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瓦屋根とセメント瓦の屋根の見分け方をご紹介します。
瓦と言えば、一般的には焼いた粘土瓦を連想すると思います。
建物の屋根をふくための土製焼物。
(ブリタニカ国際大百科事典より引用)
事典にも明確に「土製」「焼物」と書かれています。
昔から瓦が多かった日本では、瓦=屋根ふき材と思われている方も多いように感じます。
そのため、「セメント瓦」「スレート瓦」「金属瓦」と表記もされています。
誤解を防ぐためには、「セメント屋根(材)」「スレート屋根(材)」「金属屋根(材)」とした方がわかりやすいのでは、ないでしょうか!
誤解とは、瓦は耐久性があり、メンテナンスがほとんど要らない屋根材です。
逆に、セメント屋根・スレート屋根・金属屋根は劣化するので、メンテナンスが定期的に必要な屋根材と言えます。
ぜひ、この違いを認識していただければと思います。
さて、本題の瓦屋根とセメント瓦の屋根の見分け方について、ご紹介します。
どちらが瓦屋根でしょうか?
次の2枚の写真はどちらが瓦屋根でしょうか?
①と②では、どちらが瓦屋根でしょうか?
この違いがわかる方はかなり屋根に詳しい方だと思います。
両方とも、黄~橙色の屋根です。
両方とも形状はほとんど同じで、和形(波形状)です。
両方とも瓦の大きさもほとんど同じです。
違いはあるのでしょうか?
それでは、正解を発表します。
正解は・・・②です。
②の瓦について説明します。
材質は、土を焼いたもので、粘土瓦ともいいます。
着色方法は、瓦の表面に釉薬(ゆうやく)を施して、色付けしていますので、釉薬瓦ともいいます。
形状は、波形状で日本瓦とか、和瓦(わがわら)ともいいます。
釉薬瓦の特徴としては、釉薬が塗られていない部分(裏面も含めて)は赤っぽい色をしています。
瓦1枚を見れば、上記特徴があれば、瓦と判断してください。
屋根としての瓦屋根の見分け方です。
見分け方1:生地の赤っぽい色を探す
屋根として見た場合、釉薬が塗られていない部分は、他の瓦に隠れてしまうので、ほとんど見えません。
しかし、集中して屋根を見ているとわずかに、生地の赤っぽい色が見えることがあります。
この生地の赤っぽい色があれば、瓦屋根です。
見分け方2:棟の部分にしっくい・葺き土があるか探す
棟(むね:屋根の頂部)をよく観察することでわかります。
上の写真のように、棟の下が奥まっていて、しっくいなどの湿式材が使用されていたら、瓦屋根です。
湿式材は雨に弱いので、棟の下に入り込んでいます。
この2つの特徴を探すことで、瓦屋根と判別できます。
①はセメント瓦の屋根です。
セメント瓦は、型でセメントを成型して、乾燥させたものです。
寸法精度がいいので、棟はセメント製の面戸(めんど)で施工されています。
湿式材ではないので、棟の表面まで、面戸が出ています。
セメント瓦の屋根は、棟の面戸が出ているか、どうかで判別できます。
カラフルな色の屋根の場合、上の見分け方が有効です。
続いて、上級編です。
日本の屋根の色は、グレーが多いです。
グレー色の瓦屋根とセメント瓦の屋根の見分け方をご紹介します。
どちらが瓦屋根でしょうか?グレー編
次の2枚の写真はどちらが瓦屋根でしょうか?
基本は、上記紹介した見分け方2で判別できます。
正解は・・・④です。
④が瓦屋根です。
粘土瓦、日本瓦・和瓦は②と同じです。
着色方法が、②と異なります。
釉薬を使用せず、薫化(くんか:ガスでいぶす)して、瓦の中身まで同じグレー色した瓦をいぶし瓦といいます。
他の瓦で隠れる部分はもちろん、裏面や破断面も同じグレー色となっています。
社寺仏閣の屋根に多く使用されている瓦です。
③はセメント瓦の屋根です。
こちらも全体がグレー色しています。
屋根として、棟部の面戸があれば、セメント瓦の屋根です。
それ以外にも、破断面や隠れた部分の色でも判別できます。
セメント瓦の生地の色は白っぽいセメント色となっています。
おまけで、釉薬瓦といぶし瓦の違いをおさらいします。
瓦屋根には、着色方法の違いで、釉薬瓦といぶし瓦があります。
釉薬瓦は生地の色が赤っぽい色となっています。
一方、いぶし瓦は生地の色も表面の色も裏面の色も同じグレー色です。
補修などで、瓦を購入する場合、自宅の屋根がどちらの瓦か、確認してからご注文ください。
補修用で瓦を購入されたい方はこちらからどうぞ!
まとめ:瓦屋根とセメント瓦の屋根の見分け方は2つのポイントをチェックするだけです。
ほとんど同じように見える屋根でも、瓦屋根とセメント瓦の屋根があります。
チェックポイントは、生地の色と棟部の面戸です。
とくに、セメント瓦は廃盤品となっているため、入手が困難なものも多いです。
少量必要な場合は、写真と寸法図を送っていただければ、探して見つかることもあります。
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