目次
雨樋のつなぎ目は自分で修理できる?
雨樋のつなぎ目から水漏れすることがあります。
つなぎ目の部品(軒継手/のきつぎて)が破損していなくても、軒樋と軒継手の接着剤がはずれることで発生します。
水漏れの補修としては、外側からコーキングすることで修理可能です。
コーキングとはシール・充填剤で隙間を埋めることを言います。
ただし、軒樋全体が劣化して、軒樋と軒継手に負荷がかかっていると数か月で再びコーキングが切れてしまうことがあります。
あくまでも応急処置とお考えください。
コーキングについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋のつなぎ目をコーキングで修理する手順
雨樋のつなぎ目の水漏れをコーキングで修理する手順を紹介します。
- はしご・脚立の設置
- 修理箇所の掃除
- 養生
- プライマーの塗布
- コーキングを充填
- コーキングを形成
- 乾燥
まず、安全に雨樋まで手が届くように、はしご・脚立を設置します。
一人作業では転落する可能性が高いので、必ず二人以上で作業してください。
コーキングをつなぎ目に塗るだけでは雨樋の伸縮に耐えられず、コーキングが切れてしまいます。
修理箇所の掃除、プライマーの塗布が重要です。
雨樋のコーキングを塗る部分を掃除して、プライマーを塗布して乾燥させます。
その後に、コーキングを充填して、雨樋の隙間を埋めましょう。
雨樋の内側をコーキングする場合は、コーキングが水の流れをせき止めないようにコーキングを平らに成形しておくことも重要です。
雨樋のつなぎ目をコーキングで修理するときのコツ
雨樋のつなぎ目をコーキングで修理するときのコツを紹介します。
- 作業が可能であれば雨樋の内・外のつなぎ目にコーキングする
- 雨樋の中に水分やゴミが残ったまま作業しない
- 乾燥するとコーキングはやや縮むので少し多めの量にする
- コーキングの硬化時間はたっぷりとる
- コーキングで雨水を止めないように平らにする
- 雨樋の勾配をなくさないようにする
雨樋からの水漏れを防ぐためには、つなぎ目の隙間をふさぐことが重要となります。
コーキングで防いでいるように見えても、雨樋との密着が悪いとわずかな隙間から水漏れしてしまいます。
水分やゴミなどをきれいに取り除きましょう。
コーキングを使って雨漏りの応急処置を行う方法について詳しくはこちらの記事で解説しています。
【雨漏りの応急処置】コーキング剤で素人が直す方法【プロが解説】
修理には雨樋用接着剤も有効です
塩ビ製の雨樋が割れてしまった場合や小さな破損は雨樋用接着剤を用いた修理が有効です。
専用の接着剤のため、速乾性、高粘度、耐水性、耐久性において雨樋修理に適しています。
接着剤を割れ目に塗布して、しっかりとくっつければ、破損した部分の修復も可能となります。
もちろん、集水器やエルボ、ジョイントなどの部品を接続する際にも雨樋用接着剤を使用した方が作業しやすいです。
ただ、専用接着剤のため雨樋以外には使わないため余ってしまうことと雨樋の変形などで隙間が大きい場合にその隙間を接着剤だけで埋めることはできません。
雨樋のつなぎ目を修理するときの3つの注意点
雨樋のつなぎ目を修理するときの3つの注意点を紹介します。
- 高所転落に注意する
- コーキングは根本的な解決にならない
- ジョイントの割れは交換が必要
次の章から詳しく解説していきますね。
注意点①高所転落に注意する
雨樋のつなぎ目の修理であっても、雨樋のつなぎ目が高い位置にある場合は、高所作業となるため転落のリスクがあります。
2019年の千葉の台風時には、一般の人が自宅の屋根を雨養生するために、ブルーシートをかける作業を行いました。
そのときに、屋根からの落下事故が多く発生し、中には亡くなった方もいらっしゃいました。
雨樋の修理は屋根の先端部分となるため、さらに転落するリスクが高くなります。
そのため、雨樋のつなぎ目の修理であってもオススメはできません。
比較的安全で足場がなしでも可能な作業としては、以下の3つがあります。
- 高さが2m未満の雨樋の修理
- 平坦で屋根傾斜がない屋根での内樋の修理
- はしごや脚立などで作業ができる1階の雨漏りの修理
上記以外の雨樋のつなぎ目の修理は、専門業者に依頼されることをオススメします。
雨樋修理に足場が必要なケースと不要なケースについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋修理に足場が必要なケースと不必要なケースを屋根屋が徹底解説
注意点②コーキングは根本的な解決にならない
雨樋のつなぎ目の水漏れ補修のコーキングは根本的な解決にはなりません。
コーキングは、紫外線劣化によりヒビが入ったり、接着面から剥がれてしまったりすることがあります。
施工時の雨樋のつなぎ目の接着剤はコーキングではなく、雨樋専用の接着剤が使用されており、コーキングでは接着強度が劣ります。
また、水漏れの原因によっては数カ月後に再び破損してしまう可能性があります。
注意点③ジョイントの割れは交換が必要
つなぎ目のジョイント部が劣化して割れてしまった場合は、コーキングでの補修は効果が低いです。
コーキング直後は割れた隙間をふさいでいても、乾燥過程で再び隙間ができてしまったり、数か月の間にコーキングが切れてしまったりする可能性があります。
ジョイント部が割れた場合はジョイントを交換することをオススメします。
雨樋のつなぎ目からの水漏れを放置してはいけない
雨樋のつなぎ目からの水漏れを放置していると予想されるリスクを紹介しておきます。
- ご近所トラブルのリスク
- カビ・コケの発生のリスク
- 建物の基礎が不安定になるリスク
- 外壁の劣化リスク
- 雨漏りの原因となるリスク
雨樋のつなぎ目から水漏れがあると想定外の場所に水が落ちることになります。
隣家の敷地に水漏れが起きたり、金属部分に滴下したりすると雨音が発生して、ご近所トラブルになるリスクがあります。
とくに、隣家から苦情があった場合は、放置せず、すぐに修理を行いましょう。
また、建物の外壁や基礎に屋根からの余分な雨がかかるようになるため、雨漏りしたり、シロアリの被害が発生したりするリスクが高まります。
雨樋のつなぎ目からの水漏れの原因や修理方法について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋が劣化する原因
雨樋が劣化する原因は主に下記の3つの理由です。
- 落ち葉やゴミのつまり
- 経年劣化
- 自然災害
それぞれについて簡単に解説します。
落ち葉やゴミのつまり
雨樋に落ち葉やゴミがつまると排水の妨げになります。
軒樋には長期間雨水が溜まった状態となり、その間、軒樋や樋吊り金具に荷重がかかり続けます。
雨水の滞留が軒樋の変形や腐食につながる原因となります。
定期的に掃除することや落ち葉よけシートなどを設置することで雨樋の詰まりを防ぐことが重要です。
経年劣化
雨樋は常に直射日光を受け、紫外線劣化が進行します。
また、日射によって高温状態となったり、1日の寒暖差も大きく、膨張収縮を繰り返しており、熱劣化が進行します。
これらの紫外線・熱劣化により、雨樋は変形、はずれや破損などの症状が発生します。
自然災害
強風や積雪などの自然災害による外力によって、雨樋は変形、はずれや破損などが発生することがあります。
風災では飛来物があたることによる破損や雨樋のはずれ、飛散などがあります。
雪災では軒樋や樋吊り金具の変形、落雪による破損などがあります。
建物の立地にあわせた樋吊り金具の間隔で正しく設置することが被害の軽減につながります。
雨樋の交換が必要なときの修理の方法と手順
雨樋の大きなヒビ割れや破損・ゆがみ・変形がある場合は、雨樋の交換が必要となる場合があります。
雨樋の交換は高所作業で大変危険なため、DIYでの雨樋交換はオススメできません。
雨樋の交換作業には足場設置が必要となります。
交換修理の方法と手順を紹介します。
- 足場の設置
- 既存軒樋、縦樋、樋吊り金具の撤去
- 軒樋の金具の取り付け
- 軒樋の取り付け
- 縦樋と金具の取り付け
①足場の設置
雨樋の交換では、足場が必要となります。
通常は建物の全周に組み、雨樋を触れる高さに足場が必要となります。
少なくとも、雨樋を交換する1日前には設置します。
②既存軒樋、縦樋、樋吊り金具の撤去
既存軒樋、縦樋、樋吊り金具を順番に撤去していきます。
樋吊り金具をはずしたときに、鼻隠しや外壁に開いている穴はコーキングなどでふさいで、雨漏りしないようにします。
③軒樋の金具の取り付け
軒樋の金具とは、軒樋をはめこむための金具のことで、最初に設置することになります。
水は高い所から低い所に必ず流れるため、縦樋の落とし口にむかって軒樋全体からスムーズに雨水が流れるような傾斜を設定する必要があります。
また、傾斜を付けようと縦樋の落とし口の部分を下げ過ぎてしまうと屋根材から流れる雨水を軒樋が受けることができず、雨水が飛び出してしまいますので、軒樋の金具の取り付け位置は重要となります。
軒樋の金具は鼻隠しと呼ばれる屋根の先端にビスで固定します。
④軒樋の取り付け
軒樋の金具の留め付けが終わったら、軒樋の取り付けとなります。
軒樋は、金具にはまりこむような形状となっていますので、引掛けて取り付けします。
軒樋と軒継手の間は雨樋専用接着剤を使用して水漏れしないようにします。
縦樋と連結する位置で軒樋に穴を開け、集水器を取り付けます。
集水器も軒樋がはまりこむ形状となっています。
⑤縦樋と金具の取り付け
軒樋を取り付けた後は、軒樋が集水器に集めた雨水を地面に下ろす役割のある縦樋と縦樋の金具を取り付けます。
「でんでん」と呼ばれる縦樋用の金具を外壁に設置する際には、壁側が水上側となるようにわずかに勾配を付けることで雨漏りを防ぎます。
でんでんに縦樋を設置して、完成です。
雨樋の交換について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋のメンテナンスが必要な周期
雨樋の寿命は一般的に20~年程度と言われています。
雨樋は寿命が近づくと、変色、変形、割れ、外れ、水漏れなど様々な症状が見られるようになります。
雨樋は立地や建物形状の影響を受けやすく、日射による熱や紫外線、1日の寒暖差で生じる伸縮の繰り返しなどによる経年劣化や雨・風・雪などの自然災害による外力などによって、通常より早く寿命が来てしまうことがあります。
20年以内であっても寿命が既に来ているケースもありますので、年数ではなく、症状で寿命を判断しましょう。
雨樋の経年劣化の症状について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋の修理費用
雨樋の修理費用やメンテナンス費用の相場を紹介します。
雨樋のメンテナンス内容 | 概要・内容 | 費用 |
---|---|---|
雨樋の掃除・DIY | 1階屋根の雨樋を自分で掃除する。 必ず下からはしご・脚立などを使用してください。※落下に注意してください。 | 0円(自分の時間だけ) |
雨樋の掃除・業者 | 屋根屋さんに掃除を依頼して、雨樋の詰まりを掃除する。 | 2~3万円 |
雨樋の部分修理 | 足場を設置せずに、部分補修する。 | 5~10万円 |
雨樋の塗装 | 外壁・屋根などに併せて、雨樋を塗装する。 | 5~10万円 |
雨樋の部分修理(一面部のみ) | 外壁の1面部分だけについている雨樋を、足場を設置して、交換する。 | 15~20万円 |
雨樋の全体交換 | 住宅の雨樋全体を交換する。足場全面に設置する。 | 25~60万円 |
※上記には足場設置費用は含まれていません。
雨樋の掃除を自分で行うことができれば、当然費用はかかりません。
しかし、屋根の先端での作業のため、大変危険な作業となりますので、オススメはしません。
雨樋を修理したいときの業者の選び方
雨樋を修理したいときの業者の選び方を紹介します。
基本的には、雨樋修理はほとんどの建築業者が修理可能です。
- 家を建てた施工業者
- 大手ハウスメーカー
- 工務店
- ホームセンター
- 屋根や雨樋の修理の専門業者
- リフォーム業者
- 塗装業者
上記の中で信頼で業者を知っている場合は、そこに依頼されるとスムーズだと思います。
また、費用をできるだけ抑えたい人は、中間マージンの発生しない自社で修理ができる業者(屋根や雨樋の修理業者)を選びましょう。
また、「雨樋 修理 方法 地名」などでweb検索すると地元で雨樋修理をよく行っている業者を探すことができます。
雨樋修理したい内容や範囲について、自分の考え方に近いことを記載している業者を探してみましょう。
雨樋修理の業者の選び方について詳しくはこちらの記事で解説しています。
【まとめ】修理しても雨樋の交換はいつか必要です
雨樋のつなぎ目からの水漏れ修理の方法を紹介しました。
応急処置的には、雨樋のつなぎ目の隙間をコーキングすることで、水漏れを止めることができます。
また、つなぎ目が割れた場合は、つなぎ目の交換が必要です。
雨樋のつなぎ目には、雨樋の伸縮によって接着面がはがれたり、つなぎ目が割れたりする作用が働きます。
雨樋のつなぎ目が割れた場合は、寿命が来ている可能性があり、雨樋の交換も視野に入れて修理方法を検討しましょう。
屋根・雨漏りに関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
神清からのお願い
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