目次
トタン屋根の特徴
「トタン」とは、薄い鉄板に亜鉛メッキを施した板状の資材で、「トタン」を使用した屋根を「トタン屋根」と言います。
トタンは亜鉛メッキ鋼板のうち、主に建築資材として使われているものを呼びます。
亜鉛メッキ鋼板とは、亜鉛でめっき加工された鋼板(板状に加工された炭素をわずかに含む鉄の合金)のことです。
専門用語でいうと、むずかしくなりますが、大正時代からここ10年程度前まで、屋根や壁で使用されていた鉄板と考えていただければ、わかりやすいと思います。
亜鉛メッキ鋼板に塗装した「カラー鋼板(鉄板)」もトタンと呼ばれています。
本章では、トタン屋根のメリットとデメリット、耐久性について解説していきます。
トタン屋根のメリット
- コストが安い
- 素材が軽い
トタン屋根はトタンの材料費が安価で、新築時の材工の「コストが安い」という特徴があります。新築時の建物全体のコストを下げることが可能となります。
「素材が軽い」ため、建物全体の重量を軽くすることができます。
トタン屋根のデメリット
- 防音性が低い
- 耐熱性が低い
- メンテナンスが必要
0.27~0.35mmと薄い素材で防音性が低く、雨音がひびき気になります。
トタン屋根は日射による熱膨張の影響が大きく、膨張・収縮で大きな音がします。
トタン屋根は熱を伝える性質が高いため、夏は熱く、冬は寒い屋根です。
メッキ加工されているが、浸食されやすいので、鉄板の錆が発生しやすいです。
メッキ層を守るために、5~7年内で定期的に塗装を行うメンテナンスが必要な屋根であり、トータルコストは高額になります。
トタン屋根の耐久性
トタン屋根は、表面の塗料層と亜鉛めっき層で鉄板が錆びることを防いでいます。
耐久性としては、5年ぐらいで表面の塗料が劣化します。
メンテナンスとしては、その時点で塗装すれば、もう5年の耐久性は維持できます。
塗装せず、そのままにしておくと、10年程度で亜鉛めっき層が突破され、鉄板に赤さびが発生し、鉄の腐食が進行します。
トタン屋根が雨漏りする3つの原因とは?
トタン屋根が雨漏りする原因は3つあります。
- 錆による穴あき
- 棟板金の剥がれ
- 強風などによる屋根のめくれ
次の章からその原因について、詳しく解説していきます。
【雨漏りの原因①】錆による穴あき
トタン屋根は、塗膜と亜鉛メッキで鉄板が守られているが、太陽光の紫外線や熱や雨、霜、雪などの水分の影響を受けて経年で徐々に劣化していきます。
赤さびは水分がメッキ層を突破して、鉄板に到達して発生する現象です。
鉄板がむき出しになり、空気中の酸素と水と反応することによって赤さびが発生し、鉄の部分の腐食が進行すると、鉄板に穴があいて雨漏りの原因となります。
屋根は温度が高い分だけ、腐食の進行が早く穴が開きやすい状態です。
【雨漏りの原因②】棟板金の飛散や剥がれ
屋根の面と面が合わさった頂点部分を棟(むね)と言い、その棟を覆う形でカバーしている板金を棟板金と言います。
棟板金は本来、飛散や剥がれが起きないように釘で固定されているが、金属加工の反発力や温度変化にさらされることで、釘浮きが発生します。
釘穴より水が浸入し、釘の固定力が徐々に弱くなっていきます。
固定が弱くなった棟板金は、強風により飛散や剥がれることがあります。
棟板金が飛散すると、雨漏りの原因になります。
【雨漏りの原因③】強風などによる屋根のめくれ
トタン屋根(金属屋根)は、他の屋根材と比較すると軽量で建物の負担が少ないことが特徴ですが、代わりに風や強風などで飛散するという弱点があります。
長期間の雨漏りや結露によって野地板が劣化して、釘・ビスの保持力が低下して、強風や台風のときにトタン屋根めくれ上がる危険性があり、注意が必要です。
トタン屋根が飛散した場合は、トタン屋根の下ある防水紙もトタンに貼り付けて飛散するため、すぐに雨漏りする可能性が高いです。
トタン屋根の3つの修理方法と費用について
屋根の修理は、基本的に知識や経験がない人が行うことは難しいです。
また屋根の修理は高所作業となるため、素人のDIYは落下の危険がありオススメできません。
ただし、雨漏りしている場合や雨漏りの危険性がある場合は、簡単な養生や応急処置しておく必要があります。
雨漏りして、大工事とならないような対策をご紹介しておきますので、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
雨漏りへの対処方法について慶応4年創業の屋根屋が解説します!
トタン屋根は3つの修理方法が一般的です。
- 屋根塗装
- 屋根カバー工法
- 屋根葺き替え
次の章から修理方法と費用について詳しく解説します。
【トタン屋根の修理方法】①屋根塗装
屋根状態が比較的良い状態で保たれており、赤錆も軽度である場合は屋根塗装が有効です。
錆で穴あいている場合や錆で部分的に崩れている場合は、屋根塗装での修理は長持ちしません。
すぐに、塗膜が赤さびで突破されるため、効果的な修理にはなりません。
屋根塗装は赤錆が出始める前に行うことが長持ちのコツです。
雨漏りの修理としては、塗装をすすめていません。
その理由は、塗装では雨漏りが止まらないからです。
お金のムダですので、塗装をすすめられても、お断りしましょう!
【トタン屋根の修理方法】②屋根カバー工法
屋根カバー工法は、現在のトタン屋根の上に新しい金属屋根材を被せてカバーする工法です。
被せる金属屋根材は、トタン屋根より少しだけ高価となりますが、耐久性が高いガルバリム鋼板製を使用することが主流となっています。
雨漏りの修理としては、カバー工法をすすめていません。
その理由は、屋根下地が劣化いしている可能性が高いからです。
カバー工法に使う金属屋根材は、屋根下地に直接留め付けます。
その屋根下地が腐朽していると、強風に耐える釘・ビスの保持力を発揮できません。
台風などで、カバー屋根材ごと、飛散してしまうリスクがあります。
【トタン屋根の修理方法】③屋根葺き替え
屋根の葺き替えは、現在のトタン屋根を剥がして、新しい屋根材に葺き替えることです。
軽いトタンの屋根材が使用されている建物を前提にしているため、トタン屋根の建物は他の屋根材ではなく、再び金属屋根材を選ぶことが多いです。
痛んでいる部分だけを葺き替えすることはほどんどできません。
また、痛んでいる部分だけでなく全体がダメージを受けている場合が多く、葺き替えしなかった部分から後日雨漏りすることも多いため、全体的な葺き替えがオススメです。
古いトタン屋根をめくって、屋根下地を確認・補修することで、新しい屋根材の耐力を発揮させることができます。
異常気象が頻発するこれからは、めくり代を惜しんでカバー工法するよりも、葺き替えして、確実な耐風性を確保することが必須とお考えください。
まとめ:トタン屋根の雨漏り修理はガルバリウム鋼板の葺き替えがオススメ
屋根の葺き替え工事と言えば、高額なイメージがある人もいるかもしれませんが、修理費用の節約を重視し過ぎて、塗装やカバー工法でその場しのぎの雨漏り対策を行うよりも、葺き替え工事を行う方が、雨漏りの不安が解消される上に修理費用やリフォーム費用の節約になります。
トタン屋根の葺き替え工事で人気のあるガルバリウム鋼板は、耐久性が高いためメンテナンス周期を遅らせることができるため、初期導入のコストが少し必要であったとしても、結果的にコストパフォーマンスが良い場合が多いです。
トタン屋根のメリット
- コストが安い
- 素材が軽い
トタン屋根のデメリット
- 防音性が低い
- 耐熱性が低い
- メンテナンスが必要
屋根下地は劣化している可能性が高いので、屋根下地から修理することが重要です。
異常気象による自然災害が発生していますので、屋根はしっかりと修理されることをオススメします!
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