目次
屋根材の種類:その1【瓦(粘土製)】
瓦(粘土製)について特徴を紹介します。
- 瓦は伝統的な屋根材である。
- 重厚なデザインが人気で、和風な形状から山の大きな洋風形状、フラットな形状と種類が多い。
- 非常に耐久性に優れており、長期間使用したい建物や、屋根のライフサイクルコスト(初期費用+メンテナンスコスト)を抑えたい方に適した素材である。
メリット
- 瓦屋根としても耐久性が優れている。60年以上大規模メンテナンスを必要としない。
- 経済性が優れており、35年以上のライフサイクルコストが最も安価である。(メンテナンス費用が最も安価)
- 塗装品ではないので、色落ちしにくく、塗装メンテナンスは不要である。
- 防音性が高い。
デメリット
- 初期費用が高額である。
- 重量があるため、建物に負荷がかかり壁量を増やす必要がある。
- 自然災害での損傷リスクがある。(古い施工仕様の瓦屋根の場合)
メンテナンス
- 新しい瓦屋根は点検が主で、大規模メンテナンスは60年以上経過後に葺き替えが必要(16,000円〜/㎡)
- 築20年以上の古い瓦屋根は旧工法であり、瓦の留め付け量が少ない。現在の仕様で補修(葺き直し)を行う必要がある。(費用相場:12,000円〜/㎡)
粘土瓦の種類
【陶器瓦(釉薬瓦)】
- 焼き上げ前に釉薬を使用して着色している。
- 釉薬は茶碗やタイルなどで使われる着色方法と同じで、熱、水、紫外線に強く、劣化しにくい。
- 釉薬の調合を変えることで何十色もの種類があり、裏面は朱色の素焼き。
- 主な色:銀・グレー・黒・茶・緑・青・赤など。
- 和風・洋風問わず、様々なデザインに対応できる。
【いぶし瓦】
- 釉薬を使わず、焼き上げの最後にいぶして、銀色を出す。
- 主に社寺仏閣の瓦として使用され、色の経年変化を美として楽しめる。
- 黒っぽく銀色に輝く瓦は日本家屋に似合っており、和風住宅の屋根に使用される。
【素焼き瓦】
- 釉薬を使わず焼き上げた瓦で粘土を焼いたそのままの色となる。
- 熱、水、紫外線に強く、劣化しにくいので、色落ちしない。
- 南欧風などの洋風なデザインの建物に使用される。
粘土瓦について詳しくはこちらの記事で解説しています。
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屋根材の種類:その2【スレート(セメント製)】
スレート(セメント製)について紹介します。
- スレート(セメント製)は工事費用が安価であり、初期費用を抑えたい人向けの屋根材である。
メリット
- 初期費用が安価である。
- 約5mm程度の厚さで、シンプルなデザインとなる。
- 約30年の耐久性がある。
- 軽量な屋根材 の分類に入る。
デメリット
- 色落ちやコケが発生しやすく、美観が低下する。
- 割れやすい(特に踏むと割れやすい)。
- メンテナンス費用がかかる。
- 2004年以前の製品にはアスベストが含まれている可能性がある。
メンテナンス
- 5年に1回の業者点検が推奨される。
- 10~15年ごとに塗装メンテナンスが一般的である。
- 30年で葺き替えやカバー工法(費用相場:12,000円~/㎡)などの大規模メンテナンスが必要である。
スレートについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根材の種類:その3【アスファルトシングル】
アスファルトシングルについて紹介します。
- アスファルトシングルは柔らかく割れにくい特徴があり、初期費用を安価にしたい人に向いている。
メリット
- 初期費用が安価である。
- 割れにくく、錆びない材料である。
- 軽量な屋根材の分類に入る。
- 柔らかいので曲面の屋根にも設置が可能である。
デメリット
- 破れやすい。
- 強風で飛ばされやすい。
- 表面の砂粒が落ちる。
- メンテナンスサイクルが短く、メンテナンス費用がかかる。
メンテナンス
- 接着剤の劣化や施工不良があると強風で破れて飛散する可能性があるため、浮きなどがあれば業者に補修を依頼する
- 15年~30年程度でカバー工法や葺き替えなどの大規模メンテナンスが必要である。(費用相場:12,000円~/㎡)
アスファルトシングルについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
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屋根材の種類:その4【ガルバリウム鋼板】
ガルバリウム鋼板について紹介します。
- 縦葺き・横葺き・折板(せっぱん)など多数の形状・種類があり、種類によって費用が大きく異なっている。
- 金属屋根材で薄く軽いため、とにかく屋根を軽くしたい人に向いている
メリット
- 割れにくい。
- 防水性が高い。
- 従来のトタン屋根よりも3倍以上のサビにくい。
- 約30年の耐久性がある。
- 他の屋根材と比べて最も軽い。
- さまざまな屋根デザインに対応可能である。 (緩勾配屋根も対応)
デメリット
- 初期費用が高額である。
- メンテナンス費用がかかる。
- 金属特有の特性で、雨音が響く。
- 長尺のガルバリウム鋼板は強風に弱い傾向がある。
- 錆びる可能性がある。
メンテナンス
- 10~15年ごとに塗装メンテナンスが一般的である。
- 大規模メンテナンスは、30年程度でカバー工法や葺き替えが必要である。(費用相場:12,000円〜/㎡)
ガルバリウム鋼板について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根材の種類:その5【石付金属屋根】
石付金属屋根について紹介します。
- 瓦のようなデザインで軽量である。
- 退色が目立ちにくく、省メンテナンスに向いている。
- 石付金属屋根は輸入品で統一の規格はなく、呼び名も販売元によってさまざまである。(「自然石粒仕上げ鋼板屋根」「天然石粒付き屋根」「ストーンチップ鋼板」「ジンカリウム鋼板」)
メリット
- 重厚感がある。
- 退色が目立ちにくい。
- 割れない。
- 軽量な屋根材の分類に入る。
- 約30年の耐久性がある。
デメリット
- 初期費用が高い(瓦より高価)。
- 表面の石粒が落ちやすい。
- 凹みやすい。
- 輸入品であり、保証が期待できない。
- 30年で葺き替えが必要である。(カバー工法はできない。)
メンテナンス
- 塗装メンテナンスは不要である。
- 30年で葺き替えとなる。(12,000円~/㎡)
石付金属屋根の人気メーカーについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
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屋根材の種類:その6【樹脂繊維セメント屋根材(樹脂セメント製)】
樹脂繊維セメント屋根材(樹脂セメント製)について紹介します。
- 瓦のようなデザインで軽量な塗装品であり、軽量な屋根材を求める人に適している。
メリット
- 瓦のようなデザインである。
- 割れにくい。
- 防音性が高い。
- 軽量な屋根材の分類に入る。
- 約30年の耐久性がある。
デメリット
- 初期費用が高い(瓦よりも高価)。
- 凍害ではく離やヒビ割れが生じやすい。
- 退色する。
- 瓦よりもメンテナンス費用がかかる。
メンテナンス
- 退色はするが、塗装メンテナンスは不要である。
- 大規模メンテナンスは、30年で葺き替えとなる。(費用相場:20,000円~/㎡)
屋根材の種類について詳しくはこちらの記事で解説しています。
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屋根材の種類:その7【断熱材付横葺き】
断熱材付横葺きについて紹介します。
- ガルバリウム鋼板横葺きの裏面に断熱材ついている。
- スレート屋根のカバー工法に適している。
メリット
- 割れにくい。
- 従来のトタン屋根よりも3倍以上のサビにくい。
- 約30年の耐久性がある。
- 他の屋根材と比べて最も軽い。
- 裏面の断熱材で雨音が軽減される。
デメリット
- 初期費用が高額である(瓦よりも高い)。
- メンテナンス費用がかかる。
- 長尺のガルバリウム鋼板は強風に弱い傾向がある。
- 錆びる可能性がある。
メンテナンス
- 10~15年ごとに塗装メンテナンスが一般的である。
- 大規模メンテナンスは、30年程度で葺き替えが必要である。(費用相場:12,000円〜/㎡)
屋根材の種類:その8【銅板】
銅板屋根について紹介します。
- 古い日本家屋や寺社仏閣で使われる伝統的な屋根材である。
- 価格が非常に高く対応業者も少ないため、屋根材候補としてはあまり現実的ではない。
メリット
- 耐用年数が30年以上である。
- 表面がサビて保護膜の緑青ができる。(緑青への変色は経年美となる)
- 塗装が不要である。
- 他の屋根材と比べて最も軽い。
デメリット
- 初期費用がかなり高額である。(瓦よりもかなり高額)
- 対応業者が少ない。
メンテナンス
- 30年以上で大規模メンテナンスとなる。
- 銅板屋根に穴あき、ズレや浮きなどが見られた場合はメンテナンスが必要である。(費用相場:18,000円~/㎡)
屋根材の種類:その9【トタン】
トタン屋根について紹介します。
- トタン屋根は「トタン」を使用した屋根のこと。
- 現在では、トタンより錆びにくいガルバリウム鋼板が使用される。(価格差はわずかにトタンが安価)
メリット
- 材料費が安く施工性が良い。
- 薄い板を加工して使用するため、㎡あたり化粧スレートの1/4の重さで、もっとも軽量である。
- トタンは吸水性がなく凍害によるヒビ割れが発生しないため、寒冷地でも使用が可能である。
デメリット
- 屋外で使用すると錆びやすく、放置するとトタン屋根に穴が開く。
- 短い期間での塗装メンテナンスが必要で、ライフサイクルコストが高くなる。
- 薄い素材のため遮音性が低く、雨音が響く。
- 鋼板の熱膨張性が大きく日射で伸び縮みし、音鳴りが発生する可能性がある。
メンテナンス
- トタン屋根は鋼板の表面に亜鉛メッキを施し、亜鉛メッキの上にさらに塗装することで錆びにくくしている。
- 錆びを防ぐために、5年ごとに塗装して亜鉛メッキを保護するメンテナンスが推奨される。(塗装メンテナンス費用は4,000~円/㎡)
- 20~30年で大規模メンテナンスとして、葺き替えやカバー工法が必要である。(費用相場:12,000円〜/㎡)
トタンの特徴について詳しくはこちらの記事で解説しています。
塗装費用の相場や内訳について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根材の種類:その10【セメント屋根材(モニエル)】
セメント屋根材(モニエル)について紹介します。
- セメント屋根材(モニエル)は現在廃盤品であり、新築には使用できない。
- セメント屋根材(モニエル)の耐久性は30年である。
- モニエルを使用している既存の屋根は、メンテナンス時に葺き替えを推奨している。(費用相場:16,000~円/㎡)
- モニエルは退色しやすいためメンテナンスとして塗装を提案されることがあるが、塗装メンテナンスは推奨できない。
- 理由は、自然災害で破損が発生した場合、モニエルの補修用材料が手に入らないため結局葺き替えが必要になるケースが多いため。
セメント製(モニエル)について詳しくはこちらの記事で解説しています。
【まとめ】屋根材の特徴を把握して自分にあうものを選ぼう
10種類の屋根材を紹介しました。
経済性・耐久性で選ぶなら、瓦となります。
軽量・緩勾配屋根で選ぶなら、ガルバリウム鋼板となります。
初期費用が安価なものを選ぶなら、スレート・アスファルトシングルとなります。
屋根材には種類ごとの特徴がありますので、自分の考えにあう屋根材を探しましょう。
屋根材選びに迷ったら、屋根に詳しい専門業者に相談しましょう。
神清からのお願い
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