目次
軒天とは?
軒天(のきてん)とは、屋根の軒先の裏面にある天井のことで、軒天ボードと呼ばれる板を取り付けられていることが多いです。
垂木(たるき)や野地板を隠し、小屋裏空間と外部が直接つなげない役目があります。
軒天があることで、軒先の裏側から雨や小動物が侵入しないようになります。
軒天ボードとしては、ケイ酸カルシウム板(ケイカル板)が多く使用されています。
家の造りによって、軒天が地面に水平な場合と屋根面に平行な場合があります。
軒天には、小屋裏換気の吸気孔が設置されている場合が一般的で、軒天ボードに有孔がある有孔ボードの仕様と軒天ボードに切り込みを入れて軒天換気部材が設置されている仕様があります。
軒天について詳しくはこちらの記事で解説しています。
軒天の様々な役割
軒天の役割としては、軒先の裏側から雨や小動物が侵入することを防止している以外にも様々な役割があります。
軒天の様々な役割について紹介します。
- 屋根の先端裏面を隠して美しく見せる役割
- 屋根裏に滞留した熱気や湿気を排出する役割
- 火災の際に延焼を防ぐ役割
- 強風で屋根が飛散するのを防ぐ役割
昔に多く見られた屋根の先端裏面を隠さない場合は、その部分だけ野地板や垂木を化粧材で仕上げるという手間をかけていました。
軒天を設置することで手間をかけずに、裏面を隠してきれいに見せることができます。
また、火災の際に屋根の先端に木材が暴露していると延焼しやすいので、それを防ぐ役割もあります。
軒天が部分的に破損していると台風などの強風が屋根裏へ吹き込み、屋根下地から飛散することを防ぐ役割があります。
雨漏りにつながる軒天の3つの劣化症状
雨漏りにつながる軒天の3つの劣化症状について紹介します。
- 雨染み
- 色あせ・苔・黒ずみ
- 剥がれ・穴あき
次の章から詳しく解説していきます。
【雨漏りにつながる劣化症状】①雨染み
屋根からの雨漏りがあったり、雨樋の不具合で軒天が濡れてしまったりしている場合、雨水の影響を受けて軒天に雨染みが発生します。
雨水は低い方に流れるため、軒先部分には多くの雨水が集まります。
通常では屋根材から雨樋へ入るようになっているので、軒天に雨染みができることはありません。
しかし、屋根から雨水浸入していると野地板・垂木を伝わって流れる雨水は軒天上に流れてきます。
くり返し軒天上に雨水が流れてくると軒天に雨染みが発生します。
また、雨樋の詰まりなどでオーバーフローすると軒天下面が濡れてしまいます。
軒天の雨染みを調べることは、雨漏りを発見するのに有効です。
【雨漏りにつながる劣化症状】②色あせ・苔・黒ずみ
軒天に塗料が塗られている場合、経年劣化により塗膜が剥がれ色褪せが起こることがあります。
新築では10年程度、それ以降も使用した塗料の寿命に合わせて色あせが見られますので、わずかな色あせは雨漏りとは直接関係ありません。
苔や黒ずみが軒天に見られるとその部分に湿気が多いと想定できます。
湿気の原因としては、小屋裏空間が高湿化していることや雨漏りが発生している可能性もあります。
小屋裏空間が高湿化している場合は、軒天に有孔ボードを設置したり、軒天換気部材を設置することで解消することができます。
【雨漏りにつながる劣化症状】③剥がれ・穴あき
木質系の軒天材であれば、合板の一部が剥がれてしまうケースがあったり、穴が空き内部が覗けてしまったりするようなケースがあります。
軒天合板がはがれる原因としては、水分となりますので、軒天に雨水があたっている可能性があります。
木質系の軒天に穴が空いてしまうと小屋裏空間と外部が連通してしまうので、小動物が天井上に侵入してしまうリスクとなります。
状況に応じて軒天材の張り替えや重ね張りを早急に行うことが必要です。
軒天は修理しないと雨漏りにつながる?
軒天は家・壁の外にあるので室内への影響はないと勘違いして、軒天の不具合を放置されることがあります。
軒天の剥がれや穴はそこから雨水が吹き込み、雨漏りにつながることもあります。
とくに、片流れ屋根の棟部やけらば部の軒天部分では、強風雨が吹き込みやすい箇所と言えます。
軒天から吹き込むと壁内や天井上に浸入する可能性があり、広範囲で雨漏りが発生するリスクとなります。
また、台風などの強風にさらされると軒天の穴から屋根裏に風が流れ込み、ひどいケースでは屋根下地全体が飛散してしまう事例も見られ、軒天の穴を放置することはNGとお考えください。
屋根の雨漏りが軒天の劣化につながっているケースについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
軒天・破風の劣化の原因は雨漏りです! はがれ・脱落なら重症ですよ!
軒天のメンテナンスの種類
軒天のメンテナンスの種類について紹介します。
- 塗装
- 重ね張り(軒天カバー工法)
- 張り替え
①塗装
軒天の塗装メンテナンスでは、軒天の表面を塗装することで美観を向上させることができます。
軒天材が木製の場合、塗装メンテナンスをすることで材料の耐水性を向上させることにつながり、長持ちさせることができます。
軒天の塗装メンテナンスは外壁や屋根のメンテナンスで足場を設置したタイミングで行うことをオススメします。
②重ね張り(軒天カバー工法)
軒天の重ね張りは既存の軒天をはがさずに上から新規の軒天材でカバーするメンテナンスです。
軒天の一部分にはがれが発生した場合など、全体としては劣化が進んでいない状態のタイミングで行うメンテナンスとなります。
③張り替え
軒天の張り替えは既存の軒天材を撤去して、軒天を設置する下地の状態を確認した上で新規軒天材を設置するメンテナンスです。
既存の軒天材が脱落したり、雨染みがひどかったりする場合には、軒天材の下地が腐朽していることもあります。
既存軒天材をはがして、腐朽している下地を交換して、新規軒天を張り替えします。
軒天が脱落したり、穴が空いてしまったりした不具合が発生したタイミングで行うメンテナンスです。
軒天のメンテナンスに必要な費用
軒天のメンテナンスに必要な費用を一覧表で紹介します。
小規模~中規模 | 中規模~大規模 | |
---|---|---|
塗装 | 40,000~円 | 80,000~円 |
重ね張り | 50,000~円 | 100,000~円 |
張り替え | 200,000~円 | 400,000~円 |
2階以上の軒天修理には足場費用が追加になります。
また、軒天材の材料によっても大きく異なるため、目安としてお考えください。
【まとめ】軒天のメンテナンスで雨漏りを防ごう
屋根からの雨漏りがあると軒天に雨染みが発生しますので、軒天を点検することは雨漏りを発見することに役立ちます。
雨染み以外にも苔や黒ずみが発生していると雨漏りの可能性があります。
軒天にはがれや穴開きがあると強風雨の吹き込みによる雨漏りリスクが高まります。
家の外だからと軒天のはがれや穴開きを放置せずに、メンテナンスを行うことで雨漏りを防ぐことにつながります。
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