目次
自分で修理できる雨漏りってどんなもの?
自分で直せる雨漏りは、おおむね以下の2点の状況に限られることをご理解ください。
- ・強風や大雨の時のみ発生する雨漏り
- ・修理箇所が1階にある場合のみ
「強風や大雨のみ発生する雨漏り」とは、年に数回の雨漏りということです。
年に数回なら、雨漏りで濡れた柱・壁・天井などはある程度の時間で、乾燥します。
乾燥すれば、木が腐朽劣化することはありません。(家が壊れるダメージはありません。)
また、安全性の観点から修理場所が1階なら、脚立などで作業することができます。
補修場所が2階なら、高所作業で危険を伴うため、絶対におやめください。
落下してケガなどしたら、元も子もありません。
DIYで悪化する雨漏り補修や、修理箇所が2階以上の高所である場合は、専門業者に依頼することをお薦めします。
自分で修理できる雨漏りの事例
自分で直せる雨漏りには、以下のようなケースがあります。
- ・1階の窓廻りのシーリング劣化により雨漏りするケース
- ・2階バルコニーの掃き出し窓下や防水層隙間から雨漏りするケース
- ・1階屋根の雨どい詰まりで雨水がオーバーフローして雨漏りするケース
詳しく事例紹介をします。
雨漏り補修事例
1階窓廻りのシーリング劣化により雨漏りするケース
⇒テープで隙間をふさぐ。
上の写真は、固定された窓のアルミ枠と木枠の隙間をテープで埋めた状態です。
強風雨のときだけ、雨漏りする場合は、劣化したシーリングの隙間をある程度、テープを使ってカバーすることで、雨漏りを防ぐことができます。
見た目は、いかにも応急処置となりますが。
2階バルコニーの掃き出し窓下と防水層隙間から雨漏りするケース
⇒テープで隙間をふさぐ。
上の写真は、バルコニーの掃き出し窓下と防水層の隙間が開いている状態です。
強風雨のときに、バルコニー下の天井が雨漏りしている場合、この隙間からの可能性があります。
台風前にテープを貼ることで、養生することができます。
1階屋根の雨どい詰まりで雨水のオーバーフローして雨漏りするケース
⇒掃除をする。
縦樋の落とし口が詰まっているので、詰まりを掃除しましょう。
上の動画では、素手で掃除していますが、
トングなどを使うと簡単に細い枝・葉を取り除くことができます。
プロに依頼すべき雨漏りは? 自分で修理できないケース
自分で修理を行わずプロに依頼すべきケースは、以下のような雨漏りです。
- ・通常の雨でもする雨漏り
- ・雨水の浸入口が屋根・2階の場合
「通常の雨でもする雨漏り」は、本格的な雨漏り補修を行わないと雨漏りが止まらない場合がほとんどです。
さらに年間を通して考えると木材がなかなか乾燥せずに湿っている状態が続き、腐朽劣化が進行して、そのままにしていると住むこともできなくなる危険性があります。
シロアリによる蟻害のリスクも高くなるので、DIYはあきらめて、早急に雨漏り補修業者に依頼しましょう。
修理箇所が傾斜屋根の場合は雨仕舞を理解せずに隙間をふさぐと、かえって雨漏りが悪化することがあります。早急に雨漏り補修業者に依頼すべきケースです。
自分で雨漏りを修理できない事例
自分で雨漏りを修理できない事例には、以下のようなケースがあります。
- ・陸屋根(平らな屋根)の防水層が傷んで雨漏りするケース
- ・瓦屋根から雨漏りするケース
- ・2階の壁や窓の周辺から雨漏りするケース
- ・2階の屋根の雨どいが詰まって雨水があふれ出すケース
これらのケースは、専門業者にしか修理できないものとDIYで行うには事故の危険性が大きいものです。迷わずに専門業者に相談すべき事例です。
DIYでかえって状態が悪化してしまった事例を紹介します。
DIYして悪化した事例
陸屋根(平らな屋根)の防水層が傷んで雨漏りするケース
⇒陸屋根の屋上防水は数種類あります。10~15年で正しいメンテナンスを行うことで、雨漏りをふせぐことができます。屋根はフラットなので、防水層に穴が開いていたら、すぐに雨漏りします。誤ったDIYをすることで、かえって、費用がかかってしまった事例があります。
瓦屋根から雨漏りするケース
⇒瓦屋根から雨漏りしているからと、DIYで瓦同士の隙間をセメントで埋めてしまった屋根を見かけます。かえって、雨漏りが悪化していることがほとんどです。
上の写真のような屋根を雨漏り補修するときは、セメント撤去に手間がかかり、余分な施工費用・材料代がかかってしまいます。
⇒瓦屋根から雨漏りしているからと、DIYで瓦同士の隙間をシーリングで埋めてしまった屋根を見かけます。かえって、雨漏りが悪化していることがほとんどです。
上の写真のような屋根を雨漏り補修するときは、瓦の周辺のシーリングを取り除く必要があり、余分な施工費用・材料代がかかってしまいます。
瓦は重なりで雨漏りを防いでおり、上下の隙間から雨が出てくる構造(雨仕舞)となっています。
瓦屋根の場合、多くの雨漏りは部分補修で直すことができますので、初めから、瓦屋さんに依頼することをおススメします!
自分でできる雨漏り被害の修理方法5つ
自分でできる雨漏りの修理方法には、以下の5つがあります。
- ・防水テープによる補修
- ・補修スプレーでの吹き付け
- ・コーキング剤での隙間埋め
- ・壁紙の接着
- ・塗装
次の章から詳しく解説していきます。
自分で雨漏り被害を修理する方法その1:防水テープを使う
自分でできる雨漏り被害の修理方法には、防水テープによる補修があります。
防水テープは、屋根や外壁のひび割れや穴を塞ぎ、破損・劣化箇所を応急処置できます。
薄くて柔らかいため窓回りに適し、耐久性があり、剥がす際も汚さないのでDIY向きです。
防水テープとは、防水加工されたテープのことです。
防水テープは、屋根や外壁のヒビ割れや穴などを塞ぐことができるため、破損・劣化した場所を応急処置的に補修することができます。
ガムテープのように必要な長さをハサミやカッターなどで、カットして使用できるため、修理場所に合わせたサイズでの使用が可能です。
屋外での使用では、防水テープの代用として、アルミテープを上手く使うと雨漏りを止めることができます。
何といっても、貼るだけなので、仕上がりが確認できます。
隙間を埋めるのに、シーリング材よりも確実です。
薄くて、やわらかいので、窓廻りの隙間埋めなどに適しています。
耐久性もあり、はがすときにも汚さないので、DIY向きと言えます。
台風前などに、雨漏りの浸入口と疑われる部分に貼ることで、浸入口かどうかを調べることもできます。(防水テープを貼って雨漏りが止まれば、その部分が浸入口と特定できます)
ざらざらした面には、貼り付きにくいので、ご注意ください。
防水テープによる雨漏り補修について、こちらの記事にも詳しく解説してありますので、ご覧ください。
自分で雨漏り被害を修理する方法その2:補修スプレーをかける
補修スプレーとは、いわゆる防水スプレーのことです。
吹きかけるだけで雨漏り箇所をコーティングできるアイテムです。
補修したい場所にスプレーを吹きかけるだけで応急処置ができます。
工具や道具が不要で手軽に使えるため、女性や子供にも使いやすく便利な雨漏り応急対策グッズです。
スプレーの種類にもよりますが、外壁のモルタル、コンクリートの細い亀裂、ヒビ割れ部分や小さい穴等に有効です。
撥水スプレーの場合、カビ、コケの発生を防止する効果もあります。
使い方やオススメの補修スプレーは、こちらの記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
手軽で使いやすい!雨漏り補修スプレーとは?選び方や注意点も解説!
ホームセンターで購入可能な7つの雨漏り対策グッズを屋根屋が解説!
自分で雨漏り被害を修理する方法その3:コーキングで埋める
コーキング剤は、雨漏りの応急処置にもっとも使用されている材料で、乾燥するとゴム状の弾力があります。
雨漏りしている場所の隙間を埋めるために使います。
コーキング剤は、外壁、バルコニー、サッシなどの隙間埋めに有効です。
業者がコーキング剤を施工する場合、壁・コーキング剤の状態で、打ち替え/増し打ちを選択します。既存のコーキング剤を取るのか、取らないのかの選択です。
ただし、自分で修理する場合は、既存のシーリング剤(コーキング剤)の上から新たにシーリング剤を重ねて打つ方法である「増し打ち」がおすすめです。
理由としては、打ち替えをしようと古いコーキング剤をはがすときに、壁内の防水シートを傷つけてしまい、かえって雨漏りが悪化する可能性があるからです。
また、コーキング剤を壁や窓などにしっかりと密着させるためには、下塗りとしてプライマーを塗布してください。
プライマーを塗布せず、コーキングした場合、見た目ではわからない密着不足の場所から雨が入ることもあります。
ホームセンターの安価なシーリング剤として、シリコン系シーリング剤があります。
とくにクリアの色は、シリコン系シーリング剤です。
シリコン系シーリング剤には、塗料が付きにくい性質があります。そのためサイディングなど、将来塗装の可能性のある部分には、使用しないようにしましょう。
塗装の可能性のある部分には、変成シリコン系シーリング剤を使用してください。
コーキング剤の補修について、詳しくはこちらの記事の解説をご覧ください。
【雨漏りの応急処置】コーキング剤で素人が直す方法【プロが解説】
自分で雨漏り被害を修理する方法その4:壁紙を貼り直す
雨漏りで天井や壁紙が濡れると、壁紙やクロスが湿気で歪み膨らんできたり、剥がれてきたりすることがあります。
クロスの接着剤が濡れてしまうことで、接着が弱くなってしまい、めくれて剥がれてしまいます。
軽度な被害ならDIY補修が可能で、接着剤で再接着することができます。
雨漏りが進行すると、黒ずんだカビが発生するため、発生した場合は次の章で解説する漂白剤の使用で補修することもできます。
【雨漏り補修の方法】⑤塗装
壁紙の模様が漂白しても目立たない柄や雨漏りの跡が小さい場合は、市販の漂白剤を10%~50%に薄めたものをスプレーすると雨漏りの跡を消すことが可能です。
漂白剤を使用すると目立ってしまいそうな場合は、クロスの張り替えなどに抵抗がある人は、作業工程が少なく低コストな塗装がオススメとなります。
塗装はクロスが張られている場所に加えて、下地部分であっても塗装することが可能です。
塗装の手順や注意点をこちらの記事で解説していますので、ご覧ください。
自分で補修できない雨漏りを業者にしたときの費用相場は?
この記事では、①屋根②屋上・バルコニー③天井④外壁⑤窓枠・天窓の5つに分類して、工事費用を紹介していきます。
5つの箇所の雨漏りを工事する費用の相場をご紹介します。
雨漏りした箇所 | 工事費用相場 |
---|---|
屋根の雨漏り | 3~200万円 |
屋上・バルコニーの雨漏り | 15~200万円 |
天井の雨漏り | 10~20万円 |
外壁の雨漏り | 5~150万円 |
窓枠・天窓の雨漏り | 3~30万円 |
通常のリフォームと異なり雨漏り工事は、雨漏りの原因や範囲、既存の仕様によって費用が大きく変わってきます。
そのため、相見積の場合、見積金額の比較だけでなく、工事の内容・範囲・仕様もしっかりと比較することが重要です。
雨漏り補修の工事費用の目安を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
雨漏り工事の費用の目安を5つの箇所に分けて屋根屋が徹底解説!
【まとめ】雨漏り箇所の補修や修理は応急処置です
雨漏り補修DIYはあくまでも「応急処置を行う」という感覚をお持ちください。
応急処置程度の簡単な修理をオススメします。
簡単な修理方法とせずに、もとに戻せないような補修をしてしまうと、その補修が間違っていた場合、かえって、雨漏りを悪化させ、費用も余分にかかることがあるからです。
建築業者でもなかなか直せない雨漏りも多くあります。
「お客様の感」にたよる雨漏り修理DIYで、雨漏りが止まる確率は正直、低いです。
補修のイメージとしては、「雨の浸入口を目視で探して、シーリング材・テープ等でふさぐ」とお考えください。
シーリング材やテープなら、補修方法が間違っていても、簡単に外すことができるからです。
これらの材料でも、雨の浸入口を的確にふさいでいれば、数年間は雨漏りを止めることができます。
雨漏り補修DIYをチャレンジしてみるけど、止まらなかったら、プロの雨漏り業者に依頼するというスタンスをオススメします!
神清からのお願い
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