瓦屋根とは? 古いイメージだけど、もっとも安価でオススメです!

Dr.神谷
Dr.神谷
  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!神清(かみせい)のDr.神谷です。

    弊社は、高浜市・半田市にある創業150年老舗三州瓦の生産・販売・工事を行っている会社です。
    年間200棟以上の屋根・雨漏り調査・修理を行っています。
    建築業界誌「日経ホームビルダー/日経アーキテクチュア」の連載記事「新次元!雨漏り対策」を執筆しています。

本記事はこんな人にお勧めします。

  • 瓦屋根にお住まいの人。
  • 瓦屋根を検討している人。
  • 瓦について調べている人。
  • 新築を検討している人。

この記事で伝えたいこと

「瓦のイメージは?」と若い子に聞いてみると、第1位「古い」、第2位「空手」の回答になります。

「空手?」と思われた方も多いと思いますが、空手家の瓦割りのイメージが強いようです。

そこで、「瓦屋根」についてもう少し知ってもらうために、瓦の歴史から現在の仕様について、簡単にご紹介します。

 

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「瓦屋根」とは? ①瓦の起源

瓦とは?

「瓦」を広辞苑で調べてみました。

”粘土を一定の形に固めて焼いたもの。主に屋根をふくのに用い、また、床敷とする。”

⇒「粘土瓦」を指しています。

一般の方も、「瓦」と聞くと「粘土製」・「耐久性が高い」と想像されることだと思います。

しかし、粘土製以外のものに、「瓦」をつけた名称の屋根材があります。

いくつかご紹介します。

「新素材の軽い瓦」⇒「樹脂繊維セメント屋根材」

「金属瓦」⇒「金属屋根材」

「樹脂瓦」⇒「FRP屋根材」

これらの屋根材は、塗装のメンテナンスが必要であり、寿命も30年程度と短いので、粘土瓦と混乱しないようにご注意してください。

瓦の起源

瓦は、約3,000年以上前に西洋(ギリシャ)・東洋(中国)にて、別々で発祥したそうです。

西洋の瓦は、平坂形です。(写真は平板形のイメージです。)

東洋の瓦は、上丸・下丸の組み合わせです。

日本へは東洋の瓦文化が伝承され、上丸・下丸の組み合わる瓦が日本の瓦の起源となります。

「瓦屋根」とは? ②瓦自体の耐久性

日本で最も古い瓦は?

日本の瓦文化は、「瓦、1,400年の歴史」と言われるように、約1,400年前が起源です。

奈良県にある元興寺(がんごうじ)に1,400年前の瓦が200枚程度現存し、現役で屋根に使用されています。

赤丸の瓦が1,400年前の瓦です。

それ以外は同じ形状の瓦を作製して、メンテナンスで少しずつ交換されています。

1,400年前の瓦が現役であることを見ても、瓦自体の耐久性は高いと言えます。

一般の寺院はどれぐらい?

文化財などは除いて、市中にある寺院の屋根はどれくらい前のものでしょうか?

200年程度(江戸時代末期)から使用されている瓦はかなりあります。

地元にも2つのお寺さんが、200年程度経過しています。

上の写真は、2m以上の大きな鬼瓦の側面に彫り込んであった文字ですが、天保5年(1834年)と記されています。

お寺さんの屋根は、上丸・下丸を組み合わせて施工するタイプが多いです。これを本葺き(ほんぶき)と言います。

こちらのお寺も部分補修の痕は多く見られ、破損した瓦は交換されながら維持されています。

一般の民家はどうれくらい?

100年以上経過した瓦も健在しています。

上の写真は、築100年を超えた瓦屋根です。

100年前ですと、現在の日本瓦と同じ形状の瓦も出てきます。

強度を測定してみると。

100年前の瓦と現在の瓦の強度を比較してみました。

100年前の瓦は1121Nに対して、現在の瓦は2倍以上の2308Nでした。

現在の瓦は、瓦を焼成する技術が飛躍的に向上しているため、製品のばらつきも少なく、100年前の瓦に比べて、耐久性がさらに高くなっていると言えます。

少なくとも60~100年以上の耐久性が瓦自体にはあります。

 

「瓦屋根」とは? ③瓦屋根の耐久性

瓦屋根とは、垂木(たるき)、屋根下地(野地板、防水シート)、瓦桟木、瓦などで構成されています。

築80年の瓦屋根を解体調査

築80年の瓦屋根を葺き替えしたときに、構成部材を調べました。

屋根の上部から紹介します。

  1. 葺き土(ふきつち)・杉皮
  2. バラ板
  3. 垂木

①瓦・・・割れ・ズレもありませんでした。

②葺き土・杉皮・・・現在の防水シートにあたる部分です。雨漏りによる劣化などもありませんでした。

③バラ板・・・屋根下地の野地板にあたる部分です。雨漏り・結露などによる腐朽もありませんでした。

④垂木・・・屋根下地を受ける垂木に雨漏り・結露などによる腐朽もありませんでした。

乾燥していて、問題はありませんでした。

築80年の瓦屋根は屋根下地の劣化・腐朽もなく、健全な状態でした。

瓦屋根の昔との違い

80年前の瓦屋根と現在の瓦屋根では、大きな違いが発生しています。

違いを下の表にまとめてみました。

下地構成が大きく異なります。

現在は、構造用合板、防水シート、引掛け葺き(葺き土なし)となっています。

引掛け葺きかつ瓦をくぎ留めしていますので、耐風性・耐震性に重きを置いた瓦屋根です。

一方で、くぎを打っていない昔と比べて、防水性や結露対策では劣っています。(標準仕様:60年となっています。)

最近、高耐久構法も開発され、通気下地屋根構法(80年仕様)も登場しています。

上の写真は、F形防災瓦の通気下地屋根構法です。(瓦はビス留めで、防水シートに孔を開けない仕様となっています。)

「瓦屋根」とは? ④工法の変遷

50年前

50年前に瓦屋根の留付けに関して、建設省告示109号で規定されました。

屋根の周辺部の軒先・ケラバは2枚緊結することと規定されました。

愛知県以西は土葺きが主流となっていました。

つまり、築50年の瓦屋根はほとんどくぎ留めされていません。

30年前

30年前に平部を数枚に1枚留め付ける仕様が金融公庫の仕様書に取り決められました。

26年前に発生した阪神淡路大震災を受け、愛知以西も含めて、瓦を留め付ける「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」が定められました。(約20年前)

 

現在

現在は、瓦を全数留め付ける仕様(ガイドライン工法)が標準となっています。

自然災害にも強い工法となっていて、耐風試験・耐震試験に合格した内容で施工されています。

また、古い瓦屋根はメンテナンス時に、留め付け補強をオススメしています。

 

「瓦屋根」とは? ⑤防災瓦で性能アップ

古い瓦ですが、ここ15年で大きな変化がありました。

下の写真は100年前からある昔の日本瓦です。

巨大台風では、瓦が飛散することもあります。

 

長年大きな変化のなかった瓦が防災瓦へと進化しました。

下の写真は15年前に進化した防災瓦です。

見た目には大きな変化はないのですが、防災機能が付加され、全数くぎ留めすれば、巨大台風でも飛散しなくなりました。

防災瓦の登場で、瓦屋根の耐風性能は大幅に向上しました。

それも、現在施工されている瓦の約99%は防災瓦となっています。

そのため、防災瓦と指定しなくても、防災瓦で施工されるので、ご安心ください。

 

「瓦屋根」とは? ⑥デザインの主流が交代

100年以上前から続いていた瓦屋根のデザインが大きく変わりました。

多くの皆さんの瓦屋根のイメージは下の写真だと思います。

しかし、実は現在では15%ほどのシェアとなっています。

現在の瓦屋根の主流は下の写真のデザインの瓦に代わっています。

F形防災瓦といって、このタイプが80%のシェアとなっています。

この写真の屋根材を瓦だと思う人はほとんどいないと思います。

しかし、瓦屋根と言えば、現在はこの屋根なのです。

 

「瓦屋根」とは? ⑦メリット・デメリット

最後に、瓦屋根のメリット・デメリットをご紹介します。

メリット

瓦屋根のメリットは、以下の3つです。

  1. コストが安い
  2. 耐久性が高い
  3. デザインがいい

瓦屋根は、大幅な補修をすることなく、60年程度持ちます。

60年間の屋根にかかる費用を計算すると、圧倒的に安価です。

デザインもシンプルで、汚れません。

建材の中の優等生で、瓦とガラスだけだと思います。

デメリット

瓦屋根のデメリットは、以下の3つです。

  1. 屋根材の中では重い
  2. イニシャルコストが高い
  3. 古い瓦屋根は災害に弱い

屋根材の中では重いです。

新築時のコストは高いです。(30年間、60年間で見ればもっとも安いです。)

古い瓦屋根が戸建ての半分以上ありますので、自然災害で被害が発生すると瓦屋根が目立ちます。

まとめ:「瓦屋根」とは、進化していてオススメの屋根材です。

瓦屋根は少なくとも60年の耐久性があります。

現在は、瓦を全数留め付ける仕様(ガイドライン工法)が標準となっています。

現在施工されている瓦の約99%は防災瓦となっています。

F形防災瓦が80%のシェアとなっています。

瓦屋根のメリットは、以下の3つです。

  1. コストが安い
  2. 耐久性が高い
  3. デザインがいい

60年間の屋根にかかる費用を計算すると、圧倒的に安価です。

古いイメージだけど、新しく進化している瓦屋根はオススメです。

 

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