】②棟の修理
- 【瓦屋根の雨漏り修理の費用】③漆喰の補修
- 【瓦屋根の雨漏り修理の費用】④屋根の付帯部分の修理
- 【瓦屋根の雨漏り修理の費用】⑤全面リフォーム
- 瓦屋根の雨漏り修理必要な期間は?
- 瓦屋根の葺き替え工事の屋根材ごとの費用
- 瓦屋根の修理費用が高くなる理由
- 屋根修理で火災保険は使えるの?
- 補助金や助成金を使って屋根修理はできるの?
- 瓦がずれていると突然訪問してくる業者に注意しよう
- 屋根修理のDIYはオススメできない
- 雨漏りしたときは専門業者に調査を依頼しよう
- 【まとめ】費用の相場を知って複数の業者の見積もりを取ろう
修理前に知っておきたい瓦屋根の名称
瓦屋根の名称について知らない方のために、まずは瓦屋根の主要な名称を紹介します。
「棟/むね」・・・屋根の頂部(一番高い部分)のことをいう。
「棟瓦/むねかわら」・・・屋根の棟に使用される瓦。一番上を冠瓦(かんむりかわら)、その下の積み重なっている瓦をのし瓦(のしかわら)という。
「屋根材」・・・屋根面でもっとも多く使用している瓦のこと。桟瓦(さんがわら)とよぶ。
「漆喰/しっくい」・・・屋根の棟で、棟瓦と桟瓦の間の隙間を埋めている白い塗り物のことをいう。漆喰は厚み10mm程度で、その奥の棟の中心に葺き土が入っている。漆喰は葺き土が風雨で浸食されるのを防ぐ防水材の役割をしている。
「雨樋/あまどい」・・・屋根の先端で水平方向についている雨水を受ける樋(とい)のことをいう。雨樋には、地面へ雨水を流す縦樋(たてどい)が設置されている。
瓦屋根の雨漏り修理の費用相場一覧
瓦屋根の雨漏り修理の費用は、雨漏りの規模や範囲・修理が必要な箇所・補修方法によって、費用にバラつきがあります。
「雨漏り修理費用相場は〇〇万円」と明確することはむずかしいので、目安の金額を記載しておきます。
瓦屋根の雨漏り状態 | 修理費用の相場(足場代別途) |
---|---|
雨漏り:小 例:天井にシミを見つけた。天井からポタポタと音がする。 | 10~25万円 |
雨漏り:中 例:天井から水滴が落ちてきた。 | 15~50万円 |
雨漏り:大 例:強風雨ではなくても水滴が落ちてくる。雨漏りが複数箇所から起きている。 | 40~220万円 |
瓦屋根の雨漏り修理が必要なときの主な補修方法を5つ紹介します。
- 瓦の部分修理
- 棟の修理
- 漆喰の補修
- 屋根の付帯部分の修理
- 全面リフォーム
次の章からそれぞれ解説していきますね。
【瓦屋根の雨漏り修理の費用】①瓦の部分修理
瓦屋根の雨漏り修理が桟瓦の部分修理で済む場合は、比較的安い費用となります。
部分修理の種類と費用相場を紹介します。
瓦屋根雨漏りの原因 | 修理費用の相場(足場代別途) |
---|---|
破損・ズレ・めくれ | 5~20万円 |
屋根瓦の飛散 | 5~30万円 |
上の写真は、「〇〇公民館」の瓦屋根修理。瓦が10枚程度割れ・ズレを交換した。(費用は約10万円。)
上の写真は、台風により瓦飛散した「M様邸」の瓦屋根修理。飛散した部分に新規瓦を追加した。(費用は約15万円。)
【瓦屋根の雨漏り修理の費用】②棟の修理
棟は屋根の頂部であるため、風雨ともにもっとも強く影響を受ける場所です。
雨漏りしないような工夫として、のし瓦が何枚も積み上げられていたり、漆喰が使用されています。
棟修理の種類と費用相場を紹介します。
棟から雨漏りする原因 | 修理費用の相場(足場代別途) |
---|---|
棟の経年による沈みこみ | 10~30万円 |
棟のメンテナンス施工ミス | 10~40万円 |
上の写真は、日本瓦の棟から雨漏りした「N様邸」の瓦屋根修理。経年により瓦が沈みこんで雨漏りしたので葺き直しした。(費用は約30万円。)
上の写真は、棟の接着剤によるメンテナンス方法が誤っていて雨漏りした「Y様邸」の瓦屋根修理。棟瓦を撤去して新規瓦で復旧した。(費用は約40万円。)
【瓦屋根の雨漏り修理の費用】③漆喰の補修
漆喰は瓦屋根の棟に使用されていて、棟の中心に棟瓦を施工するために使用されている葺き土が強風雨で浸食されてないように防水材の役割で、葺き土の表面に塗ってあります。
漆喰がはがれたからと言って、すぐに雨漏りするものではないですが、ある程度葺き土が浸食されると雨漏りすることがあります。
漆喰から雨漏りする原因 | 修理費用の相場(足場代別途) |
---|---|
漆喰がはがれて葺き土が浸食された | 15~30万円 |
漆喰を重ね塗りしたメンテナンス施工ミス | 30~50万円 |
上の写真は、S形瓦の棟から雨漏りした「O様邸」の瓦屋根修理。漆喰がはがれ葺き土が浸食されて隙間が開いて雨水浸入した。漆喰の塗り直しで修理した。(費用は約30万円。)
上の写真は、日本瓦の隅棟から雨漏りした「I様邸」の瓦屋根修理。漆喰を重ね塗りする誤ったメンテナンス施工により雨漏りした。棟の部分葺き直しで雨漏り修理した。(費用は約40万円。)
漆喰の役割と工事費用の相場について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
屋根のしっくい工事費用の相場は?不要不急な提案が多いので要注意!
【瓦屋根の雨漏り修理の費用】④屋根の付帯部分の修理
屋根には、付帯物として雨樋や天窓があります。
雨樋は軒先(屋根の先端)に設置されていて、屋根の雨が壁にかかるのを防いでいます。
天窓は屋根の棟付近に設置されていて、屋根から明かりを部屋に入れる明かり採りの役割をしています。
屋根修理の内容 | 修理費用の相場(足場代別途) |
---|---|
雨樋の一部交換・修理 | 10~20万円 |
雨樋の全体交換 | 25~70万円 |
天窓の雨漏り修理 | 5~15万円 |
天窓の全体交換 | 30~50万円 |
上の写真は、雨樋(内樋/うちどい)から雨漏りした「G様邸」の屋根修理。樋に落ち葉や土が詰まり雨漏りした。樋掃除をして、樋のつなぎ目をコーキングした雨漏り修理した。(費用は約10万円。)
上の写真は、天窓から雨漏りした「K様邸」の瓦屋根修理。ガラス面のシールの劣化及びエプロンの穴開きから雨漏りした。周辺から瓦を部分撤去して、天窓を交換して雨漏りを修理した。(費用は約50万円。)
【瓦屋根の雨漏り修理の費用】⑤全面リフォーム
瓦屋根で雨漏りが全体的に発生している古い瓦屋根では、全面リフォームも行います。
全面リフォームの場合、屋根下地や防水シートは交換します。
瓦自体はもう一度古い瓦を使用する葺き直しと瓦を新しくする葺き替えがあります。
建物の立地によって、葺き直しか葺き替えを選択します。
奥まった建物で瓦を撤去するのに、一輪車などを使って運び出さなければならない場合、費用が余分にかかるので葺き直しとなります。
それ以外は、葺き替えを選択される場合が多いです。
瓦屋根修理の内容 | 修理費用の相場(足場代別途) |
---|---|
葺き替え ・瓦を新しく防災瓦にする ・屋根下地、防水シートを交換する | 140~200万円 |
葺き直し ・古い瓦を再利用する ・屋根下地、防水シートは交換する | 120~180万円 |
上の写真は、日本瓦を葺き直した「S様邸」の瓦屋根修理。古い瓦を再利用して葺き直しした。(費用は約120万円。)
上の写真は、古い日本瓦屋根全体から雨漏りした「N様邸」の瓦屋根修理。100年近く経過した瓦屋根から雨漏りした。新しい防災瓦で葺き替えした。(費用は約200万円。)
瓦屋根の雨漏り修理必要な期間は?
瓦屋根の雨漏り修理に必要な期間を紹介します。
期間についても、屋根の大きさや状態、修理方法などによって大きく変わりますので、目安とお考えください。
瓦屋根修理の内容 | 必要な期間(足場設置をのぞく) |
---|---|
瓦の部分修理 | 半日~4日 |
棟の修理 | 2日~1週間 |
漆喰の修理 | 1日~4日 |
屋根の付帯部分の修理 | 1日~4日 |
全面リフォーム | 5日~2週間 |
瓦屋根の葺き替え工事の屋根材ごとの費用
瓦は厚みがあり簡単に穴を開けることができないため、瓦屋根の上から別の屋根材を施工するカバー工法は不可です。
無理やりカバーしても雨漏りや強風による飛散リスクが高いのでカバー工法はNGとお考えください。
そのため、瓦屋根を全面補修する場合は葺き替え工事となります。
瓦屋根の葺き替え工事の屋根材ごとの費用の目安を紹介します。
既存の屋根材 | 施工内容 | 総額費用目安 |
---|---|---|
瓦 | 瓦⇒瓦 | 160~240万円 |
瓦⇒スレート | 120~160万円 | |
瓦⇒ガルバリウム鋼板 | 160~200万円 | |
セメント瓦 | セメント瓦⇒瓦 | 140~220万円 |
(モニエル瓦・厚形スレート) | セメント瓦⇒ガルバリウム鋼板 | 140~180万円 |
屋根材ごとに違う屋根葺き替え工事の費用について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根葺き替え工事の費用相場は?屋根材ごとに違う金額を完全解説
瓦屋根の修理費用が高くなる理由
屋根を葺き替えする場合、瓦屋根は他の屋根材と比べて修理費用が高くなる傾向にあります。
その理由としては、屋根材自体の重さ・体積ともに大きく、めくり費用や材料の処分費が高額となるからです。
また、瓦職人の数が少ないことも一因です。
ただし、瓦屋根は部分修理が可能なため、雨漏りなどの不具合に対する修理費用は安価となります。(他の屋根材は部分修理不可)
さらに、瓦屋根は非常に耐久力があり長期的に見ると経済的と言えます。
屋根材の特徴や価格について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根材の特徴や価格が丸わかり!あなたの最適を選ぶポイント6つ紹介
屋根修理で火災保険は使えるの?
屋根修理に関して、火災保険が適用される条件は、屋根の損傷や損傷に伴う雨漏りが自然災害によるものとなります。
経年劣化や施工不良、人的な破損などによる屋根の損傷や損傷に伴う雨漏りの場合は、火災保険の適用となりません。
また、自然災害によって修理が必要になってから3年以内に申請がしないと時効となります。
火災保険は代行申請ではなく、本人による申請が必要となります。(代行申請をうたう業者には、注意してくださいね。)
屋根修理で火災保険は使えるのかについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根修理で火災保険は使えるの?申請方法から注意点まで徹底解説!
補助金や助成金を使って屋根修理はできるの?
屋根修理や屋根工事を検討している場合は、補助金や助成金について知っておくと自己負担額を減らすことができる可能性があります。
補助金や助成金の制度は、国や地方公共団体が推進する性能の高い住宅を普及させることなどを目的として、その工事費の一部を補助金や助成金として支給する制度です。
「耐風改修」、「耐震リフォーム」や「省エネリフォーム」に該当する場合は、補助金を活用できます。
- ほとんどで共通する条件
- 耐風改修の条件
- 耐震リフォームの条件
- 省エネリフォームの条件
- 自然災害に関連するリフォームの条件
補助金や助成金を使って屋根修理をする方法について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根修理で使える補助金や助成金は?工事前に内容や条件を確認しよう
瓦がずれていると突然訪問してくる業者に注意しよう
「瓦がずれている」などと言って突然訪問してくる業者が、不安をあおり高額な屋根修理の契約をさせるケースが多く発生しています。
屋根は自分で確認することが難しい場所のため指摘されると不安になりやすいですが、1人で決断してその場で契約することはやめましょう。
必ず家族に相談したり、他の業者に点検してもらったりしてするようにしましょう。
築年数が経過した日本瓦屋根に住む高齢者が狙われるケースが多いようです。
屋根修理業者の5つの特徴について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根修理のDIYはオススメできない
屋根屋からすると屋根のDIY(自分で直すこと)はおススメしません。
なぜか、危険を伴うからです。
台風などのニュースでは、「住民が屋根から落ちた」と必ず流れます。
一瞬のミスが命取りになるので、絶対にやめておきましょう。
また、安全性以外にも屋根のDIYは、瓦の防水の仕組みがわからないので、かえって雨漏りを悪化させることが多いからです。
瓦屋根のやってはいけないDIY修理について詳しくはこちらの記事で解説しています。
瓦屋根の「やってはいけないDIY修理!」集。雨漏りの原因にも。
雨漏りしたときは専門業者に調査を依頼しよう
瓦屋根からの雨漏りは、見た目だけでは雨漏りの被害や雨漏りの原因を把握することが難しいため、雨漏りを疑うときや心配なときは専門業者に調査を依頼することをオススメします。
多くの専門業者は、目視による調査を無料で行っています。
弊社も同様に無料で目視による調査を実施しています。
また、目視による雨漏りの原因の把握が難しいとき、弊社では以下のような調査を行い、徹底的に雨漏りの原因を追究した上で、雨漏り修理を行っています。
- 散水調査
- 赤外線サーモグラフィ調査
- ドローン撮影調査
雨漏り調査の内容について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
雨漏り調査ってなにをするの?費用は?5つの方法をプロが徹底解説!
【まとめ】費用の相場を知って複数の業者の見積もりを取ろう
瓦屋根の雨漏り修理の費用は、雨漏りの規模や範囲・修理が必要な箇所・補修方法によって、費用にバラつきがありますので、ざっくりした目安をご紹介しました。
瓦屋根の雨漏り状態 | 修理費用の相場(足場代別途) |
---|---|
雨漏り:小 例:天井にシミを見つけた。天井からポタポタと音がする。 | 10~25万円 |
雨漏り:中 例:天井から水滴が落ちてきた。 | 15~50万円 |
雨漏り:大 例:強風雨ではなくても水滴が落ちてくる。雨漏りが複数箇所から起きている。 | 40~220万円 |
瓦屋根の雨漏り修理の主な補修方法を5つ紹介します。
- 瓦の部分修理
- 棟の修理
- 漆喰の補修
- 屋根の付帯部分の修理
- 全面リフォーム
瓦屋根の雨漏り修理では、部分修理or全面リフォームで大きな費用の差が発生します。
部分修理で直る雨漏りは、部分修理の方がかなり安価となります。
ここでお得な情報ですが、見積依頼する業者に必ず瓦工事業者を入れることが重要です。
瓦工事業者以外の雨漏り業者は、瓦屋根からの雨漏りの原因をほとんど特定できません。
そのため、部分修理ができないのでガルバリウム鋼板への全面リフォームを強く勧めてきます。
瓦屋根からの雨漏り修理は、瓦工事業者へ見積依頼することをオススメします。
屋根に関して、お悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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