瓦棟強靭化工法で補強したら耐震試験に合格!ガイドラインに対応を確認

Dr.神谷
Dr.神谷
  • みなさま。こんにちは。
    屋根から人の笑顔を作りたい!!!神清(かみせい)のDr.神谷です。

    弊社は、高浜市・半田市にある創業150年老舗三州瓦の生産・販売・工事を行っている会社です。
    年間200棟以上の雨漏り調査・修理を行っています。
    建築業界誌「日経アーキテクチュア」の連載記事「新次元!雨漏り対策」を執筆しています。

本記事はこんな人にお勧めします。

古い瓦屋根にお住まいの方

瓦屋根の耐風・耐震補強を検討の方

 

この記事で伝えたいこと

古い日本瓦屋根(特に棟部)は自然災害で被害を受けています。

その被害の多さが問題となり、令和4年から瓦屋根の留め付け基準が変更されています。(告示改訂・新築において)

新築の瓦屋根は基準見直しで安全・安心な屋根となりますが、既存の古い日本瓦屋根のリスクは残ったままとなっています。

古い瓦屋根は解体して葺き直しをすれば、新築と同じ基準の屋根になるのですが、それなりに費用がかかります。そこで、古い日本瓦屋根棟部を解体することなく補強する外付け工法を開発し、その耐震試験を行いましたのでご紹介します。

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古い日本瓦屋根の棟部とは

古い日本瓦屋根の棟部(旧工法)とは、瓦と葺き土を銅線で巻いているだけで、冠瓦が建物に留め付けられていません。

そのため、巨大地震・巨大台風で被害が発生しております。

上の写真は東日本大震災で棟が崩れた古い日本瓦屋根棟部です。

これまでも弊社では古い日本瓦屋根を解体してガイドライン工法での改修事例を紹介しています。

日本瓦屋根 棟の耐震改修 ガイドライン工法で葺き直し事例

瓦屋根・棟部の耐風改修 7寸丸1本伏せで葺き直し

古い日本瓦屋根棟部 外付け棟補強金物で簡易な耐風・耐震改修

 

古い瓦日本瓦屋根の改修費用目安

古い瓦日本屋根の改修費用の目安を紹介します。

旧工法⇒ガイドライン工法・のし積み棟へ改修 (35,000円~/m)

10mの棟部ですと35万~円となります。

旧工法⇒ガイドライン工法・冠瓦1本伏せ棟へ改修(25,000円~/m)

10mの棟ですと25万~円となります。

これらガイドライン工法で葺き直した改修では、現在の新築と同じ仕様であり耐震・耐風性能が高く安全・安心な屋根となります。

棟部だけですと意外と安価な費用で改修できます。

 

もっと安価に改修した場合は?

ときどきお話をいただくのですが、「1人で住んでいて後5年屋根が持てばいいのでもっとも安価に改修したい。」と言われる内容です。

そんな方には外付けの棟補強補修方法をご提案しています。

今回、ご紹介させていただくのは、耐候性のある防水シートを活用した「瓦棟強靭化工法(KYOZIN防水仕様)」です。

旧工法の棟部に防水シート(KYOZIN Re-roof)を巻いて、棟全体を一体化して、耐震・耐風・防水性を向上させています。

防水シートが劣化に強いため、耐久面でも10年以上が期待できる優れものです。

 

瓦棟強靭化工法の耐震試験を実施

旧工法に防水シートを巻くことで、耐震性能が向上したか実験しました。

試験はあいち産業科学技術総合センター三河窯業試験場の棟瓦耐震性能試験装置で評価しました。

旧工法で同様に施工した架台を2体同時に作成しました。

1か月後に1体は瓦棟強靭化工法(KYOZIN防水仕様)で補強しました。

補強の有無による違いを試験で確認しました。

 

棟補強なしの場合⇒不合格

棟補強なしの旧工法での耐震試験を実施しました。

試験の様子を簡単に示します。

架台をこれから垂直に起こして、その後10回転させる棟瓦耐震性能試験を実施。

試験架台を引き起こして、50°程度まで来ました。

今のところ問題なしと思った、次の瞬間です。

棟瓦が固まりとなって脱落しました。

旧工法の棟は試験が始まる前に脱落して、不合格となりました。

屋根に棟瓦が留め付けしていないことによる屋根面との強度不足が原因です。

阪神淡路大震災に耐えることができない仕様です。

 

瓦棟強靭化工法(KYOZIN防水仕様)の場合

続いて、防水シートでおおった補強工法で試験しました。

試験装置に補強した架台を設置しました。

しっかりと垂直に立ち、10回転まわって、試験に合格しました。

阪神淡路大震災の地震に耐えることが確認できました。

実際の試験の様子はこちらの動画でご覧ください。

 

瓦棟強靭化工法(KYOZIN防水仕様)の3つメリット

瓦棟強靭化工法(KYOZIN防水仕様)は3つのメリットがあります。

  1. 改修費用が安価
  2. 防水性能が向上
  3. 飛来物が当たっても飛散しない

以下、簡単に解説します。

改修費用が安価

既存棟を解体することなく補強するため、費用を抑えることができます。

旧工法⇒瓦棟強靭化工法(KYOZIN防水仕様)へ改修(15,000円~/m)

10mの棟ですと15万~円となります。

防水性能が向上

防水シートで幅広く棟をカバーするため、棟からの雨漏りを予防できます。

今までより棟の幅が広がるので、強風雨の吹き込みリスクが少なくなります。

下段の幅が広がるため、しっくいまでの距離が長くなります。

しっくいのメンテナンスが必要なくなり、省メンテナンスにつながります。

飛来物が当たっても飛散しない

令和元年房総半島台風のときには、様々な飛来物によって瓦屋根が破損して、その破損した瓦が周辺に2次災害を与えていました。

棟部を防水シートでカバーすることで、飛来物が当たったとしても棟瓦が割れて飛び散ることはありません。

瓦の飛び散りを抑えることで2次被害も減災することができます。

 

古い日本瓦屋根の補強に補助金は使えるの?

古い日本瓦屋根とは築20年程度の屋根を指します。

地域によっては、現在の新築と同様な性能を持つ屋根に改修した場合、補助金を支給する地方自治体があります。

令和4年度から耐風診断・耐風改修に対して補助する制度です。

詳しくはこちらの記事、もしくは各自治体にお問い合わせください。

屋根修理で使える補助金や助成金は?工事前に内容や条件を確認しよう

 

まとめ:瓦棟強靭化工法などで古い日本瓦屋根は改修しよう

瓦棟強靭化工法での耐震試験の結果をご紹介しました。合格です。

古い日本瓦屋根は今後も巨大な台風・地震で被害が発生します。

興味のある方は平時に、部分補修、葺き替え、葺き直しなどを検討してください。

ブルーシートで何年も待つことは大きなストレスとなりますし、災害時は悪徳業者も横行します。

後10年程度補強できればいいとお考えの方は瓦棟強靭化工法もオススメします。

 

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