雨漏りに強い屋根とは?形状ごとの特徴やリスクを徹底解説

Dr.神谷
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  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!神清(かみせい)のDr.神谷です。

    弊社は、高浜市・半田市にある創業150年老舗三州瓦の生産・販売・工事を行っている会社です。
    年間200棟以上の雨漏り調査・修理を行っています。
    建築業界誌「日経アーキテクチュア」の連載記事「新次元!雨漏り対策」を執筆しています。

本記事はこんな人にお勧めします。

  • 雨漏りに強い屋根について知りたい
  • 雨漏りに強い屋根の形状や屋根材について知りたい
  • 雨漏りに強い屋根にするための方法を知りたい

この記事で伝えたいこと

この記事は、「雨漏りに強い屋根について知りたい」「雨漏りに強い屋根の形状や屋根材について知りたい」という方に向けて書かれています。

最近の屋根は、三角形のオーソドックスな屋根だけでなく、様々な形状の屋根が増えています。しかし、屋根の形状は雨漏りリスクに大きく影響しているため、雨漏りに強い屋根なのかどうかを考慮して施工するべきです。

本記事では、雨漏りに強い屋根について解説していきます。屋根の形状ごとの特徴やメリット・デメリットのついても詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてくださいね。

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雨漏りに強い屋根の形状とは

雨漏りに最も強いと言われている屋根の形状は、「切妻(きりづま)屋根」です。

「切妻屋根」は本を開いて立てたようなシンプルな形状で、一般的には軒の出があるデザインとなっていて、雨漏りに強いです。

長期的にとらえても、屋根と壁の取合部に雨があたりにくいので、外壁を含めたメンテナンス費用が安くなります。

 

その他の屋根は雨漏りに強いの?

その他の屋根形状についてもご紹介します。

  1. 寄棟屋根
  2. 片流れ屋根
  3. 方形屋根
  4. 陸屋根
  5. 入母屋屋根
  6. 招き屋根

以下で、それぞれ簡単に解説していきます。

①寄棟(よせむね)屋根

寄棟屋根も昔からある屋根形状で比較雨漏りには強いと言えます。

一般的には軒の出もあり、軒天換気を4面に設置できるので屋根での結露リスクは低くなります。

屋根の部位としては、けらばがなくなり、軒、大棟、隅棟となります。

大棟に比べて、隅棟は雨漏りしやすい傾向があります。

メンテナンスにおいては、隅棟が長くなるため屋根での費用は割高になりますが、切妻にくらべで壁面積は少なくなるため、外壁塗装費用は少し安価と言えます。

 

②片流れ屋根

片流れ屋根は最近急増している屋根形状です。

築10年以内の雨漏りは片流れ屋根が75%を占めているというデータもあり、雨漏りしやすい屋根と言えます。

さらに、上の図では軒の出がありますが軒の出のない片流れ屋根も多く、雨漏りリスクは増してしまいます。

屋根の水上側では、屋根と壁の取合部に直接風雨が当たりやすいので、しっかりとした雨漏り対策が必要です。

メンテナンス面では、屋根と壁の取合部のシーリングが劣化すると雨漏りしやすくなるので、外壁のシーリングを定期的に行う必要があり、メンテナンス費用がかかる屋根と言えます。

 

③方形(ほうぎょう)屋根

方形屋根は真上からみると正方形の屋根です。

大棟がなく、隅棟が4本あり、屋根の頂点で交わっている構造で、頂点部分から雨漏りしやすくなっています。

寺院などでは昔から採用されていて、屋根の頂点に飾りを設置して格式を持たせています。

メンテナンス面では、寄棟と変わりませんが、費用においては、頂点でかかるため割高となります。

 

④陸屋根

陸屋根は屋根が水平なものを言います。

箱型住宅やマンションなどで多く採用されています。

屋根としては、屋根材を施工する傾斜屋根と異なり、防水を行うことになります。

新築時の雨漏りは少ない屋根と言えます。

しかし、経年でみますと防水は雨漏りが多い屋根です。

メンテナンスを怠り、10~15年で防水層が劣化して穴が開くと雨漏りします。

傾斜屋根とくらべるとメンテナンス費用は高額で、定期的に発生するとお考えください。

⑤入母屋屋根

昔の和風住宅で多く採用された屋根です。

日本瓦を葺いて、寺院のように屋根を立派なに見せることができ、農村部でよく見かけます。

切妻や寄棟よりも屋根が複雑になるため、経年では雨漏りしやすいと言えます。

メンテナンス費用は屋根が立派となっている分だけ、割高となります。

 

⑥招き屋根

招き屋根とは、切妻屋根の片方の屋根面を長くし、反対側の屋根面を段違いにして短くした形状の屋根です。

屋根面と屋根面の間に壁ができ窓を設置できるため、採光を取りやすいメリットがあります。

しかし、片流れ屋根が2つできるため、雨漏りに関しては片流れ屋根よりも弱い屋根形状と言えます。

最上階は屋根断熱仕様となるので、通気層・吸気・排気をしっかり行わないと屋根で結露する不具合が発生します。

メンテナンス面では、屋根と壁の取合部のシーリングが劣化すると雨漏りしやすくなるので、外壁のシーリングを定期的に行う必要があり、メンテナンス費用がかかる屋根と言えます。

 

雨漏りに強い屋根の形状にするための費用

雨漏りに強い屋根形状にリフォームするにはかなり費用がかかります。

屋根の形状変更のリフォームに必要な費用の相場は、切妻屋根:300~500万円程度、寄棟屋根:400万~600万円程度です。

雨漏りは屋根の形状だけではないので、高額な費用をかけて形状変更することはオススメしません。

屋根の形状変更リフォームよりも、定期的なメンテナンスにおいて長持ちする仕様に変更することをオススメします。

 

注意したい雨漏りリスクの高い屋根とは?

注意したい雨漏りリスクの高い屋根を紹介します。

  1. 複雑な形状の屋根
  2. 緩勾配の屋根
  3. 軒の短い屋根(軒ゼロ住宅)

雨漏りしやすい屋根形状に加えて、これらの屋根が加わるとさらにリスクが増大しますのでご注意ください。

①複雑な形状の屋根

一般的には先程のイラストのような1枚屋根ではなく、建物の形状によって屋根が複雑になっていきます。

建物の設計段階でなるべくシンプルな屋根にしてもらうことが肝心です。

雨漏りしやすい部位を紹介しておきます。

⓵谷部、②けらば、③壁止まり、④壁際、⑥軒先

棟違い部

 

②緩勾配の屋根

緩い傾斜の屋根は雨が流れにくいので、雨漏りしやすくなります。

とくに、0.5~1寸勾配はガルバリウム鋼板立平葺きしか対応できません。

0(水平)だと防水となり、防水層にくぎ穴をあけるなどは絶対にNGなのですが、0.5寸だと立平葺きを留めるくぎ穴あけてしまってもOKとはリスクしか感じません。

2.5寸以上であれば、色々な屋根材が施工可能ですので雨漏りが発生しても仕様変更できますので安心です。

③軒の短い屋根(軒のない屋根)

軒の出がほとんどない屋根は壁やサッシまわりから雨漏りするリスクが非常に高いです。

弊社で行う築10年以内の雨漏り調査・修理のほとんどが軒の出のない屋根です。

屋根と壁の取合部において、完璧なシールが必要となるからです。

シーリングは10年程度で劣化するため、その後、10年毎にメンテナンスする必要があり、維持管理費が高額となります。

敷地などの制限がない場合は、軒ゼロ住宅は必ず避けましょう。

軒ゼロ住宅に関してこちらの記事に詳しく解説していますのでご覧ください。

【新築を建てる前に】屋根のデザイン一つで125万円も損するかも。知っておきたい屋根デザインの知識(軒の出がない~軒ゼロ住宅)

 

屋根が雨水の浸入を防ぐ仕組み

屋根の形状で雨漏りリスクが変わる理由を知るには、屋根が雨水の浸入を防ぐ仕組みを理解しておくことが重要です。

屋根では、屋根材とルーフィングと呼ばれる防水シートの2つで雨水の浸入を防いでいます。

防水シートとは名前の通り「防水」の役割を担っているのですが、屋根材を野地板に留め付けるくぎでたくさんの穴が開いてしまいます。

そのため、極力、防水シート上に流れる雨水を少なくする工夫をします。

風雨などで屋根材同士の隙間から奥へ浸入した雨水が再び出て来て排水できるように形状を工夫する「雨仕舞(あまじまい)」という考え方が採用されています。

浸入する隙間があっても、排水経路からしっかりと排水することで雨漏りを防ぐ構造となっています。

屋根の雨仕舞という考え方について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

雨仕舞(あまじまい)ってなに? 屋根の用語・Q&A

防水シート(ルーフィング)についてはこちらに詳しく記載されています。

ルーフィングってなに? 屋根の用語・Q&A

 

雨漏りに強い屋根材ってあるの?

屋根の平部(屋根面の広い部分)において雨水が浸入しにくい屋根材はガルバリウム鋼板などの金属屋根と言われています。

しかし、住宅用屋根においては、どんな種類の屋根材も防水シートを必ず施工することになっています。

つまり、屋根材だけで雨漏りを防ぐことはできないのです。

住宅用屋根であれば、屋根形状が複雑な部分があったり、1階屋根では壁との取合部があったりと屋根材だけで完結しません。

雨漏りのほとんどはそういう部分から生じるので屋根材の防水性による優劣はあまり重要ではありません。

それよりも周辺から屋根材下へ浸入した雨水が乾燥しやすい構造であることが重要です。

 

建物にとって風に強い屋根であることも重要です

建物にとっては、雨漏り以外にも風に強い屋根であることも重要です。

軒の出が多いと風に弱いと記載されているものもありますが、軒の出は60㎝~90㎝で十分雨漏りを防ぐ効果があります。

また、屋根材はしっかり固定されていないと、強風や台風で屋根材が飛ばされてしまい、雨漏りが起こってしまうため、しっかりと屋根材が固定する必要があります。

経年で雨漏りなどが発生すると屋根材を留めるくぎ・ビスが保持される野地板が腐朽して、保持力が低下します。

金属屋根が飛散するのは、経年で野地板が劣化してしまったことが原因です。

雨漏り対策は強風対策とも言えますので、雨漏りに強い屋根を意識しましょう。

 

屋根材を固定するためのくぎ打ちが雨漏りの原因になる場合もある

先程簡単にふれましたが、屋根材を固定するためのくぎ打ちで発生する防水シートのくぎ穴が雨漏りの原因となります。

極力、防水シートに穴を開けないことで雨漏りリスクを軽減することができます。

その対策として、屋根材を接着剤(「ポリフォーム」、「ポリワン」)で留め付けする方法も用いられています。

確かに、接着工法は防水シートに開ける穴の数が減少します。

しかし、「ポリフォーム」、「ポリワン」などの接着剤は価格が高価なため、雨漏り対策としての接着工法はあまりオススメしません。

雨漏り対策としては、接着工法よりもコストパフォーマンスに優れているホールレス工法(通気下地屋根構法)をオススメします。

 

雨漏りしないために雨樋のメンテナンスもしておこう

雨漏り防止の話になったときに、屋根の形状や勾配・屋根材に着目されることが多いですが、雨漏り防止のためには雨樋のメンテナンスも重要です。

雨樋の詰まりは、落ち葉や土・泥・野鳥の巣などが雨樋の落とし口で詰まることが多いです。

雨樋の落とし口が詰まると雨樋から排水できず、滝のようにオーバーフローしてしまいます。

オーバーフローした雨水は壁伝いに大量に流れるので、外壁・サッシからの雨漏りの要因となります。

雨樋からのオーバーフローを防ぐには、定期的な掃除や落ち葉よけグッズなどが有効です。

雨樋の詰まりから雨漏りするリスクについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。

屋根屋が教える!雨樋詰まりの正しい掃除方法と必要な道具。対策方法も伝授します!

 

【まとめ】切妻屋根は雨漏りに強い

雨漏りに最も強いと言われている屋根の形状は、「切妻(きりづま)屋根」です。

「切妻屋根」は本を開いて立てたようなシンプルな形状で、一般的には軒の出があるデザインとなっていて、雨漏りに強いです。

長期的にとらえても、屋根と壁の取合部に雨があたりにくいので、外壁を含めたメンテナンス費用が安くなります。

屋根形状以外にも注意したい雨漏りリスクの高い屋根が3つあります。

  1. 複雑な形状の屋根
  2. 緩勾配の屋根
  3. 軒の短い屋根(軒ゼロ住宅)

とくに、軒ゼロ住宅は雨漏りが多く発生していますので、採用にあたってはよく検討してください。

住宅用屋根においては、どんな種類の屋根材も防水シートを必ず施工することになって、屋根材だけでは雨漏りを防ぐことはできません。

雨漏りしにくい屋根材よりも乾燥しやすい屋根材を選ぶことをオススメします。

雨漏り防止の話になったときに、屋根の形状や勾配・屋根材に着目されることが多いですが、雨漏り防止のためには雨樋のメンテナンスも重要です。

 

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