目次
雨樋の役割
雨樋は屋根からの雨水による不具合を防ぐ役割があります。
建物の屋根面に降った雨水を軒樋で集めて、縦樋で地面の雨水桝へと排水する一連の経路を担っています。
雨樋がないと、屋根に降った雨水は屋根から外壁へ伝わって、その分だけ外壁を流れる雨水の量が多くなります。
また、屋根材の軒先(屋根の先端)から直接地面に落ちる場合でも、雨水が地面で跳ね返ることによって、建物の外壁、基礎や土台を濡らすことがあります。
雨樋を設置することで、屋根面からの雨水を外壁にかかりにくくすることができます。
外壁が雨で濡れることが少なくなれば、外壁のシーリング材の劣化や外壁のヒビ割れなどからの雨漏りを防止することができます。
雨樋の役割について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨漏り防止!雨樋が屋根と共に機能するのに必要な5つのことは?
雨樋の形状と素材の種類
雨樋の形状は主に4つあり、素材の種類は5つあります。
建物の特徴に合わせて、それぞれ適切な種類を選ぶことが必要となります。
雨樋の形状の種類と特徴
4つの形状について紹介します。
- 丸型
- 角型
- 意匠型
- 内樋型
①丸型
昔からある形状で、断面が半円形となっています。(サイズはいくつかあります。)
単純な形状なので他のタイプに比べて安価となっており、ホームセンターでも販売されています。
②角型
断面が角ばったりのある形状となっています。
同じ幅でも丸型より多く排水できる形状です。
③意匠型
デザイン性を重視した独特の形状となっています。
細身のタイプや先端を高くして、軒樋と屋根を一体化してイメージを与えるがタイプがあり、高価な雨樋です。
種類が多くあり、それぞれの互換性がないので、将来、廃盤となったときのメンテナンス性が劣ります。
④内樋型
屋根の先端にパラペット部がある場合、内側に設置する雨樋のタイプです。
内樋が詰まったり劣化したりすると雨漏りに直結するので、注意が必要です。
各屋根形状に合わせた内樋となりますので、現場加工品も多いです。
雨樋の素材の種類と特徴
5つの素材の種類を紹介します。
- 塩化ビニール樹脂
- 被覆鋼板
- ガルバリウム鋼板
- 銅
- ステンレス
①塩化ビニール樹脂
金属のように錆びることがなく、軽量で施工性がいいため、安価で広く使用されています。
紫外線や熱に弱く、直射日光を受けることで少しずつ劣化が進みます。
②被覆鋼板
鋼板の表面に特殊樹脂を被覆されており、耐食性・耐候性を向上させています。
大型の樋などに使用されることがあります。
③ガルバリウム鋼板
鋼板に高耐久のメッキ層で保護されており、トタンに比べて錆びにくくなっています。
塩化ビニール樹脂より高価となりますが、金属製の中では安価となります。
④銅
社寺仏閣などの日本建築でよく使用されています。
表面が緑青に酸化することで、防食性が高まります。
銅は鋼板に比べて非常に高価です。
⑤ステンレス
ステンレス製の樋は錆びにくく高耐久ですが、その分高価となります。
大型物件などのメンテナンスしにくい部分で使用されることが多いです。
雨樋の種類について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋の部品の種類
雨樋を構成する部品は大きく分けると3つに分類することができます。
縦樋部品
縦樋部品は以下の8つがあります。
- 縦どい
- 縦継手(たてつぎて)
- エルボ
- 寄せマス
- 軒天ソケット
- 飾りマス
- 呼び樋
- でんでん
①縦樋
縦樋は建物の垂直方向の排水経路で使用されます。
筒状になっており、丸形や四角形があります。
②縦継手
縦樋の長さが足りない場合、縦樋同士の継手に使用する部品です。
③エルボ
縦樋を曲げるときに使用する部品です。
④寄せマス
2方向から来た縦樋を1つの縦樋へつなぐときに使用します。
⑤軒天ソケット
ベランダ内の排水ドレンから軒天を通して、縦樋へつなぐときに使用する部品です。
⑥飾りマス
ベランダ内の排水ドレンから壁を通して、縦樋へつなぐときに使用する部品です。
⑦呼び樋
呼び樋は軒樋と縦樋を連結する部分に使用する横引き樋のことです。
⑧でんでん
縦樋を外壁に固定するための取付金具のことです。
軒樋部品
軒樋部品は以下の5つとなります。
- 軒樋
- 軒継手
- 軒曲がり
- 止まり
- 樋吊り金具
①軒樋
屋根の軒先に設置される横方向の排水路で使用されます。
②軒継手
軒樋の長さが足りない場合に軒樋同士を連結する部品です。
軒樋の外側に設置する外パッチンと内側に設置する内パッチンがありますが、水漏れを考えると外パッチンがオススメです。
③軒曲がり
寄棟屋根の入隅部・出隅部で軒樋同士を連結する部品です。
④止まり
切妻屋根のけらば部に使用する軒樋の端部断面をふたする部品です。
⑤樋吊り金具
軒樋を固定するために屋根の軒先に設置する部品です。
軒樋の形状に合わせて、引掛ける部分があります。
落とし口部品
落とし口部品は以下の3つとなります。
- 集水器
- 自在ドレン
- 角マス
①集水器
軒樋から流れてくる雨水を集めて、縦樋に流す「じょうご」の役割のものです。
デザイン的には、大きなじょうごをイメージするものと、軒樋と同じように見えるスッキリしたものがあります。
②自在ドレン
軒樋に設置する縦樋への連結させる排水部品です。
集水器と違い、軒樋のラインを損なわずに縦樋をつなぐときに使用します。
③角マス
屋上からの排水を集めて縦樋へ流すじょうごの役割をするものです。
雨樋の部品について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋の修理が必要な症状
雨樋の不具合には早めに対処しないと雨樋が大きく壊れたり雨漏りの原因になったりするものがあります。
- ゴミや落ち葉の詰まり
- つなぎ目のズレ
- ヒビ割れ・歪み
- 雨樋を支える金具のサビ・折れ
以下で簡単にご紹介します。
①ゴミや落ち葉の詰まり
軒樋は受ける形状となっているため、屋根に落ちた落ち葉や土ぼこり、ゴミなどが入り込みます。
周辺に大きな木がなくても繊維状のものと土ぼこりが固まって、縦樋への落とし口をふたしてしまうように詰まることが多いです。
落とし口を詰まらせてしまうと軒樋の雨水が排水されず、水漏れが発生したり、大雨ではオーバーフローしたりして、雨水が外壁を流れるようになるため、雨漏りリスクが高まります。
②つなぎ目のズレ
樋と樋のつなぎ目がズレて隙間が発生することがあります。
つなぎ目から水漏れするため、想定外の雨音がするようになり、ご近所からの苦情につながることがあります。
③ヒビ割れ・歪み
経年劣化や自然災害などで、軒樋に歪みが発生することがあります。
また、飛来物によるヒビ割れや破損なども発生します。
軒樋に歪みやヒビ割れなどが発生すると屋根からの雨水をうまく受けることができなくなり、水漏れしてしまいます。
④雨樋を支える金具のサビ・折れ
雨樋を支える金具のサビ・折れなどの不具合が発生すると、雨樋が変形したり、強風でバタつきが発生したります。
金具は建物に固定されているので、金具の不具合は建物側へも悪影響を与える場合もあります。
雨樋の修理に必要な費用と期間
雨樋修理に必要な費用の相場をご紹介します。
雨樋のメンテナンス内容 | 概要・内容 | 費用 |
---|---|---|
雨樋の掃除・DIY | 1階屋根の雨樋を自分で掃除する。 必ず下からはしご・脚立などを使用してください。※落下に注意してください。 | 0円(自分の時間だけ) |
雨樋の掃除・業者 | 屋根屋さんに掃除を依頼して、雨樋の詰まりを掃除する。 | 2~3万円 |
雨樋の部分修理 | 足場を設置せずに、部分補修する。 | 5~10万円 |
雨樋の塗装 | 外壁・屋根などに併せて、雨樋を塗装する。 | 5~10万円 |
雨樋の部分修理(一面部のみ) | 外壁の1面部分だけについている雨樋を、足場を設置して、交換する。 | 15~20万円 |
雨樋の全体交換 | 住宅の雨樋全体を交換する。足場全面に設置する。 | 25~60万円 |
※足場費用は含まれていません。
建物の状況によっては、足場がないと掃除や部分修理ができない場合もあります。
足場設置するかしないかによって、大きく費用が変わってきます。
雨樋修理に必要な期間をご紹介します。
雨樋修理内容 | 期間 |
---|---|
雨樋の掃除 | 数時間~1日程度 |
雨樋の部分交換 | 数時間~1日程度 |
雨樋の全体交換 | 1~3日程度 |
※足場設置期間を含んでいません。
足場設置する場合は、プラス2~4日程度追加となります。
雨樋の修理について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋の交換について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋の修理を頼むならどんな業者が良い?
雨樋の修理が可能な業者について紹介します。
- 家を建てた施工業者
- 大手ハウスメーカー
- 工務店
- ホームセンター
- リフォーム業者
- 塗装業者
- 屋根や雨樋の修理の専門業者
建築関係の業者であれば、どこでも対応できます。
信頼関係のある業者があれば、そこに依頼すれば修理してくれます。
また、できるだけ雨樋の交換工事の費用を安くしたい方は、中間マージンが発生しない屋根や雨樋の修理業者を探して依頼しましょう。
雨樋の修理業者の選び方や費用相場について詳しくはこちらの記事で解説しています。
火災保険を使って雨樋の修理は可能?
雨樋の修理工事が必要となった原因が風、雪、雹などの自然災害による場合は、火災保険を使って修理できる可能性があります。
一方で、雨樋の修理工事が必要となった原因が、経年劣化や施工不良・人的な破損による場合は、火災保険を使っての修理はできません。
自然災害によって修理が必要となった場合でも、3年以内に申請しないと時効となり、保険適用されません。
雨樋の不具合は自然災害と経年劣化の症状が近いため、保険適用の判断がむずかしいようです。
自宅周辺に自然災害が発生した場合は、直後に雨樋を点検して不具合を確認し、写真を撮影しておくと保険申請に役立ちます。
火災保険の申請方法や注意点について詳しくはこちらの記事で解説しています。
屋根修理で火災保険は使えるの?申請方法から注意点まで徹底解説!
雨樋の付け方と外し方の流れ
雨樋の付け方と外し方の流れをご紹介します。
雨樋の付け方の流れ
- 足場の設置
- 軒樋の金具の取り付け
- 軒樋の取り付け
- 縦樋と金具の取り付け
①足場の設置
1階屋根の雨樋の交換や2階以上の屋根の雨樋を修理する場合は、足場が必要です。
1階屋根の雨樋の修理なら、脚立を並べて、その間に板を通すことで簡易な足場として作業することもあります。
②軒樋の金具の取り付け
軒樋の金具を最初に設置することになります。
屋根材によって、軒樋の金具を付ける高さを変更することで、雨水が軒樋に入るように調整します。
たこ糸を使って、金具の取り付け位置の傾きが一定となるように配慮して、軒樋全体から集水器に水が集まるように設置します。
③軒樋の取り付け
軒樋の金具を設置したら、軒樋を金具に取り付けます。
軒樋の長さが足りない場合は、軒継手で軒樋同士をつなぎますが、その部分には専用の接着剤を使用して固定します。
縦樋と連結する位置で、軒樋に穴を開け集水器を取り付けます。
④縦樋と金具の取り付け
軒樋を取り付けた後、集水器から雨水を導く縦樋とその金具を取り付けます。
集水器の下にエルボを取り付けて、壁際の縦樋と呼び樋を連結させます。
壁際には、縦樋を固定する金具を取り付けて、縦樋を壁沿いに設置して完成です。
雨樋の外し方の流れ
雨樋の外し方をご紹介します。
- 古い雨樋を金具から外す
- 取り付け金具をバール(釘抜き)で外す
- 金具を抜いた穴をコーキングで塞ぐ
①古い雨樋を金具から外す
軒樋、縦樋とも金具にはめこんでいるだけなので、手で外すことができます。
集水器部分も軒樋がはめこんでいるだけなので外せます。
②取り付け金具をバール(釘抜き)で外す
取り付け金具を釘抜きで外します。
③金具を抜いた穴をコーキングで塞ぐ
金具を抜いた穴から雨水が浸入するおそれがあるので、コーキングでふさぎます。
必要な材料や道具について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋の付け方と外し方を知りたい!必要な材料と道具も紹介します
雨樋はホームセンターで購入できる?
ホームセンターでは定番の雨樋なら購入することができます。
- 定番の丸型、角型の雨樋や部品の多くはホームセンターにある。
- それぞれ1、2種類程度なので、既存の雨樋の種類やサイズを調べておくことが必要である。
ホームセンターでは、軒樋・縦樋以外の部品も数多く販売されており、軒樋そのものよりも雨樋の部品などがよく購入されているようです。
「エルボ」や「止まり」・「パッチン」・「堅継手」などの部品がDIY補修用として用意されています。
ホームセンターでの雨樋の購入について詳しくはこちらの記事で解説しています。
どんな種類の雨樋がホームセンターで買えるの?注意点なども解説
雨樋修理のDIYは可能?
雨樋修理のDIYの可能性は低いです。
1階屋根の雨樋でも高所作業となり、はしご・脚立を使うため、落下の危険があります。
2階屋根以上では足場が必須ですので、DIYはやめておきましょう。
また、屋根から雨水を軒樋に入れるためには、取り付け金具の高さ位置や傾きなどの調整が必要となります。
間違った位置にDIYで取り付けしても、雨水がうまく入らなかったり、流れず溜まってしまったりするのでオススメできません。
雨樋のDIYについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋のDIYはどこまで可能?掃除や補修・付け方までを完全解説
雨樋の掃除は自分でできる?
雨樋の掃除も高所作業となります。
屋根上から下を向いての作業は、頭から落下する危険が高いのでNGです。
1階屋根の雨樋掃除は脚立やはしごを使って行うこととなりますが、必ず2人作業を心がけましょう。
はしごを屋根にかけるだけでも、意外とむずかしいです。
2階以上は自分ではあきらめて、業者に依頼しましょう。
雨樋掃除の安全確保について詳しくはこちらの記事で解説しています。
雨樋掃除をDIYする前に「作業の安全確保」ができるか、きちんと確認しよう。
雨樋はメンテナンスがとても重要です
雨樋は機能していないと、雨漏りの原因となってしまったり、外壁や建物の基礎に悪影響を与えてしまいます。
定期的にチェックを行い、雨樋の破損やヒビ割れの有無やゴミや枯れ葉で雨樋が詰まっていないのかを確認しましょう。
降雨時や降雨直後に雨樋を見て、水漏れの有無を確認するとわかりやすいです。
建物の近くに樹木がある場合は、落ち葉による雨樋詰まりが発生する可能性が高いです。
また、建物の近くに頻繁に鳥が止まっていると鳥の巣を作るためのわらや細い枝、繊維状のものなどが屋根の上に落ち、それが土ぼこりと相まって雨樋が詰まっているケースも多いです。
落ち葉などによる雨樋の詰まりを防止する対策としては、「落ち葉よけシート樋カバー」を設置することがオススメです。
「落ち葉よけシート樋カバー」などの落ち葉よけグッズを使用することで、雨樋のメンテナンス費用の削減や雨樋掃除の負担の軽減につながります。
落ち葉よけシート樋カバーについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
落ち葉よけシートをDIYで試しに設置してみました!(雨樋用)
【まとめ】定期的に雨樋のメンテナンスをしよう
雨樋は屋根からの雨水による不具合(雨漏り・シロアリ被害・ご近所トラブル)を防ぐ役割があり、意外と重要な部材です。
そのため、雨樋の不具合には早めに対処しないいけない症状がいくつかあります。
- ゴミや落ち葉の詰まり
- つなぎ目のズレ
- ヒビ割れ・歪み
- 雨樋を支える金具のサビ・折れ
できるだけ雨樋の交換工事の費用を安くしたい方は、中間マージンが発生しない屋根や雨樋の修理業者を探して依頼しましょう。
不具合を早期に発見するためには、定期的に降雨時や降雨直後に雨樋を点検して、水漏れの有無を確認してください。
不具合を発見したら、早めに業者にメンテナンスを依頼しましょう。
屋根・雨漏りに関してお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。
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