目次
巨大台風で被害にあう瓦屋根とは? 自分でできる耐風診断。
2018年台風21号の大阪、2019年台風15号の千葉と巨大台風の上陸により、古い屋根に大きな被害が発生しました。
その中の古い瓦屋根の比率は多く、その分被害棟数も大変多く、復旧に時間を要しています。
台風による屋根被害はその後の雨漏りにも直結するため、建物の壁や床・家の家財を守る上ではなるべく防ぎたいものです。
大阪や千葉は元々、台風が上陸するエリアで、今までの台風では被害が発生しなかった古い瓦屋根が多くありました。
それが異常気象によって発達した巨大台風には、耐えることができず、瓦が飛散してしまったということだと思います。
つまり、20年以上台風被害が発生していない瓦屋根でも、今後は巨大台風に備える必要があると言えます。
そこで、自宅の瓦屋根が大丈夫かどうか、簡単に耐風診断する方法をご紹介します。
何かの機会に素早く手を打つことができるので、知っておいてくださいね。
巨大台風による瓦屋根の被害とは?
巨大台風による瓦屋根の被害とは、瓦屋根の部位によって異なります。
主な部位は以下の4つとなります。
- 棟部(むねぶ)
- 平部(ひらぶ)
- 軒先部(のきさきぶ)
- けらば部
4つの部位の台風被害の事例を簡単に解説します。
棟部(むねぶ)
棟部(屋根の頂点部分)では、棟瓦が飛散することがあります。
写真のように、屋根の頂点部分の瓦が強風によって崩れてしまいます。
旧工法(大回し工法)とよばれる昔に施工された瓦屋根で発生するという特徴があります。
上図の一番上の瓦が冠瓦です。
その下に左右に均等に3段並んでいる瓦がのし瓦です。
その真ん中部分の点々は葺き土を示しています。
この部分の瓦は土の固着力だけで形を維持しているからです。
旧工法(大回し工法)について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
~瓦屋根の旧工法(大回し工法)ってなに? Q035~ 図解 屋根に関するQ&A
平部(ひらぶ)
平部では、桟瓦(さんかわら)が飛散することがあります。
昔の瓦屋根はくぎなどで留め付けしていないために、強風で瓦が吸い上げられるようにめくれてしまいます。
軒先部(のきさきぶ)
軒先部では、屋根の先端の軒瓦が飛散することがあります。
昔の軒瓦は留め付けしていなかったので、下からの強風でめくり上げられて飛散します。
けらば部
けらば部では、屋根の端のけらば瓦が飛散します。
昔のけらば瓦は留め付けされていなかったので、妻側からの強風でめくり上げられて飛散することがあります。
巨大台風により被害が発生する瓦屋根とは?
巨大台風により被害が発生する瓦屋根とは、以下に当てはまる瓦屋根が多いです。
①築年数が20年以上経過している
②古い日本瓦屋根である
③棟部がのし積み仕様となっている
巨大台風で被害が発生する瓦屋根の自分でできる耐風診断
自分でできる瓦屋根の耐風診断をご紹介します。
まず、瓦屋根が見える部分から、スマホなどで棟部の写真を撮りましょう。
上の写真は、地面から棟部の写真を撮ったものです。
これから次のことを確認してください。
①日本瓦屋根である。
②棟部に瓦(のし瓦)が数枚重なっている。(のし積み仕様)
③棟部の側面に、緊結線(銅線等)が見える。
①~③がすべて当てはまる場合は、耐風性能が乏しいと言えます。
一度、ご自宅を建てた工務店さんや近くの屋根屋さんに屋根点検をしてもらうことをオススメします!
慌てて何かする必要はありませんが、巨大台風で被害を受ける可能性が高いので、耐風改修を検討されることをオススメします。
「巨大台風・瓦屋根の無料点検」をうたった訪問販売リフォーム業者にはご注意ください。
「瓦屋根が巨大台風に耐えるか、無料の耐風診断を行います。」とピンポンしてくる訪問販売リフォーム業者には、ご注意ください。
瓦屋根は危険だから、軽い屋根に葺き替えましょう!と脅してきます。
また、「無料点検しますよ」と屋根に上がりたがりますので、絶対に断ってください。
「点検商法」という悪徳リフォーム商法に関して、国民生活センターも注意喚起しています。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
屋根の「点検商法」に気をつけよう!訪問販売業者に点検させない!登らせない!
巨大台風にも耐える。オススメしたい瓦屋根の耐風改修方法は?(松竹梅)
DIY耐風診断で「瓦屋根の耐風性能が乏しい」とわかった場合、どっかの時期で耐風改修が必要です。
いつ改修したらいいかは、お客様のライフプランから導き出しましょう。
これからも住み続けるのであれば、改修する準備をはじめましょう!
あと、数年しか住まないのであれば、雨漏りなどの他の不具合が発生した場合に、併せて改修しましょう!
オススメしたい瓦屋根の耐風改修方法を松竹梅でご紹介します!
棟部を耐風改修するだけでも、8割の被害を軽減できます。
(竹)棟部だけ耐震工法(ガイドライン工法)で葺き直し
改修方法としては、ガイドライン工法に棟部だけ改修することがもっとも王道だと言えます。
費用としては、35,000円~/m(棟1mあたり)です。(足場代別、仕様・立地により異なります)
ガイドライン工法への改修に関しては、詳しくはこちらをご覧ください!
瓦屋根を台風・地震被害から防ぐ!ガイドライン工法へ改修しましょう!
(梅)棟部だけ耐震工法(冠1本伏せ仕様)で葺き直し
リーズナブルな改修方法としては、冠1本伏せ仕様での葺き直しがあります。
費用としては、30,000円~/m(棟1mあたり)です。(足場代別、仕様・立地により異なります)
特徴としては、使用する瓦が少なくなりますので、軽量化できます。
冠1本伏せ仕様に関して、詳しくはこちらをご覧ください。
日本瓦屋根の棟部/冠1本伏せ(耐風・耐震性の高い)の仕上がりをご紹介します!
(松)屋根全体を耐風改修で葺き替え
予算があって、この際、屋根全体を耐風改修したいという場合は、いろいろなパターンが考えられます。
簡単に葺き替え費用のイメージです。
瓦⇒瓦の葺き替え工事価格:160万円~(16,000~円/㎡)
瓦⇒スレート屋根の葺き替え工事価格:140万円~(14,000~円/㎡)
瓦⇒金属屋根の葺き替え工事価格:150万円~(15,000~円/㎡)
瓦屋根の様々な屋根材へのリフォーム方法とその費用を検討した、こちらの記事に特徴が詳しく記載してありますので、ご覧ください!
瓦屋根のトラブルとそのリフォーム方法・費用をプロが徹底比較してみました!
まとめ:巨大台風でも大丈夫?自分でできる瓦屋根の耐風診断とは、銅線の有無を確認することです。
巨大台風で自宅の瓦屋根が被害にあうかどうか、自分でできる見分け方として、銅線の有無を確認する方法についてご紹介しました。
台風のニュースの後は、必ず、悪徳訪問販売リフォーム業者が「無料点検します」と訪問してきます。
自宅の屋根を知らないと悪徳業者にあおられて、付け入る隙を与えてしまいます。
是非、一度、自宅の屋根をご自分で耐風診断してみてください。
気になることがありましたら、建設した工務店さんか、地元の瓦屋根工事店にご相談ください。
屋根で心配事がありましたら、お気軽にお問い合わせくださいね。
神清からのお願い
記事を最後まで読んでいただきありがとうございます。
お客様の率直な感想をいただくため「役にたった」「役に立たなかった」ボタンを設置しました。
私たちは、日々屋根にお困りのお客様にとって必要な情報をお伝えしたいと考えております。今後のご参考にさせて頂きますのでご協力よろしくお願いいたします。